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自分の持っているもので勝負するしかない


昨日、人に言った言葉だ。
これは、最近本を読んでいて浮かんできた言葉だった。

現在とても人気のこの本を読んだ。

「黄色い家」
 川上 未映子著

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長編小説なので、ずっしりと重く、自宅にいる時しか読めない。
それでも前半半分は少しづつ読んでいたのだけど、後半は何も食べず飲まず、一切途中でやめることもせず、一気に読んでしまったほど、面白く、引き込まれた。

すごい、の一言だった。

まだ読んでない人には、ネタバレになるので詳細は書かないが、この本を読み始めた途端から、「人は、自分の持ってるもので勝負するしかない」と思い始めた。

この著者の川上 未映子さんは、インタビューで「私はストリート出身なので・・・」と何度も語っていて、その意味があまりよくわかっていなかった。
だが、この小説を読んでその意味がわかった。

世の中には、生まれながらになんの苦労もない人たちがいるが、一方で生まれながらにたくさんの苦労を余儀なくされるひとたちがいる。

「ストリート」とは、多分この本の主人公のように、お金にも苦労し、親にも苦労し、生きるのに苦労をし続ける人のことを言っているのだとわかった。
(多分、そうだと思う)

川上さん自身が、どれほどの苦労をされたのかは私は詳しくは知らない。
だけど、この小説を書けた、ということは、この世界に近いところで生まれたり、育ったのかもしれないと思ったのだ。

まさに「持っているもので勝負する」だ。

私はたまたま働くことが好きで、仕事もある程度順調にきたと思うが、元々働く必要がない人たちもいる。

その一方でお金のために、生きていくために働かないといけないのに、なかなか収入が上がらない、または仕事を失う人たちもいる。

働く必要がない人は、すでに自分が持っているもので生きているし(それは親の財産かもしれないし、自分で稼いでFIREした人かもしれない)私のように働くのが好きな人や、お金はいつでも必要なので働く人は、自分の経験、知識、特技、人脈、など持っているものを使って働くしかないし、それが一番良い。
あとは、その自分が持っているものを、どう生かすのか、がうまくいけば仕事に困ることはないと思う。

川上さんは、ご自身の経験をもとに、それを「小説を書く」という方向に振ったことで、この評価の高い小説が生まれたのだとすると、「経験は、どんな経験でもとても大事だし、自分だけの経験ではないかもしれなけど、人と違う経験をする、人が経験できないことをする、というのは、価値がある」と言うことがわかる。

さらに、それをどこに生かすのか、をしっかり見定めてその方向に突っ走ることで、この大きなブレイクにつながっているように思えたのだ。

「自分の持っているもので勝負するしかない」

のは、誰にでも通用する。

自分の経験、スキル、知識に何があるのか、を整理し、それらはどこでニーズがあるのか、を知る。
それが、「自分を最大限に活かす方法」であり、その先に自分が必要とされる、または自分ができる仕事がある。

ただ、時代は変化する。

昔存在した仕事がなくなってしまう時代だ。
だからこそ、時代の変化に応じて「活かす方向」を変えていく必要はあると思うが、毎日の時間も「経験」「知識」を増やす時間を持てば、自分が持っているものが増えていくので、自分の活かし方も選択肢が増えていく。

ここには、あまり年齢は関係ないし、年齢をむしろメリットにするには、やはり「人があまり経験しないことを経験していること」はとても大事なのだと思っている。

もし思いがけず人が経験しないことを経験したら、それが大変なことであっても、いつか、何か、どこかで活かせる可能性があると思ったら、乗り越える力になるかもしれない。

この小説を読み終えたあとは、しばらく放心状態だった。
フィクションだとわかっていても、リアルすぎて、きっとこんな世界があるんだろうな、と思わざるを得なかった。

よかったら、読んでみてください。


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