見出し画像

いつもコーヒーの青いカンカンと

高校時代に仲が良かった女の子がいた。男女関係なく友達は多い方だったと思う。部活動の仲間はもちろんだけど、趣味の話したり、勉強で競い合ったりとクラスメイトにもその他にもたくさんの友達に囲まれて、楽しい高校時代を過ごした。男女の友情があるかないかと言えば、僕はあると思っていtた。同性と異性の付き合い方はもちろん違うんだけど、友人として色々なことを相談したりするのに性別は関係がなくて、話してて楽しいなって感じられる存在が好きだった。そんな人たちがたくさんいたのは良いことだった。

その子と仲良くなったきっかけは覚えてない。2年と3年の時のクラスが一緒で、行事とかの時には中心になって一緒になんかやらかしてみようぜって言いだすような目立つ存在。先生たちにとってはちょっとめんどくさいなって思われるかもしれないけど、やりたいことに対して既存のルールとかを気にするよりもまず楽しいことをやっちゃえ!!っていう子だった。

僕はどちらかというとビビりだったし、先生に怒られることを怖がる優等生ぶったやつだったけど、彼女の突拍子もない提案に対して実現可能な可能性を探り、先生たちに相談していた。

そう、僕らは、いわゆる「いいコンビ」だった。

学校生活の中でキャラって結構重要で、当時から自分の立ち位置はなんとなく理解していた。自慢とかではないですが、地方の名門高校、部活では県内一位の強豪校のキャプテンで、県内で2番目に頭の良い学校の中で勉強は国立コースで上位、高校生らしくひたむきに頑張って結果を出している良い子。その上、父親は卒業生且つもともとそこに勤務していて、あるスポーツでは全国的にもそこそこ名の知れた教員。さらに、ひいじいちゃんは県の元教育長・県議会議員・母校の創設に尽力した初代校長で、学校には銅像がある。なんせ顔が似てるんです。兄弟も親戚もみんなその高校出身、2年と3年の担任は卒業生の親戚。色んなことが重なって結構特殊なパターン。今教員になって分かるけど、多分多くの先生が「ああ、あいつだな」って思ってたんでしょう。

そんな「あいつ」は、結構プレッシャーを感じていたりもしました。自分の知らない所で自分の事を知らない評価が下されているではないかっていうのは結構難しいもので、先生たちが気に掛けてくれる一方、こうであらねばならんって思ったこともあります。

ただ、その子は全然何にも気にしていなかったので気が楽だった。おいおい、何言いだすんよって思っても、屈託なく「いいじゃん、面白いんだから。みんなでやればもっと楽しいよ」って、楽しそうだからじゃあやろうかって僕も思ったから

一緒になってクラスでバカやってみんなで笑った。調理実習でもないのにみんなで食べるシチュー作ってみようとか、クラスの集合写真撮るのに、学校から全然遠い公園までみんなで行ってみるとか、普通の日に学校でかき氷作って食べてみようとかね。

そんな彼女はGO!GO!7188が好きで、僕に良く聴かせてくれてアルバムも貸してくれた。特に「C7」がお気に入りでカラオケに行くと唄っていた。

何の唄なんだろうね?と話したことがある。コーヒーの青いカンカンが気に入って、飲まなかった缶コーヒー(エメマン)を好きでもないのにカッコつけて飲むようになった。この歌詞の恋愛に関する意味を分かるほど大人ではなかったけど、ただ頭の中に今でも残ってる「コーヒーの青いカンカン」と「C7」のコード。

もう20年前の曲だけど、普遍性がある。コーヒーの缶は、いつになっても多分高校生にとっては少し大人ぶったものだし、C7のコードはギターを知らなくても頭に刻まれる。

そんなあの子は、やりたい事を決めて早々と2学期に進学先を決め、冬休みが明けたら結婚して苗字が変わっていた。学校には内緒だったけどね。

同窓会で会うと僕はいつもC7を思い出す。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?