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2次元の嫁と結婚する方法 ~夢の考察~

2次元の嫁と結婚する方法で手っ取り早いのは、夢を見ることである。

ヴァーチャルリアリティとかセクサロイドとか言われて久しいが、なかなか実用化される気配がない。
結局今の所、夢というのが一番手軽で現実的なのではないか、と思う。

改めて説明するまでもないかもしれないが、
2次元の嫁とは、
マンガやアニメ、ゲームのキャラクタで、
好きすぎて夢中になってしまう存在を指す。
「推し」とも言う。

またここでは、結婚そのものよりも、結婚生活の前段階として、
恐らく多くの人間が欲する、肉体的な接触、
つまり手をつなぐとか、腕を組むとか、肩を抱くとか、ハグをするとか、キスをするとか、セックスをするとか、
そういった行動(以下、この記事内ではこれらの肉体的な接触に伴う行動を「2次元と絡む」と表記する)
を2次元の嫁と体験したいという、
いわばオタクとしての究極の夢について考察する。

さて、例えば、マンガの場合、
自分は肉体を持った3次元の存在なのに、
紙に描かれた2次元の嫁と絡むことができるんだろうか?
という不安がある。

のっぺりとした線で描かれた二次元のキャラは、
意識してしまうと「線と塗り」という存在であると思い知らされる。
肌ものっぺりとしており、
唇も肉感的ではない(肉感的な描き方もあるが)
それに対して自分は確かに肉体を持っており、
匂いも発する、肉々しい存在である。
2次元のキャラと肉体的に絡もうとしても、
何も感じないんじゃないか?
という懸念があると思う。

それに関しては、私の体験を少し書いてみたい。
私は過去に、意図せずして、
自分の推しである2次元嫁と、
セックスまではいかないのだが、手が触れ、ハグをする夢を見たことがある。
その時思ったのだが、それら(2次元のキャラと果たして肉体的接触ができるのか?)の懸念は杞憂だった。
夢から覚めた時、十分に満たされ、非常に幸せな気持ちになったのを覚えている。
改めて人間の脳というのはすごい。
マンガのキャラだろうが、アニメのキャラだろうが、
夢の中で触れている時、
人間に触れているのと実感がそう変わらないのである。
その時の感触は、
脳が完全に補完してくれているのであろう。すごい能力である。
それは過去に他の誰かと触れ合った記憶かもしれないし、
「それが全く別人の体験だから嫌だ」
あるいは「そんな体験した事ない」という場合でも、
先祖の記憶が遺伝子に保存されている、と考えるでもいい。
いずれにせよ、由来はともかく、
夢の中で2次元のキャラとハグをすると、
実際にハグをした感触を感じるのである。

また、2次元嫁の顔や身体が線とインクでできているから冷めるという不安もあったが、
それも、夢の中の体験では心配することがなかった。

これはみんな感じていることだと思うが、
夢の中では、基本的に「これこそが現実だ」と思っており、
目の前にある景色、感じている5感について、
全く疑問を感じていない。
その時は、目の前にいる2次元嫁との絡みにのみ集中している。
「冷める」とは「現実に戻される」というように言い換える事ができるかもしれないが、
そもそも夢を見ているその場において「戻される現実」というのは、
今体験している夢の中に他ならないのだ。
夢の中では、夢の中こそ現実なのである。

※余談※
(だからこそ「胡蝶の夢」などのエピソードもある通り、
哲学の世界では、
「今見ているこの世界は夢の中なんじゃないか」
という命題がしばしば現れるのだと思う)
※余談終わり※

という訳で、夢を見ている間は自分は完全に現実を体験しているのであり、
「これは夢の中なんだ」といういわゆる明晰夢な状態にならない限り、その夢の中では心置きなく2次元嫁との絡みを楽しむことができる。
そして目覚めた後は、幸せな気持ちだけが残る(場合によってはそうでないこともあるが)。
もっとも、明晰夢の方は、さらにその体験を楽しめる可能性を持っていると同時にリスクもある。
少し脱線するが、
明晰夢は「これは夢なんだ」と認識することにより、
一気に目が覚める危険性もあるが、
「自分は今推しと肉体的に絡んでいるのだ」と意識するがゆえに、
さらにその体験を楽しめるというメリットもある。
夢の中で「これは夢だ」という疑問を持っていない状態とは、
いわゆる現実の記憶がなく体験だけの状態であり、
目の前で2次元嫁と絡んでいても、
それがどれだけ幸せな事か気づいていない。
目が覚めて初めて、
「あ、今日は推しと絡む夢だったんだ」と思うのである。
もちろんそれはそれで十分な幸せなことである。
しかし、リスクを背負ってさらに先に進もうと思った場合、
明晰夢になることによって、
2次元嫁と絡んでいる幸せを夢の中で気づくことができる。
恐らく感動が身体(というか意識)を駆け巡り、
そこからはもう、好きなように体験を進めることができる。
(適当に言ってしまうが、たぶん多くの人が、
ガバっと、目の前の2次元嫁を襲い、セックスしようとするんじゃないだろうか)
ただしこれは先にも書いたようにリスクもある。
一つは、
目の前の存在が線と塗りで描かれた存在であると意識した故に、
冷めてしまう可能性があるということ。
しかしこれは、そう心配していない。
というのも、「これは夢なんだ」と明晰夢であると認識するまでは、
普通の夢だったのだ。
そこで2次元嫁と絡んだという経験があるので、
すでに体験できているのであって、今さら冷めるというのは考えにくい。
それより何より、目の前の2次元嫁と絡めることの喜びの方がずっと勝るのである。
さて二つめだが、こちらの方がより深刻である。
つまり、今までの私の経験上、
明晰夢であると感じた時は、目が覚める可能性が高いのだ。
だがこちらも、
それは普通のよくわからない夢だったからであって、
「いやだ、目覚めたくない」
という、強い意識を持ってすれば、
目覚めを長引かせることも可能なのである。
私は明晰夢を見たことが何度もあるが、
その中でいくつかは、
「この夢をもっと楽しんでみよう」と、
夢の中で考えられたことがある。
そんなとき、どこかに「覚めよう」とする意識が生まれるのか、
ものすごく意識が不安定で、
ややもすると目覚めの方に引っ張られる感覚に襲われるが、
それでも必死に念じていれば、
わずかに目覚めを引き延ばすことができた。
だから、
これはまだ体験したことがないが、
2次元嫁と絡む夢を明晰夢として感じた場合、
その「目覚めたくない」という気持ちは、
何にも増して強いはずなのだ。
もしかしたら、目覚めをもっと長引かせる事も可能なんじゃないかと思われる。
ところで、そのようにして、
「目覚めたくない」という強い気持ちによって、
夢の中にとどまった結果、
面白い副作用がある。
それは、逆に不安定な意識が一時的に落ち着いた場合、
今度は夢から覚めれなくなってしまうというものだ。
夢の中で、自分の意識が戻っても、
夢から覚める方法が分からないのである。
これは、もし普通の夢だった場合、
焦りとなる場合もある。
というか私は実際にそれを体験した。
「覚めろ覚めろ」と念じるだけでは、覚めないのである。
あれは不思議な感覚だった。
もっとも、何度も「覚めろ覚めろ」を繰り返していると、
そのうちぽっかりと目が覚めたことが多いのだが。

ところで、ここからは私の想像というか妄想の域に入るのだが、
もし、
目の前の2次元嫁と絡む本当に幸せな夢を見て、
それが明晰夢になったとき、
「このまま目覚めたくない」
という気持ちが異常に強かった場合、
そのまま目覚めないというのは可能だろうか。
もちろん、一般的には現実に戻りたいと思うのが普通だろう。
残される人たちもいるし、
やり残したことだってたくさんある。
しかしもしも、
現実の生活が本当に辛い、と思っているときに、
そのような明晰夢に出合った場合、
本気で芯の底から「目覚めたくない」と思った時、
夢から覚めない状態になるのは可能なのだろうか。
ダニエル・キイスの小説「眠り姫」のように、
そのまま目覚めない可能性もあるのではないか。
その時こそ、その人にとっては、
夢が現実になるかもしれない。
もっとも、家族が入院措置などをして救ってくれないと、
例えば一人暮らしであった場合、孤独死してしまう危険性があるので、
近しい人に、「俺に〇日連絡が取れなくなったら必ず様子を見に来てくれ」みたいにあらかじめ用意しておく必要があるかもしれない。
もし、それが上手くいって、
例えば家族でも友人でもいいのだが、
覚めない夢に入ってからせいぜい一両日後に様子を見に来た人が、
「起きろ」と言っても起きない自分を見て、
最後は入院させるのかもしれない。
そうなるとしめたものである。
点滴につながれながら、
そこから何十年も、
幸せな夢を見る事ができる。

そういった妄想はさておき。
夢に比べると現実の方がやはり肉体的な感触はリアル度が高い。
現実の触れ合いが100%だとすると、
夢の中での触れ合いは40%くらいだろうか。
それでも目が覚めた時、
2次元キャラと絡めた喜びにより、
少々の体験の薄さは吹っ飛ぶのである。

言っておくと、そこは3次元嫁の場合でもそう変わらない。
上のエピソードと同じように、
私の体験で言うと、実際に見たことのない3次元の女性や、AV女優のような存在と絡んだことがあるが(こちらはセックスも含まれていた!)、
目が覚めてから感じたのは、
実際のリアルの体験に比べると、
やはり薄味だったということだ。
だが、そんな事は問題ではない。
エロい夢を見たということが重要なのだ。
体験の薄さは、
体験をしたそのものという事実の前には、霞んでしまうのである。

という訳で、この記事も長くなってしまったが、
最後に、
というかここが肝心なところなのだが、
自分の見たい夢を見る事は可能なのであろうか?
という部分についても少しだけ書いておく。

結論から言うと、
訓練すれば見れるようになる、らしい。

これについては、
ネットで「明晰夢」というキーワードを検索すると、
いろんな記事や本が引っかかるので、
詳しくはそちらを参照して欲しいのだが、
要は明晰夢(つまり夢の中で「これは夢だ」と認識する夢)を見る訓練を続けていると、次第にその夢を自分で望むままにコントロールすることもできるようになる、というものである。

ネットを見ていると、本だけでなく、最近はグッズや機械なんてのも扱っているようだ。
スピリチュアル系の怪しいものも多いので注意が必要だが、中には科学的に基づいた、科学者や精神医療従事者が書いたり開発したのもあるようだった。

もし夢というものを自由自在に操れるのなら、
それはその世界で神になったのに等しく、
なんでもやりたい放題である。
もちろん2次元嫁と結婚しイチャイチャすることなどたやすい。

訓練の方法については詳しくは長くなるので省略するが、
基礎訓練として、まずは夢日記を毎日つけるのがいいらしい。

もし自分でコントロールできる夢を本気で見たいなら、
試しに明晰夢の研究をしてみるのもいいのではないだろうか、ととも思う。

(ちなみに私は見たい夢を見るというものがちょっと怖いので今のところあまりやってないが……)

という訳で、
今回は夢の中で2次元の嫁と結婚することについて考察してきた。

これを読んだ人が良い夢ライフを送れると幸いである。

<参考Web記事>

夢を思い通りにコントロールできる?「明晰夢」を見る方法を大学教授に聞いてみた
https://www.toyo.ac.jp/link-toyo/life/lucid-dream/

好きなアイドルの夢をみる方法はある…大学生が「嵐」を夢の中に登場させるためにやったこと
https://president.jp/articles/-/66549

(追記)
ところで、二次元の嫁と結婚する(イチャイチャする)願望が強すぎて苦しいという場合、
現実でその苦しみを少しでも和らげるため、
2次創作をするというおすすめの方法がある。
マンガでも小説でもいい。
最初は下手で構わないが、
一日に数時間かけて、
毎日努力すれば、
一年後にはかなり読めるものになっていると思う(確か三田紀房の「銀のアンカー」だったと思うが、一日20時間、365日続けたら、大抵の事はプロ級になれるというエピソードが描かれていた)。

2次創作をお勧めする点だが、
ポイントとしては、
妄想が捗るというところである。

例えば私はノクターンノベルズに小説を投稿している(最近サボりがちだが)。
その時、妄想という名の構想を練るという作業をするのであるが(私の場合は2次創作はあまり無くほとんどがオリジナル作品であるが)、
私の経験からすると、
普段単に妄想をするよりも数段、
妄想のレベルが上がるのである。
恐らく作品に落とし込むことを想定した執筆作業をすることによって、
細部まで設定やセリフを考えるから、
非常に具体的に頭の中で想像されるのだと思う。

二次元嫁と結婚したいと強く願う人は、
その妄想を頻繁に行うと思うのだが、
単なる想像だけではなく、
何かしらの創作作業の前段階としての(妄想という名の)構想を練ると、
非常なリアリティを持って充実する。

ちなみに、
実際に作品に落とし込むかどうかはもちろん自由であるが、
私の経験からすると、
(稚拙でも)作品をいくつも書いた上で、
実際に作品に落とし込むという前提で妄想した方が、
そのレベルは段違いに上がる。

もちろん実際に作品に落とし込むのもおすすめである。
私の場合は小説だが、
テキストエディタに文字を打ち込むとき、
筆が乗ると頭の中の妄想が爆発する。
その瞬間は非常に恍惚を感じるのである。

作品が完成したら、サイトに投稿したり(もちろんいろんなサイトがある)、
それに対するアドバイスをもらったり(アンチアドバイスもあるので諸刃の剣だが)することにより、
完成したことによる充実感が得られると共に、
さらに続編を書きたくなる。
そうなるとさらにまた構想という名の妄想が捗り、
その創作活動をエンドレスに楽しめる。
その段階までいくと、妄想するだけでも十分にレベルが高まっている(故に作品に落とし込む時間がない場合ついサボってしまうが)。

という訳で、
二次元嫁と結婚したい気持ちが強すぎて身もだえする人には、
創作活動は、めちゃくちゃおすすめなのである。

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