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リスト99

ヨーヨーの火曜現地校では、年に6回の校外学習があります。

たとえば先日はそのうちの一回で、終日、3年生全員で自然史博物館にでかけ、展示物の絵を描いたり、チーム別にウォークラリーをしたり、とても楽しかったようです。

ボックス・ランチも学校が用意してくれるので、いつもと同じ格好で送り出すだけで親としては大変ありがたい。

なお、ロンドンの小学校では、基本的に文房具や教科書などはすべて学校に置いてあります。宿題用のクロームブックは家に置きっぱなしなので、日々の荷物はリュックに宿題ノート1冊・ハンカチ・水筒だけ。

さて、話を戻しまして、校外学習。

これは希望をすれば、保護者も先生といっしょに子供達の安全管理を担うボランティアスタッフとして同行することができるようです。そのためには事前の安全講習の受講が必須になるから希望者はこちらから登録してね、と言う案内のメールを受け取りました。

それで「おお!」と驚いたのが、案内メールの最後のこの一文。

「生徒たちのセイフ・ガードになる要件の一部として、登録した大人は全員リスト99のチェックにかけます。(As part of our requirement to safeguard pupils, we will check all adults who sign up against the List 99.)」

なんとなく想像できたけど、調べたらやはり「リスト99」というのは、別名、Childrens Barred List、つまり、過去に子供に害を及ぼす可能性のある事案で判決を受けた犯罪者のブラックリストのことでした。

イギリスでは、「リスト99」に乗っている人は子供に関わる職業にはつけません。教育機関もまた、それがわかっていながら雇用するのは禁じられています。

このリスト、なんと100年以上前から運用されていたようで、2021年からはそのオンライン照会の運用がDepartment for Education (DfE)の管轄におかれるようになってるんですね。

日本でもこれ、やればいいのにって言うと「忘れられる権利」とか「立ち直る機会を奪う」とかごにょごにょ言う人がいて実現は無理っぽそうだが。

でも、幼児性愛者なんか、そもそも立ち直るとかいう問題ではないですから。本人も苦しいでしょうけれど、小学校の先生なんかには間違ってもなっちゃだめでしょう。

日本はこの手のコンフィデンシャルなデータ運用で下手こきそう(担当者の操作ミスでリスト流出!とか)だし、同調圧力の強い社会の中で、秘密が漏れた時に必要以上の差別につながる(他の職も奪われる)とかの課題もありそうではありますが、

それでも根本的には、これはどっちが優先かって話ですよね。子供犯罪者の職業選択の自由を保障すること?(制限すると言っても一部だよ?)それとも、子供たちを守ること?

個人の自立と責任が問われ、子供を国家の宝として大事にする英国らしい。

日本でも子供が壊れた大人の犠牲になる、胸の痛む事件が後をたちません。いちど運用も含め議論の土台にあげる価値のある仕組みなんじゃないかと思いました。小さい子供の親としては、本当に、そう思いました。


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