【朗読】滴（しずく）のなか。
作：hachi

ねえ、大丈夫？

あなた、ひどくつかれてるわ。

あたし？

いいけど
言ってもあなたはわからないわ。

あたしはあなたを知ってる。

すべてのときにいるすべてのあなたを知ってるの。

どう？　びっくりした？

そうね。
わかりやすければ、双子とか、自分の影とか、
そんな感じに思ってくれてもいい

違うけどね。

あたし？

観てるだけ

あなたがここで経験することを
ただ観てる

あなたの五感

感情

思考

肉体的な快と不快

もちろん夢と呼ぶあの場所にいるときも

あなたが経験するすべてを観てる

ふだんはそう
だってすべっても転んでも
あぶないことはここには何もないから

ただね、
ここ一番ってときは別

ここだけは外されちゃまずいっていうあるpointがあって
そこにきたら黙って観てるわけにはいかないの

で、思わずあたしが出てきちゃったってわけ（笑）

あ、質問はここまで

あたし時間制限があるの

だからひとつだけ

あなたはいま、くたびれきって身動きすらできない

それはね
あなたがもう気づいたからなの

自分をずっと疲れさせてきたもの

あなたはそれに気づいた
わりと最近

そう

抵抗

あなたのなかにある深い抵抗なの

不安に

退屈に

自分の無力さに

なにより愛し合うことに抵抗する

ないふりして無視するの

しかも（笑）
あなた、こうやって上から自分で自分を監視しながらだから

それって異常に疲れる行為なのよ

ううん

抵抗の反対は無抵抗じゃない

あきらめたり放っておくことじゃないの

観るだけ

ただそれを観る

いいとか悪いとかジャッジしないでそれそのものを観る

そのとき　何が起こるか

それはお楽しみ

でもそれがあなたがここにいる意味だし

わたしたちにとっての叡智になるの

つまんなそう？

そう？

宇宙中が息をのむほどの美しさなんだけどな

まあ、そういうゲームだから

あ、やだ
もういくわね

........

ほら　なんて顔してるの

みんなで観てるからね

じゃあね