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「モンスターズ・ユニバーシティ」に学ぶ演出技法【鏡像】

映像表現において鏡像は象徴的に使われることがあります。
鏡に映る自分の姿を見ながら自らに語りかけることで本心を吐露したり、自らを見つめ直したり自分を客観視したりすることに使われたりします。

モンスターズ・ユニバーシティでは「自分をどう見ているのか」ということを映像的な比喩として使っています。

歪んだ鏡像
ストーリー前半、主人公マイク・ワゾウスキは優勝カップ(鏡)に映る自分を見ながら、子供を驚かせる動きをします。
このときマイクは自らのことを『怖いモンスターである』と勘違いしており、間違った自信を持った状態であるため優勝カップに映る鏡像は大きく歪んでいます。

前半の鏡像 = 歪んでいる = 偽りの自分

引用元:モンスターズ・ユニバーシティ

歪んでいない鏡像
ストーリー後半、人間の世界に足を踏み入れたマイクは人間が自分を怖がることがない、自分は『怖くないモンスターである』と正しく認識します。
川に映る自分の姿を見ながらサリーにそのことを伝えるのですが、その際の鏡像は歪むことなくきれいに反射しています。
物語が進んだことで自分に向き合い、自分の正しい姿を認識できるようになったことを表しています。
また、同時に自らの本音を語っています。鏡像に喋らせることで心の中の言葉を話している表現にもなっています。

後半の鏡像 = 歪んでいない = 正しい自分

引用元:モンスターズ・ユニバーシティ

同じくサリーも優勝カップに映る自分の姿を見て、自らが正しい行いをしていないことに向き合っています。
この際も歪みの少ない鏡像となっています。

引用元:モンスターズ・ユニバーシティ

通常曲面に写る像はもっと縦長になるので、わざとフラットな反射を合成していると思われます。
ここは自分のしていることをかえりみる場面なので、歪みの少ない反射を利用しているのだと思います。

まとめ
このように鏡像を使うことで、自らを正しく認識したり自分の行いに向き合ったりすることを表現することができるのです。

また鏡像は、普段見えていない心の中の言葉を吐露している表現にも使うことができます。

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