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まだキレイなままの

 「冬が寒くってほんとによかった」

 雪が降るとこのフレーズを一番に思い出す人は、多分同じ世代の人。BUMP OF CHICKENは2000年代を学生で過ごした人たちにとって、今でも忘れられないバンドだ。今でも一線で活躍し続ける彼らはもう44歳になったらしい。藤くんやチャマさんが44歳?信じられない。僕も歳を取るわけですよ。

 バンプはテレビやCMで跳ねたわけではない。インディーズで爆発的に売れたとは言えないし、何かきっかけがあったというわけではない。過激と言ったらよくないかもしれないけど、元々インディーズと言えばパンク(メロコア)の主戦場だったインディーズ市場に現れ、話題をさらっていって、そこまで詳しくない僕らのもとに届くようになった。

 なんというか異質だった。物事には系譜があると思うんだけど、バンプには系譜がなかった。バンプの後に多くのバンドが彼らの影響を受けていると思うけど、彼らの前に彼らみたいなバンドはいなかった。青春を高らかに歌うロックには依然から流れがあったんだけど、バンプはそうではなかった。等身大のままに売れセンでもない、でもそのメロディと歌詞が深く深く刺さっていった。

 彼らの音楽は様々な自分が存在する。そしてその彼らの語り=物語が唄だった。僕らはそれに共感し、泣いて笑って、今でも聴いている。

 僕らは藤くんの頭の中で踊らされているのかもしれない。でも、それはいつも体験したかった疑似体験だ。可愛い彼女がいれば、ポケットに一緒に手を入れて、雪道を踏み固めながら歩くのに。それが出来ない自分の状況を悔やみながら聴いていた。そんな僕らの夢はまだ終わらない。

 明日は皆さん雪道に気を付けて。

 

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