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思考訓練の場としてのケース面接

コンサル転職で必ずといってもいいほど出題されるケース面接。
今回は、転職経験者の視点から語っていきます。

ケース面接とは、サイトから引用すると、

面接官から課題を渡され、その解決方法を制限時間内に示す面接形式です。
課題の正解は1つとは限らず、解答を導くまでの思考力や論理性も測られることが大きな特徴

https://en-courage.com/articles/3745

 コンビニエンスストアやレストランの売上、ぬいぐるみの市場規模などを算出する事例を知っている方も多いでしょう。
 

あるいはケース面接で実施するフェルミ推定について、アメリカに存在するピアノ調律師の数や、日本国内の電信柱やポストの数などを推定する事例が書籍等で紹介されています。知っている方も多いかもしれません。

ケース面接の考え方は実務でも扱う

ケース面接対策は転職面接のケース以外に使い道がないのでしょうか?
私は、新規事業開発やコンサルティング実務の経験から、“ケース面接的”な考え方は用いることが多いと考えています。
 
とくにケース面接では、与えられた時間のなかで、正解を求めるというよりは、どのように考えたのかのプロセスが見られています。
つまり、「正解は分からないけれど、妥当な検討プロセスを経て得た答えはおそらく妥当である」という前提を置いたうえでケース面接は進んでいきます。これは実務とも似ているといえるでしょう。
 
あるいは、「まったく見当もつかないテーマを与えられ、ディスカッションのなかで妥当な答えを導いていく」姿勢は、コンサルティング以外の実務にとっても非常に有用な考え方ではないでしょうか。
 
さらにコンサルティング実務では、クライアントから「今度、このエリアに新規出店しようと思うんだけど、どれくらいの市場規模になるの?」「売上不振の原因は分かった。じゃあ、今後はどうやって売上を伸ばすの?」「サービスローンチの価格はこのくらいで考えているけれど、それって普及するためには妥当なの?」などの問いに答えます。

つまり、クライアントとコミュニケーションを重ね、問いを分解し、解くべき論点を絞ります。
たとえば売上不振という問いに対して、「売上=数量×単価」と分解し、「じゃあ、まずは数量の観点から検討していきましょう」とか、「単価を競合と比較して妥当なのかみていきましょう」といった使い方、要は因数分解から売上ドライバーや市場全体に影響を与える要因を検討し、論点を絞ることが求められます(※ただし、因数分解すれば解決するわけではないことについては後述)

仮説思考・論点・フェルミ推定などはすべてつながっている

様々なコンテンツで述べられている、仮説思考や論点、あるいはMECE、フレームワークといった考え方は、それぞれが別個で論じられているのが現状です。しかし、コンサルティング実務では「初期仮説の提示、初期仮説を証明できる論点を調査・分析、示唆を出す」一連のプロセスのなかですべてつながっています。
 また、noteでもたびたび指摘されていますが、「ケース面接のお受験化」が問題視されていることも事実でしょう。現実の問題を直視せず、ケース面接のように過去パターンの類推や単純な因数分解から、現実の問題を当てはめてしまうことは、実務にも悪影響を与える可能性があることも否めません。

ただ、ケース面接の検討プロセスが実務でも似ていることを念頭に置くと、面接のプレッシャーも低くなります。ケース面接のノウハウが書かれたnoteやブログをみると、面接官からの鋭い指摘があったことを、たとえば答えがMECEではなくヌケモレがあったから失敗と捉え、すべての指摘に対して事前に的確に対応しようとすることをよしとしている方もいます。
しかし、面接官(※今後一緒に仕事をする相手)と対話を通じて答えをブラッシュアップしていくと捉えるならば、指摘されたことを過度なプレッシャーと捉える必要はないでしょう。

どうやって訓練するのか?

このように実務でも役立つケース面接を練習するにはどのようにしたらよいのでしょうか?私の経験上、①対話を重ねる②まずはゆっくりやる③数をこなす④手を動かすの4つがポイントです

①対話を重ねる
ケース面接の対策を行うならば、相手を使って対話を重ねるのが一番近道だと思います。
なぜなら、自分ひとりで書いた答案には、必ず検討していない抜けモレや論理破綻、そもそも題意に応えていないなどツッコミどころがあるからです。
あるいは、相手に説明しているうちに、自分が出した検討方針の矛盾に気づくことがよくあります。
知り合いのコンサルタントや転職エージェントに自分が解いた問題と答案を見てもらうのが一番効果的です(※私は壁打ち相手として数人のコンサル出身者の方に練習させてもらいました)
何度か添削を受けていくなかで、より”妥当”かつ”納得感のある”答案をつくり、自分のなかでパターン化できるようにするとよいでしょう。
とくにコンサルティングファーム転職に特化したエージェントを利用すると、自分が面接を受ける予定のファームの過去問の閲覧と、自分が答案をみてもらうことができるので積極的に利用しましょう。

②まずはゆっくりやる
ケース面接を受けると、5~15分程度で問題を解き、ディスカッションに臨む必要があります。
しかし、練習の段階では、まずは時間をかけて解くことで、いくつか答案をつくりましょう。一つの問いに一つの考え方を当てはめるのではなく、立式を含めた答案を最低2パターンを使って比較し、選択して解く練習をすると、解法パターンを蓄積することができます。
 
たとえば、同じ売上向上の問題を解くにしても

自社売上=ユーザー数×ユーザーひとりあたりの単価
自社売上=自社が想定する市場規模×自社のシェア

上記2つの方向性のうちどちらが良いのか、与えられたお題に対してどちらが妥当なのかを比較し考えることができます。
このように、いくつか立式し、比較考慮する練習を重ねて解法パターンを重ねていくことで、本番ではパターンを組み合わせ、より短時間で問いに答えることができるようになります。

③数をこなす
出題されるテーマには市場規模推計、売上拡大施策などいくつか出題パターンがあります。
 
以前は転職エージェントや面接経験者のブログなど情報源が限られてきました。しかし最近は書籍やnote、Youtubeなどコンテンツも豊富になってきています。
たしかに、前述したように「ケース面接のお受験化」が問題視され、就活塾や優秀な学生(?)を選抜したコミュニティの存在を疑問視する声もあるようです。
しかし、テクニックで乗り越えたケース面接と実務に乖離があったとしても、就労機会が広がるのであれば、私は別によいと思っています。
いろんなコンテンツを使って問題と解答に触れていきましょう。
ただし、触れるコンテンツについて、個人の経験や感想よりも、より実用的な思考のプロセスがしっかりわかるものを選ぶとよいでしょう。
 
さらに自分で解説できそう・あるいは答案を読み、しっくりくるものについては、立式部分を暗記すると回答時間の短縮につながります。

④手を動かす
とにかく手を動かして自分の頭で考えましょう。これは①~③と重複しますが、MBA在学生(※とくにコンサル出身者の授業やゼミに入っている学生に多い)にありがちなのが、教員や指導者の解法プロセスや答えに感心して終わるパターンです。目の前で経営課題が鮮やかに解決していく姿を間近でみることに慣れきってしまい、なんとなく自己投影して、わかった気やできる自分になった気になるパターンです。当たり前の話ですが、彼らは鮮やかに解決できるように、前提条件を揃え、問題設定(※問題を解く範囲を決めている)しているから”鮮やかにみえる”のであり、答えだけ知っても再現性が少なく単なる畳水練で終わります。

おすすめの書籍

本稿でケース面接のメソッドについて論じるより、下記の書籍のほうがまとまっているため教科書として使うことをおすすめします。

自分の答案を見てもらいたい方に“通信添削”

「自分で解いたけれどわからない」「どのようなことが実際聞かれるのか」という方にむけて、wordで答案を送っていただければ、私が添削し(※1回の購入で添削×2回を想定)、お戻しします。
 
まずは私が過去に検討したケースを用いながら、求められている視点や考え方の流れについてお伝えしたいと考えています。
以下、添削の概要をお伝えします。
ご興味がある方は有料記事に記載されたメールアドレス宛に答案をお送りください。

・添削料は設問①~③のいずれか1テーマ380円から
(※テーマは追加予定です)
・1回の購入で添削回数は2回
・答案受領から1週間以内にコメント・講評をつけて返却
・その他のテーマでもご自身が解いたケース内容についても1テーマ380円か
 ら添削します

基本となる考え方として。まずは以下の設問の①~③のうち、いずれかを解いてもらう流れを想定しています。(※設問②以降は有料版で公開)オーソドックスな問題だと思いますが、いったん書ききってみましょう。
 
【設問①】
1.日本国内の家庭用炊飯器の市場規模を求めよ
2.クライアントに対し、家庭用炊飯器の売上拡大施策を考えよ。ただし、クライアントは業界第3位と仮定する
 

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