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読書感想文

GO|金城一紀

「広い世界を見るんだ」

在日朝鮮人から在日韓国人へ国籍を変えた高校生。
日本人でも韓国人でも朝鮮人でもない自分は何者なのか。
境遇によって生きづらさを感じる人と周囲とのギャップを作るのも壊すのも本人次第。
「国籍」という概念が「個人」に持ち込まれることがあまりに酷く映ることがある。
人物を個人として判断する以前にカテゴリーで判断されることがある。

マネーロンダリング|橘玲玲

「誰もが人生をやり直すことができるわけじゃない。だが、努力することは誰でもできる」

秋生は香港在住の金融コンサルタント。大金をタックスヘイブンの銀行に託す指南をしている。
ある日、美しい女・麗子から5億円を税金を払わずに海外に移したいと依頼がある。
持ち逃げされた、裏の世界で作られた50億円。そして四ヶ月後、女は消えた。
マネーロンダリングとは何か?大金を前に遠心力が働いて無関係な人を巻き込んでいく。
有り得ない話だけど、どこかの世界で似たようなことがありそう…かも。

カラスの親指|道尾秀介

「理想的な詐欺はですね、相手が騙されたことに気づかない詐欺なんですよ。
マジックでは、相手が騙されたことを自覚できなければ意味がないのですよ」

闇金から逃れ、過去の裏切りと後悔を抱えながら、詐欺師として生きる武沢。
同じように闇組織によって家族を失い、人生転落した同業者のテツ。
おじさん詐欺師コンビがスリ少女と出会う。
少女の姉、姉の彼氏を含めた奇妙な5人が闇金業者への恨みを晴らす。
騙された!と言わずにはいられない、まさかのストーリー展開。

消えない月|畑野 智美

「自分が悪いとは、絶対に思わないでください」

ただただ怖すぎる、話の通じないストーカー男の話。
マッサージ師として働くさくら。お客様としてやってきた松原は、大手出版社勤務のイケメン。
しかし、それは恐怖の始まり。出会ってはいけない人だった。
歪んだ愛は、やがて嫉妬や憎しみへと変わり、救いようのない結末に…。
読んでいて気分が悪いです。ストーカーの心理は本当に恐ろしい。

罪人が祈るとき|小林 由香

「学校なんて、会社なんて、命を懸ける場所じゃない」

複数のクラスメイトに金を脅し取られ暴行されていた祥平。
いじめられている少年の前に突然現れたピエロが、いじめっこ殺害計画に協力すると言い出した。
ある少年の自殺から波及する新たな自殺や殺人事件。本当の罪人とは?
裁かれるべきを裁く術の無い法の非情さ、社会の秩序の維持するための公平さ、いじめは犯罪ではないのですか?
被害者だけが罪人を裁くことができるなら…

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