病気ってどれくらいの時間をかけて受け入れていくんでしょうか。

わたしが全身性エリテマトーデスだと診断されたとき、ショックというより正直ホッとした感覚のほうが強かったんですよね。

息苦しくて、からだはだるくて、ごはんは食べられない。いっこうに良くなっていく感じがしないのに、「肺炎の薬を飲んでるんだから様子を見るしかありません」と、それ以上の検査もしてもらえなかった時間があって、出口のない道に迷い込んだような感覚がしていたから。

治療がはじまって、からだがどんどん楽になっていったとき、気持ちもどんどん前向きになる・・・かと思えば、検査の結果に一喜一憂、はものすごくありました。

すぐに死ぬ病気ではないとはいえ、治療がうまくいくんだろうか、とか、これからはわたしは《 病気をもったひと 》というカテゴリーのひととして生きていかなくちゃいけないのだろうか、とか。

夜中に目が覚めてはこわくなって、ふとんのなかで丸くなって泣いて、いろんな情報に触れたり、病気の本を含めてたくさんの本を読んで、前向きになって、なんていう時間を過ごしているうちに、わかったことがあったんです。それは、

《 いま、ここから、じぶんの道を歩いていけばいいんだ 》

ということだったんです。

病気になったことで、『健康なひと』というカテゴリーからはずれちゃうのかな、っておもっていたのですが、そもそも健康ってなんなんだ、と。

わたしにとっての『健康』ってなんだろう、生き生きしてるなって感じられるときってどんなときだろう。

わたしにとっては、新しい世界を見てワクワクすることだったり、好きな音楽に身をゆだねて音と一緒になってとろけちゃうような感覚を味わうことだったり、そういう経験をたくさんすることだなっておもうんです。

疲れやすい病気だから、いままでやってきたようになんでもできなくなっちゃう、ってネガティブに受け止めていたんですけど、そうじゃなくて、病気になったことで、できることとできないこと、やりたいこととやりたくないことをちゃんと意識して、分ければいいんだって気がついたんです。

わたしにとっての『健康』な状態であれるように、からだを休めることだったり、いやなことは無理しないで断るってことだったり（まだまだできていないこともありますが）、好きなことをする、ってことだったり。

じつは先月、目の検査をしてきました。

突然ですが。今飲んでいるプラケニルというおくすり。免疫調整剤というくすりなのですが、この薬を飲んでいると、目の副作用症状が出やすいんですね。それで、１年に１回は眼科で検査をするように、ということで受けてきたのです。

そして、言われたのが。

「白内障になりやすいみたいですね」

白内障。
白内障って、高齢者がなるものじゃないの？

白内障、ということばを聞いて、正直心臓がバックン、とおおきくうったのがわかりました。
これからどうなるんだろう。

先生は「見えなくなったら手術すればいいだけなんで、そんなに重く考えなくていいですよー」と。

いやいやいやいやいやいや。

ステロイドを長期に飲んでいたり、アトピーだったりすると、若くして白内障になるひともいるみたいで、そんなに重く考える必要はないみたいだったけど、最初に聞いたときはやっぱりけっこうショックでした。

手術すればいいっていったって、ステロイドを飲んでいれば、感染のリスクは高くなるわけだし、免疫抑制剤もたくさん飲んでるんだからそう簡単に考えてもいいものなんだろうか、ともおもうのです。

でも、です。

白内障は、進行を止めることはできません。
だけど、進行を遅くする薬はあります。（どれだけ効くんだろう、ともおもったりもするわけですが）

でも、だからこそ、今できることをするしかないんです。
今できることをして、白内障になっているのかなりかけているのか（たぶん、白内障がはじまっているということなんだろうとおもうのですが）白内障の今、わたしにとっての『健康』な状態を目指したらいいじゃん、と思っているんです。

かわいそうなわたしじゃないです。

白内障があったって、病気があったって、『健康』な状態でいられるし、『しあわせ』になれるし、どうにだってなれるんです。

起きていることは事実で、それはそれとして受け止めつつ、そして医者まかせにするんじゃなくて、じぶんでできることはやります。だってじぶんのからだだもん。

そのうえで、せっかく生かされているこの時間を、どう使うか、はわたし次第なんですよね。

わたしにとっての『健康』な状態で、生きているこの時間を味わうことがわたしにとっては最大の幸福なんです。

だから、状態が変わったとしても、どんな状態になったとしても、そりゃあ落ち込む時間があってもぜんぜんいいけれど、そこをスタートラインだとおもって、じぶんの道を歩いていけばいいんじゃないかな、とおもうんです。

無駄になんてできないですよね。
だって『じかん』は『いのち』だから。