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秋キャンプ

音声配信アプリ「stand.fm」での企画
「#声ッセイ」に参加して書いたものです
テーマは「
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お金を払ってわざわざ野宿する意味が分からない

キャンプに全く興味が無かった夫を2年かけて説得し、キャンプへ誘い出したのは今から7年前のことだ。

夏休みにママ友たちと4家族、総勢13人でグループキャンプ、いわゆるグルキャンデビューを果たした。

コストコで急遽、キャンプ場のレンタル代より安かったコールマンのテントを購入して参加した。

キャンプ慣れしている友達のキャンプ道具は、おしゃれで、機能的で、初心者の私達にはとても魅力的に映った。

想像以上に夫も刺激を受けたらしく、楽しそうに談笑しているのが目に入った。

初日、星空を見上げなら
「俺、天文部だったんだよな」と私も聞いたことがなかった昔話まで飛び出した。

帰りの車の中で夫は、キャンプいいな~を連発していた。

夏も終わる頃、本格的なテント選びが始まった。

とりあえず買った最初のテントは、メッシュ部分が多く、秋からの寒さには耐えられないものだったからだ。

悩みに悩んで、スノーピークのツールームテントを手に入れた。

紅葉の中、家族だけで行くファミリーキャンプはスタートした。


私は、夏生まれなので暑さには割りと強いほうだ。
反対に寒いと唇が紫色になるタイプで、寒さには耐えられない程、苦手。

凍える寒さになる前の秋にキャンプに行くのが、好き。

秋なら体にまとわり付く虫も減り、虫たちも冬眠の準備に入って忙しく、人間をほっといてくれる気がする。

紅葉がきれいな秋。お気に入りのキャンプ場が、軽井沢にあった。

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どこにテントを張っても大丈夫なフリーサイトは、夫にすると心配らしく、自分達の場所がしっかり区切られている区画サイトがあるところ、
1人でも迷わないトイレや炊事場が近い所などが理想的なキャンプ場だった。

そして、そこはご家族で営んでいるキャンプ場で、子ども達が遊ぶ遊具もあり、大勢のグループキャンプは受け付けておらず、ファミリーに優しいという印象だ。

キャンプは、非日常空間ではあるが、
暗くなったら寝て、太陽が昇ったら目を覚ます
贅沢な日常とも言える。

のどかな時間が流れるのが好きだ。

早朝、吐く息がまだ白い中、テントから出てコーヒーをゆっくり淹れる。

鳥のさえずり、風で木々が揺れる音、冷たい朝の空気、自然の中にいる解放感、静かにほっと一息つく。

朝の始まりを時計の音ではなく、自然の音で感じる。
そんな時間が心地よい。

朝ご飯を食べ終わると、いつの間にかキャンプ場で仲良くなったお友達が迎えに来ていた。
娘は照れくさそうに遊具へ向かう。

キャンプ場を経営している方のお子さん達だった。

遊具の場所も遊び方も慣れているはずだ。
楽しそうに遊んでいるのが、座っている場所からも見える。

夕方になると帰って来た娘と合流して、焚火に使う枝を集めたり、大きな落ち葉を拾ったり、自然の中での発見や工夫を一緒に楽しむ。

拾い集めた枝を1か所に集めて、夫が準備する焚火を待つ。

焚火の時間も楽しみのひとつ。
火のゆらぎ、パチパチと燃える音。

会話がなくても炎を見てるだけで癒されるし、反対に普段話さないことも話したくなるような不思議な時間だ。

そして寝る前のテントの中で繰り広げられる恒例の「トランプ•UNO大会」

娘が負けず嫌いだということもキャンプ場で分かったことだ。

小さい時は負けたら泣いていたのに、いつの間にか勝つまで終わらせないタイプになっていた。
この成長もまた面白い発見。

仲間と大勢でワイワイするキャンプももちろん楽しくて好き。

しかし、ファミリーキャンプもまたそれとは違う楽しみ方がある。

子どもが巣立ってしまった後、夫と共通の趣味がキャンプになることを今から密かに楽しみにしている。

2年もかけて説得したが、1回キャンプに行っただけですぐにキャンプの魅力に取り憑かれた夫。

旅館では味わえない贅沢さが、ここにはある。

「毎年ここに来よう」とお気に入りになった軽井沢のキャンプ場だったが、今年、久しぶりにサイトを覗いてみたら閉鎖になっていた。

ハロウィンキャンプをしたのが、このキャンプ場の最後の秋になってしまったのが、残念でならない。

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