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叶わぬ恋も儲けもの

素足で踊るバリアージのダンス・レッスンを始めてから5か月、新しい習い事が続いている。好きでないことはさっとやめて何が悪いと開き直る確信犯で、「継続は力なり」だの「一度決めたらやりぬけ」だののマッチョ系格言が大嫌いなこの私が。

体の歪みが気になりだしてピラティスまで始めたので、最近はすこぶる体調が良い。毎回、今まで知らなかった筋肉の存在を知り、新しい感覚を得て、目から鱗っていうか身体から甲冑がジワジワ剥げていく感じ。運動嫌いを自認して体が錆びるに任せていた私のことだから、みなさんと比べるとレベルの低すぎる喜びだけど。

ダンスについていうと、昔からボレロだけは好きで、家事のお供に選んだら最後、いろんなダンサーのバリエーションをYoutubeで延々と見続けるために、本来の家事計画を超えて無用にテーブルがピカピカになるというパターンにハマりがちだったのである、が、

その見方も変わった。これまで脳内麻薬にやられた感じでボケーっと魅入るだけだったんだけれども、ダンスを始めてからは、踊り手の芯の強さ、キレの良さ、筋肉のしなやかさ、ラストに向けて激しくなっていく動きなんかがちょっとだけ自分ごと(というより、むしろ自分からかなり遠いこと)として見えてきて、リスペクトが増す一方で。

あの赤い円の中心で踊り抜く人の、100%の完璧な身体感覚を得てみたい。どんな集中?どんな高み?そして最後にジャンッで落とすの、どんな感じ?

今生では到達し得ないそれを感じたい。夢でもいいから!

…と、ここまで書いていてハッと思ったんだけど、

ヤモタテモタマラズ女優や歌手などの表現者を目指して人生を賭す若者というのは、こんなふうに取り憑かれるんだろうな。そしてそのほんの一握り、突出したあれこれに恵まれ努力した者だけが神様に会える。恋と同じ感じだけど、恋より成就の確率が低い。

今更、その心が分かった!

身も蓋もなく最初から「夢でもいいから」というプレマイズを置ける、そして「こんな恋心、今になって感じられるだけ丸儲け!」と嬉しくさえなれる(そもそもいわゆる恋ではないが)、前頭葉の発達しきった母ちゃんになりさがってて、助かったというべきか。。。

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