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春から新生活

ズズズ・・・

重そうな紙袋がリビングに運ばれてきた。
出発点は、娘の部屋。
これでもう5回目。

「え、また?
そんなに一気にシュレッダーできないよ…」

「部屋から出したいんだよね」

4月から大学生になった娘は
卒業後、早々に部屋を片付けだした。

部屋からリビングに運ばれてくる大量の教科書や参考書。
「メリカリで売ってもいいし、捨ててもいいから」と言う。
選別だけでも大変そうだ。

そして大量のプリント。
「この量は1日2日じゃ片付かないな」とため息交じりでつぶやいた。

テストの余白にびっしりと書かれた計算式を見ながら
受験終わったんだね、と思わず口に出た。

春の暖かさで雪が解けるように
私の中にある何だかわからないカチコチになった黒い硬い部分が
欠けて解け始めているのを感じる。

春から新生活。

今年に入ってから早く春が来て欲しくて仕方なかったのにね。
いざこの時が来たら嬉しさや寂しさが交差する。
子育てが終わるってすごいよね、って他人事のように言っていたのに
え、もうその時期、来ちゃったんだ。

子育て18年もやってきたのか、わたし…
誰も私に卒業証書くれないけど、終了でいいのよね?
まだ学生4年あるけど、成人してるし、バイトもできるし
終わった、ってことでいいのよね?

子育て終わったらしたかったこと、たくさんあったはず。
優先度を自分にする。
行きたい場所に行く。
会いたい人に会う。
友達と旅行に行く。
家事を休む。
飲みに行く。
自分が食べたい物を食べる。
自由な時間を作る。
わくわくすることばかり。

ちょっと寂しく思ってた気持ちは
プリントと一緒にシュレッダーに吸い込まれていった。

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