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隠れミッキーの時間

「みんな集合してくださーい!」

と娘から家族集合の号令がかかった。

呼ばれて大した用事だったことが殆どないので、何事かをまず言ってくれと「なに?」とリビングから聞いてみたら
「今月も終わりなので、アレやりますよ」の返事。
みんな狭い洗面所に集まった。

洗面所の壁にかかっているミッキーのカレンダー。

そもそも私は、キャラクターの物は家に置かない主義。娘が幼い頃もプリキュアの靴が欲しいだの衣装を着てみたいだの言われたが、一切応じなかった。

キャラクター満載の洋服は、正直好きじゃない。シンプルが好きで、小さい頃からブラウン系のナチュラルな色味の服を娘にも選んできた。

幸い、着るものなんでもいい派の娘は、嫌がりもせずに着てくれた。

親戚の子どもで、母親が地味な服ばかり着せていたら小学生になった時、その反動で赤やピンクを上下で着ちゃうカラフルなお子になったという話を聞いて、これはまずいと思いパジャマと下着だけはキャラ物OKにした。

話は反れてしまったが、そのキャラクター満載のミッキーのカレンダーをなぜ飾っているか、その経緯から。

カレンダーもシンプルなものが好きで、好みのものが無く買わずにいた頃、私の母がちょうどいいカレンダーがあると持ってきたのがディズニーカレンダーだった。

確かにミッキーは可愛い。子どもはもちろん大人だってミッキーは好きだ。ディズニーランドに行ってミッキーを見つけたら写真撮りまくるし、手だって振っちゃう。でも家にキャラクター物を飾りたいとは思わない。

「ミッキーかぁ…」

貰ったものの率先しては飾りたくないキャラもの。

私が好みのカレンダーを買うまで、という自分だけの条件付きでカレンダーを目立たない洗面所に貼った。

そのとりあえずのカレンダーが、我が家のいつものカレンダーに上りつめた理由は「隠れミッキー」が潜んでいるからだった。

2カ月めくりのカレンダーは、イラストの中に5つの隠れミッキーが描かれている。
歯磨きをしながらカレンダーにある隠れミッキーを探す、それが家族の楽しみになってしまったのだ。

そして月末、カレンダーをめくる時期にくると集合の号令がかかる。

それぞれで見つけておいた隠れミッキーの正解発表の会が行われるようになったのだ。正解はどこにも描かれていないので、自力で探すしかない。

すぐ見つかる場合もあれば、最後の1個がどうしても探せない時もある。

そして、今月も正解発表の号令がかかったわけだ。

隠れミッキーが

2カ月カレンダーなので、めくったばかりの頃に隠れミッキーを見つけるとすっかり忘れてしまうという大人の悲しい脳。
娘主体で急に号令がかかるから、慌てて見つけておいた小さいミッキーを探すも新しいカレンダーをめくった日のように白紙状態の時もある。

今月はわりと簡単だったので、さっと思い出し答え合わせとなった。

この遊びをして分かったのが、夫は絵に溶け込み過ぎているミッキーを探すのが苦手だということ。はっきりとここに隠れミッキーいますよ!と主張している場合は問題ないが、なんとなくミッキーを型どり、しれっと物に馴染んでいる場合は、とんちんかんな場所をミッキーだと思っていたりする。

夫の順番が来て、全然違う場所を指差すもんだから一笑いが起きた。

「パパの負け!」



ある年、このカレンダーを貼るのをやめたことがあった。楽しかったのにと反対され、捨てる寸前の丸まったカレンダーが返り咲いた。

いまだにキャラ物は避けている私だが、洗面所のミッキーカレンダーだけは許すことにしたのだ。

思春期の娘と一緒に家族で盛り上がれるんだから、私だけのこだわりは、ここは捨てていいかと思っている。

そして、毎年このカレンダーは母から貰っている。年末になるとカレンダーを持って来て「いつものよ」と娘に渡している。それも恒例になっているのだから、みんなの楽しみをわざわざ奪う必要もないのよね。

隠れミッキーを探すのが脳トレのようになってきているが、もう暫く、我が家の恒例行事として楽しんでいこうと思う。

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