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海外でデザインや広告の仕事をしていて思い出す「心得」のようなもの

どこで働いているにしても、クリエイティブな仕事に携わる人は早い内にレベルの高い(アイディア、デザイン、コピー、PMなど)仕事を経験するべきだと思う。毎日、学べることは多いと思うが、一つ二つ上の経験をすることで、また、そういう仕事に携わりたい、顧客やユーザーを喜ばせたいと思う。

だから、自分も精進しようと思うし、野心も背伸びも含めて満足の沸点が上がる。僕は日本を代表する家電メーカーの海外向け総合カタログの仕事で、ニュージーランド人の素晴らしいデザイナーと仕事をした経験でその感覚が身についた。

彼はレイアウト、フォント選び、使い方、写真撮影のディレクション、リタッチ、センスあふれる記号デザインとその配し方。彼は完璧主義者で、周囲がもうこの位でいいのではと言っても言うことを聞かないアーティスト肌で、タイムマネジメントという意味では泣かされたが、出来上がったカタログは絶品だった。

あの時の経験から、とにかくできる限り良いものを提案したい、作りたい、僕自身は制作側の人間ではないから、そういうパートナーと仕事がしたいと思ってやってきたし、今でもいつもそのつもりでいる。

ただし、もちろん、時間、予算、無理解、破綻、見込み違い、自分の至らなさ、等々に苦しめられることはある。そういう時には納品ができたとしても落ち込むことになる。

なので、最初から手抜きする姿勢が見えたり、時間をかけて努力すべきところを無視していたり(意図的だとしても不作為だとしても)することがわかると、かなりのフラストレーションを抱えることになる。人材の流動性が高く、とにかく素早く処理することを良しとするアジアでは、神は細部に宿るんだ、などと言っても伝わらないことが多い。

大胆かつ斬新、最新にして緻密。こういう経験はなかなか出来ない。残念な時も多い。でも、全くあり得ないわけではないから、そういうチャンスに巡り会えた時のためにも自らのインプットとアウトプットを絶やさないようにしたいのだ(了)

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