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わらしべ鮎漁師 浮世雲

朝目覚めれて
毎日毎日 水の中に居る

三つ巴の台風以降 どうも本調子で
無い…
お招き お誘いも 熟る体力気力が無く
ご迷惑 御負担を かけないように
ご無礼が続いている…

それぐらいが 丁度良いと笑われるが…

何往復も歩く川原

スパルタリハビリが日常…

落鮎が始まった頃から
投網では 全く獲れず
巻き網 結果 重たい長網を持ちだした
ほぼ二ヶ月…

身体の異変には 気が付いていたが…

大漁を求め…
結果 腕の筋肉が落ちてしまった。


漁場に出かけた…


現れた鮎漁師のお爺は嬉しそうに呟く

“これ見てみい 大きいのおるやろ”

良い鮎の居着く 場所を知ってるから
大漁である。

“鮎漁師は ひとの網を気にする”

手に持つ網を観て…

“それでは 獲れん”
“下に張ってる 綱やるから
持っていけ”

“綱くれるの?”

“やるから それでやれ”

“その綱 軽いから 楽やろ”


川に入らなくなった 長老 鮎漁師達の
綱は 現役 鮎漁師達が 貰い受けたり
譲ってもらったり…

ちなみに 新品の刺し網は 2万から3万する。


手にすると 網の 糸が細い 0.4号
使い込んで破れてはいるが…

今 使ってるのは 0.6号
鮎は 目が良いから 網がある事を
観て 岩の下に隠れてしまうのである。


網を 持ち変え 張ってみる

いきなり 鈴なりの落鮎達。

“ほら 獲れるやろ”

どこか満足気に 笑う

次は 付きっきりで 漁のやり方を…
それぞれの 漁法がある。

取り方の癖もある。
門前の小僧見習い気分で 教えてもらう。

川に居残り 鮎を追う…

気がつくと クーラーバックは
満杯になって居た


型は小さい 天然遡上落鮎達

一夜干しを 造る。
立ってれないくらい フラフラなのに
鮎が 訛ってしまうから..


朝目覚めれて
今日は昼から 雨になるよう…

雨の前にスパルタリハビリ
ただ 
綱は 軽くなった

先客の鮎漁師
我が姿を 観て 川を右往左往始める

“獲れましたか?”

尋ねてみるが “獲れないと”

場の荒れた 漁場
数は獲れない

いい 落鮎が居た。

氷上のような水中を走り
思いっきり何度も転ける

立ち上がっては また 網を張る

今は これしか出来ないから…

遅めの昼餉
一番良い鮎を 頂く

もらった綱で 得た 大きな落鮎

きっと 太古も変わらない事を
やって だんだろなと

“焼きたて 落鮎 食べるか?”
目の前で 頭から齧り付く坊

それでいい

わらしべ鮎漁師 浮世雲

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