見出し画像

感動すると「登る」

水木しげるセンセイはマンガだけでなく文章も大変達者なオカタであり、エッセイの類も膨大に出されております。
なかにたびたび「木に誘われる」お話を書いておられる(._.)。
それは従軍中南方の島での体験で、戦争中とはいえあまりにジャングルが美しい。ついその密林の中に分け入ってしまう。その時ばかりはいつも空腹と疲労の極みにある軍隊生活なのに、バカに斜面を登る足が軽い。歩けば歩くほど元気になってしまう。これは「木に誘われたのだな…」とハッと気づいて引き返した、とまあそんなお話をけっこうたびたびされている。

当方はこのお話の「感じ」がよくわかる気がします。





このGW、ヨメさんと共通の友人イラストレーターO氏を伴って、近場に軽い旅行に出ました。もともとヨメさんと「風祭」という駅にあるかまぼこ造り体験をしに行く予定でしたが、急に遠方よりO氏が来てくれることになった。じゃあせっかくだからとヨメさんとO氏にかまぼこをまかせ、その間当方は近場の風景を撮ってくることにしました。

おとといのつぶやきはその時のものです。

この風祭という駅は有名な箱根登山鉄道にあるので、きっと周辺の景色もいいだろうと当方アタリをつけておりました。ただ下調べは何にもしていません。なんとなく山のある方に向かって歩き出した。







正直この辺で、ちょっとヤバイなとは思っていた(*´з`)。

これは間違いなく登ってしまう。

知らない町だし、山の装備も持っていないけどいちおう上着と非常食はあるし、車道もしっかり通っていそうだ。まず危険はないだろう。しかし問題はそういうことではない気がする。なんというか、これは「そういうことになるだろうな」という予感の問題です。自分の意思なのかどうかすでに怪しくなっております。
いちおう、あの木陰のところまで行ってみようか…。

あっ、これはもうダメだ。

わかっていて来てしまった時点でもうダメだったのです。これはもう、行くところまで行くしかない。この時はすっかり忘れていましたが、帰って来てよく考えて冒頭の水木しげるセンセイのエッセイを思い出しました。木が誘うってのはこういうことでしょう。


一応余計なご心配をかけたくないので言いますが、別にけもの道に分け入ったんじゃありません。ちゃっとした道です。

ところで、このごろよく考えるのです。
山に登ると表現欲が満足するのはなぜだろう?

表現とは、当方もマンガや文章などを書いて表現でメシ食っとる末席の一人ではありますが、しかし去年体をすこし壊してからはこうして山に登ってばかりいる。いわゆる表現活動のペースはだいぶ落としています。以前は健康のために体を動かすことがあっても、それ以外に何か「表現のタメになること」をしないと焦るというか不安があったような気がします。この焦りが神経痛の一因でもあったわけですが…。

しかし山に登ると、当方は、何かを表現しようという「焦り」がキレイになくなってしまう。

その理由が、おとといここを登っているときなんとなくわかったような気がしました。




それは当方にとって

登ることがもうすでに「表現」

だからです。
詩人は感動したら詩を書くし、絵描きは絵を描く。音楽家は曲にするでしょう。
感動を自分の言葉、絵、曲などにするのを表現だの創作だのとまあ一応いうわけだ。それはそうせずにはおれないからするんで、別に方法は問わないわけです。すると

キレイな山を見て思わず登ってしまった、登らずにはおれなかった

というのも当然「表現」である。いつも手とペンですることを、足でやっただけのことです。だから表現欲が満足する。
こういうのは、健康のために走るというのとは根本的に違いますね。
ちなみに以前は何かやったら「これはnoteのネタになる」と思いましたが、今はあんまりそう思わない。これ以上表現しても屋上屋を架すというか、自分が満足してんだから別にいいかと思う。投稿数も減ってますが、表現がしたくなくなったわけじゃないんです。むしろ毎日してる。ただ記事になりにくいだけです。山歩いてるだけですから(笑)




何という眺めだろう!





美しすぎる世代交代





当方はこういう景色を絵に描きたいと思うけど、それは今こうしてパソコンに向かっているからです。

おとといはそれどころじゃなかった(笑)

この道を目の前にしたときの高揚感、沸き立つドキドキをどうしたらよかったのでしょうか。目に痛いほどの緑といい匂いと頭上を飛ぶジャコウアゲハをなんとしたらよかったのか。少なくともその時はペンもって紙に書くなんてまどろっこしいことは思いつきませんでした。

描くかわりに木の中に突入して登って登って、その思いを血の中に溶かし込んで体中一回りさせて、汗に変えて体の外に出してしまわなければどうかしてしまいそうだという気持ち。実際に登って汗をかくという行為。そういう方法しか思い浮かばなかった(*´з`)けどこれはやっぱり表現でしょうね。

下山して後、友人O氏が当方の顔を見るなり

朝と別人になっている(-"-)

といいました。さすがイラストレーター、見てわかるんですね(笑)。

その友人O氏とヨメさんが焼いてくれたちくわがこちらです。



上がO氏、下のがヨメさん作。

最後になりましたが

風祭の練り物はこの世でいちばん旨い

という事実(少なくとも当方にとって)を、付記しておきます('ω')もうこの一言で終わらせないとまたもうひと記事かかにゃならんので…。

ではお粗末様でした(*- -)(*_ _)ペコリ


たくさんのサポートを戴いており、イラストももう一通り送ったような気がするので…どんなお礼がいいですかねえ?考え中(._.)