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会社という迷宮、子育てという迷宮、コンサルワーママのゴールは見えない

 『会社という迷宮』という本を読んだ。経営コンサルタント、という世にも怪しげな職で長年稼いできた著者が自省する。私のような若手〜中堅コンサルタントでもうんうんと頷く指摘もあれば、まだわからない奥深い悩みもあった。

何より驚くべきことは、現代の企業がその「戦略」なるものを、あらかじめ大々的に発表・公表していることである。
(中略)
そもそも、戦前に手の内を広く公表する人、相手に対して「私はこの作戦でいきますよ」とあらかじめ詳らかにする人など、どの世界にいるのだろうか。

石井光太郎『会社という迷宮』、「戦略」

 ほんまそれよなぁ。戦略、という言葉は方針を示す、くらいの意味しかない。

 この戦略は筋が悪すぎる、というクライアント、こうやれば成功する未来が見えているのに動かないクライアントが時々いる。なんでこんなことになるのか疑問に思っていた。

 逆に、きれいな戦略に則って数字を伸ばすクライアントがいる。こちらの方が多数。CS評価もいい。しかし頭の片隅で「本当にこれでいいのか……」とモヤがかかったりする。

 本書によると、会社とは人間的なものらしい。論理で決まっているものではないらしい。コンサルタントがクライアントの会社の”人間的な部分”まで入り込めていたら、違う景色が見えるのかもしれない。でもなかなかそこまで難しい(私のコンサルスキルや経験が不十分というのは一旦置いておいて)。


 本を読んでいて、子育てを思い出した。
 科学のバックグラウンドのある私は、科学を信じて生きてきた。妊娠出産は医学、子どもの成長は発達心理学として研究されている。今の科学を信じて従っていれば、妊娠出産も育児もうまくいくと思っていた。
 論理を振りかざせばコンサルの仕事はうまくいくと思っていたのと同様に。

 でも目の前の子ども、家族、周りの人々はばらばらの人間で、論理で動いているわけではない。科学や論理は現実世界の複雑に絡み合うファクターを捨象して、抽象化してしまう。A→B→Cと進めばきれいだが、現実にはAにL, M, N、BにS, T, U、CにX, Y, Zと複雑にファクターが絡み合っている。そしてN=100のうち、80や90は科学に当てはまるかもしれないが、10や20の方は外れ値として無視される。そこに自分の子どもや自分自身が入っているかもしれないのに。

 知育とか早期教育とか、「なんかよさそう」「科学的にもある程度裏付けされてる」ものがいろいろとある。本屋に行けば『頭のいい子が~』、『才能を伸ばす~』、『世界標準の~』といった育児本が並んでいる。子どもを東大に入れたママとか、知育ママというのはコンテンツになっている。
 もちろん皆子どもに幸せになってほしいというゴールは一緒で、否定するものではないのだけど、コンサルの仕事のモヤと構造が一緒だなと思う。

 例えば、私が仕事で相手にしているのは医薬品市場で、他の分野に比べて大きいとか小さいとか、患者数がたくさんいるとかいないとか、競合品の開発が進んでるとかいないとか、そんなことを日々喋っている。
 病気で困ってる患者さんを助けたい。その思いは皆一緒なのに、なかなかそこに辿り着けない。

 

 会社という迷宮で会社人が彷徨っているなら、子育てという迷宮で親は彷徨うしかないのだろうか。科学で抽象化した方法論に子どもを当てはめるのは、本当に正しいのだろうか。何かが引っかかっている。
 
 子どもが自然に育つのを後ろからそっと見守るくらいがベストなのかもしれない。クライアントと子どもが困ったときに、話してみようと思われるのが、コンサルワーママの目指すところなのかもしれない。


本はこちら↓

会社という迷宮 経営者の眠れぬ夜のために


 今まで書いた中で一番まとまりのないふわふわした文章でした。これからしばらくこういうのが続くかもしれません笑
 最後までお読みいただきありがとうございました。

≪終わり≫

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