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【詩】人類のプロフィール

人類のプロフィール
作:hachi

プロフィールを送ってください
と言われたので
書いて送ったら突き返された

「自己紹介ではなく、プロフィールをください」

「プロフィール」で検索してみると
「横顔」という文字が目についた。

「横顔」と入れてenterキーを押す。

横から見た顔つき。

横向きの顔。

比喩的に、人物の、表向きは現れないようなある一面。

プロフィール。


自分の横顔

そういえば、
見たことがない。

自分の横顔
そういえば、
知らない。


子どものころ
祖母の三面鏡に顔を挟んで遊んだ
万華鏡みたいな
無数に「わたし」がいる世界
あそこに
「わたしの横顔」はあったのか

プロフィール
3日たっても白紙のままだ
ブレーカーが落ちたみたいに、思考が動かない
催促のメールをぼんやり見ながら
わたしは、三面鏡に顔を挟んだまま
「自分の横顔」を探している


タイムリミットがきた夜
しかたなく、知らない誰かのプロフィール欄を真似て送信してみた。
多少修正された
真正面から見た わたしの顔。

「プロフィール受け取りました」

すぐにやってきたお礼のメールを
不思議な気持ちで、しばらく眺めた。


人類のプロフィール

人類の横顔

古い古い図書館に、それは眠っている


人類のプロフィール

人類の横顔

開かれる「とき」を、じっと待っている。


わたしはまだ

「わたし」を知らない。




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