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DMMから「想定外」の転職。LayerX 松本勇気はコーチングでどう変わったか?

コーチングによって、挑戦する「社会家」の背中を押す
CarpeDiem株式会社 代表取締役の海野と申します。

コーチとなる以前は、とあるベンチャー企業で創業期から東証一部上場までを突っ走っていました。では、なぜコーチに?

という背景話は、以前詳しくこちらに書きました。
おかげさまでたくさんの方に読んでいただいています。

が・・・。

こちらで興味を持ったものの、実際どんな方が僕のコーチングを受けて、どんなふうに変わっていったのか知りたいと思った方もいらっしゃるかと思いました。

そこで、過去に僕のクライアントだった方々に連絡し、近況とコーチングのビフォーアフターを伺ってみることに。

第1回は、「すべての経済活動を、デジタル化する。」をミッションに掲げる株式会社LayerXの代表取締役CTO松本勇気さんとの対談です。

〜プロフィール 松本勇気(まつもと・ゆうき)〜
株式会社LayerX 代表取締役CTO。
東京大学工学部在学時の2013年に、アルバイトとして株式会社Gunosyに入社。その後正社員となり、2015年よりCTOとして技術組織全体を統括。また株式会社LayerXの前身となるブロックチェーン研究開発チームを立ち上げる。2018年より合同会社DMM.com CTOに就任し技術組織改革を推進。大規模ウェブサービスの構築をはじめ、機械学習、ブロックチェーン、マネジメント、人事、経営管理、事業改善、行政支援などを幅広く経験。2019年日本CTO協会理事に就任。2021年3月より現職。

LayerXと趣味の近況報告

海野:ご無沙汰しております!今日はお時間いただきありがとうございます!

早速ではあるのですが、よかったら簡単な自己紹介も兼ねて最近はどんなことをされているのか教えて頂いても良いでしょうか?

松本:エンジニアリングと経営の交差点あたりで、組織作りやプロダクトづくり、採用、そういったところを中心に会社づくりをやらせていただいております。

会社としては今はこの背景にある「バクラク」、これは経理向けSaaSと法人向けクレジットカードを出しています。

あとは、三井物産デジタル・アセットマネジメントという会社を三井物産様等と合弁で作っておりまして、今1,200億円ほど運用させて頂いております(2022年9月7日時点、クロージング中も含む)。

他には、プライバシー保護技術の実用化を目指す事業もあります。あとは個人的な活動では日本CTO協会理事をしていたり…。

海野:相変わらず精力的に色々やられていますね。

コロナによる社会変化がコーチングのきっかけ

海野:僕らの出会いは、2020年でしたよね。松本さんは当時DMMさんでCTOをされていた。

松本:そうですね。

海野:そこからご縁をいただいて、半年ちょっとぐらいですかね。コーチとして伴走させていただきました。改めて、当時どんな状況でどんな状況だったのか、教えてください。

松本:2020年の5、6月ぐらいですかね、スタートしたのが。ちょっと正確な月が分からないですけども。当時は DMM という大きな会社の CTOをやっておりまして、グループ全体でエンジニアが1000人弱いる会社ですね。

その会社のテックカンパニー化を任務として2年ほどやっておりました。その頃には色々な戦略が動き始めていて、新たな戦略を立てるというよりも、回り始めた歯車を滞りなく回し続けるフェーズになっていました。僕はモニタリングして仕組みを上手く回していく立場になっていました。

海野:ちょうど、コロナが日本でも大きく問題になりパニックになっていた頃ですよね。 

松本:はい。それぐらいまだ情報も対策もまとまっていない頃で、初めて日本中がリモートで働こうとか、そういう風潮が生まれてきたタイミングでしたね。

僕は世の中のでっかい仕組みが作り変わるのが面白いと思っていて、当時も「日本のデジタル化に貢献したい」「日本を作り変えたい」と思っていました。

2018年にDMM に入ったのも、その第一歩として、まずは3000人の会社のCTOをやってほしいというオファーがあり、そのゴールに向かって、DMMで改革をしていて、2025年ぐらいまではしっかりやり切ろうと思っていたんですが、コロナで市場環境が変わって、世の中のデジタル環境が一気にシフトしていったのが当時でした。

デジタル環境がいきなり変わって、みんなデジタル化しなきゃって言い始めて。元々の予想だと、日本は2025年頃に世界のデジタル環境の中に置いて行かれて、どうにもならなくなってからようやくみんな移行してくのかなって話だったのに。それが一気に進んだ。
じゃあ僕は今後どうしようかっていうのがその頃でした。

〜補足〜
松本さんがおっしゃっているのは「2025年の崖」問題。経済産業省が「DXレポート」にて提示した、日本の近い将来に対する警鐘です。2018年に発表された同レポートでは「日本企業がDXを推進しなければ、2025年以降の5年間で、最大で年間12兆円の経済損失が生じる」と記され、多くの企業に衝撃を与えました。

コーチングのどのような点に関心を持ったのか?

海野:そんな中、コーチングのどんな点に関心を持ったのでしょう?

松本:元々僕は、学生時代以降CTOじゃなかったことがほぼないみたいな状況で、自分がマネジメントをされたことはあんまりないんですよね。どちらかというとマネジメントする側であり、人のコーチングをする側で。自分が受けることってないなと。だから、これは一回は受けてみたいなと。

それから、当時『1兆ドルコーチ』がベストセラーになったり、新たなコーチングサービスの話もちょこちょこ増えていた時期だと思うんですね。それで興味があったのも理由です。

あと、前々から対話によって思考が整理されるなというのは実感していました。よく妻との対話を通して思考を整理してもらうことがあったんですよね。

海野:なるほど。対話の重要性やコーチングの価値を信じていらしたからスムーズに進んだのかもしれませんね。

はじめてのセッションでは、趣味の話をしましたよね。料理の話。培養肉みたいな新しい技術の話だったり、ガストロノミーのような料理の話だったり、新しい世界観のレストランを作りたいみたいな話とか。仕事ではなく趣味の話から入ったんですよね。

実は料理が好きなのに忙しくてあまり出来ていなかったところから、やりたいことを決めたらドンドンと実行に移されていきましたよね。そのスピード感が速かった。

振り返ってみて初回の印象はどうでしたか?

松本:話を引き出すのがうまい方だなと思ったんですよね。聴き方がうまい方に、自分でもまだ言語化できていない部分を引き出してもらうことを大事にしているので、ぜひお願いしようとなりました。海野さんなら色々引き出してくれそうな感じがするぞと思ったんです。

半年のセッション Before⇒After

海野:そこから半年ほどご一緒させていただいた中でどんな変化がありましたか?

松本:今LayerX にいるのは、あの時のコーチングセッションのおかげだと言っても間違いではないと思います。どこに向かうべきかの整理は、当時の会話のおかげでついた。自分の持っている知見をちゃんとスケールさせたいとか、コーチングを繰り返す中でだいぶ形としてまとまってきましたね。

海野:伴走していて印象的だったのは、松本さんの実行と実現の速さです。知見を発信したいと気づかれてから、1週間も経たないくらいでnoteで知見を発信し始めていましたよね。しかも、何本も書いていた。

松本:おかげさまです。今ではもう本4、5冊分の文章量になりますからね。またその流れでコンテンツ作りを妻と二人三脚で進めるようにもなるという変化もありました。

海野さんとのセッションの中で、自分がこういうことやりたかったんだっていうのがはっきりして。じゃあ今ほんとにやるべきことってこれだよね、と迷いなく突き進めました。自分の中でモヤっとはあった方向性がより鮮明になって進めるようになりましたね。

そしてコーチングを受けてから、ずいぶん思い切りが良くなりました大きい視点で見て、ここで躊躇していいのか、みたいなところで先へ進めるようになった。「それやらないとどういうロスが起きるんだっけ?」みたいなことを整理して、捨てなきゃいけないものをパッパと捨てられるようになったと思います。

例えば、僕が前職を退職することでご迷惑をおかけする方もたくさんいらっしゃいました。自分が連れてきた仲間とか、僕の立ち上げた戦略で動いている仲間たちとか。それが大きな壁だったのですが、とはいえもっと広い視点で見て、そこで止まるのがほんとにいいことなのかと考えた時に踏ん切りがつきました。日本全体のデジタル化を進めて数億人の生活を変えたいという視点だと、やっぱりここで止まってはいられなかった。こういうのって理屈じゃないんですよね、最後は。

海野:セッションしていた頃から、今もですけど、僕の中で松本さんはもはや日本という国のCTOを担う方だと思っています。その前提でセッションをご一緒させて頂いておりました。ちなみに最近思い切ってやれたことはありますか?

松本:事業をやる中ではそういう意思決定は多いですね。「これ無料にしちまおうぜ」みたいな。ここで小さな収益を上げるくらいなら、みんなのデジタル化を応援して後で回収しようと判断してけっこう大胆な価格設定をしたりしています。

思考を整理して決断したい人にはおすすめ 

海野:こんな人がコーチングを受けたらいいんじゃないかというイメージありますか?

松本:思考がまとまってないフェーズの人は誰であれコーチングはとても良い機会なのかなと思っていますね。「本当に今大事なことってなんだろう?」っていうのを整理するのって、意外と自分一人では明確にならなかったりしますから。

人と話すにしても、コーチングや対話スキルを持っていない方にお願いしても難しかったりしますよね。自分の中になんかいろんな選択肢があって悩んでいるとか、その中で足踏みしちゃってるとかっていう人にとっては誰であれ役に立つものなのかなと思っています。

海野:特にこういう立ち位置にいる人にはおすすめだとか、そういうものはありますか?

松本:経営者ですね。定期的に受けた方がいいと思います。少なくとも1回は受けてみてほしい。やっぱり、チームを率いる立場にいる人が迷ってばかりだと上手くいかないので、迷いを断ち切る意味でも受けた方がいいんじゃないでしょうか。

海野:経営をしていると意思決定の連続ですからね。

松本:どれも同じように魅力的だったり、どれも同じように茨の道だったりする選択を迫られることばかりです笑。ついついAもBも半端にやっておこうみたいな、そんな決断をしがちだと思うんですよね。だけれども、それをやるとメンバーがどんどん迷っていく。メンバーが迷いなく進める組織を作るには、社長が迷いなく決断するっていうことが必要。

海野:社内でもその考えが現れている側面はありますか?

松本:メンバーには常に「最も大事だと思うことを上から3つ挙げてみて」と整理をさせてみたりしています。どうやるかの前に、何をやるかをしっかり考えてもらう。ほんとに大事なことを整理させると明確に組織の動きが良くなるのを実感します。

海野慧ならではの魅力とは

海野:自分から聞くのもなんか小っ恥ずかしいんですけど、僕という存在に対しての感想というかフィードバックを聞いてみたいのですがいかがでしょうか。

松本:割と経験が似ていらっしゃるっていうか、上場企業で役員までやられているっていうのは割と視点が近いなというのもあって話しやすかったですね。

どうしても経営をしてみなければ見えないものがあると思うんですよ。それはどのポジションもそうだと思うんですけど。似た経験があることで質問できること、掘り出せることってのはたくさんあると思うんですよね。

海野:たしかに、そこは強みかもしれないです。

松本:記事をみている方に言いたいのは(笑)、経営されている方がコーチングをする側に回るなんてなかなかないことで、ありがたいことですよってことです。僕の知る限りだと、経営者って「俺がこれをやっていく」みたいなタイプの方が多いので、すごく貴重だなと思いました。

海野:ありがとうございます。僕自身、コーチングに関心を持ったのは、まさに自身の経営での経験からでした。自らの経営経験を活かしながら、経営者の方々の強みや特徴をフルに活かし、前のめりなチャレンジを後押ししたくてはじめました。

コーチングでは本人の脳が想定していなかった現状の外側で生きることを決断してもらうことがポイントになります。それができると本人の臨場感が未来へずれて、そこに一気に引っ張られる。

松本:当たり前の感覚がずれるというのに近いですよね。そこはすごいよかったなと思います。「こうなるのを当然として考えたら世界はどう見えますか?」みたいな問いを提示されるのがよかった。

やっぱり常識に凝り固まっちゃうじゃないですか。SaaSのサービスをしていると、T2D3(ARRを毎年、3倍、3倍、2倍、2倍、2倍で成長させていくモデルで、その頭文字をとって「T2D3」と名付けられた)がいいみたいな。そこで満足してしまう。

でも、そんな小さくていいのか、みたいな視点を持ってみるわけですよ。そうすると見える世界が変わってくる。当然、打ち手も全然違ってくる。

海野:僕のコーチングは、「答えはあなたの中にある」ではなく「ゴールを創りにいく」というアプローチなんですよね。自分の視界の範囲内ってどうしても現状維持になってしまう。見えていないところに視野が移るからこそ、見える世界が変わる。ずれる。

松本:視界の外にあるゴールを、自分の言葉で紡がせてくれるのが海野さんの優れたポイントなのかなと思います。

頭の中って綺麗に言葉で整理されているわけではなくて、もう少し高次元空間の中に思いというのがふわふわ浮いているわけで。そこでこうしろとティーチング的に関わっても、相手と浮かべているものが違うかもしれないし、腑に落ちないものになるかもしれない。

僕は交渉でも、会話でも、変化してほしい先を相手に言わせることが大事だと思っていて。それはなぜかというと、相手の中で記号化されているってことは、それを理解する回路がその人の頭の中で構築されているってことだと思うからです。これを応用しないと腹落ちして前に進むってできないと思うんですよね。

海野:相手自身の言葉で、相手の現状の外にあるゴールを自身で描いてもらう。うん、そういうことです笑

本人以上に本人の未来を信じる

海野:逆に僕に質問ってありますか?

松本:コーチングされていた時って僕のことはどう見えていましたか?

海野:先ほどもちらっと言いましたけど、松本さんのことは日本という国のOSをアップデートするCTOだという前提で接していました。

デジタルが良い形で世の中に浸透し、それによる不便益がない世界をどう作るかということを考え、実行していく方だと。

松本:ありがとうございます。コーチングって、そんなふうにクライアントの方の描く世界を本人以上に信じるみたいなスタンスで行うものなんですか?

海野:何か夢を語ったときに、それを当然できると思ってくれる集団の中にいるか、それとも鼻で笑われる集団の中にいるかで達成度合いを比較できたらきっと明らかじゃないですか。

かんたんにいうと、僕が松本さん以上に松本さんのゴールを信じていて、行けると思っている状態にあると、未来ベースで同調できるんです。

松本:どの方とお話しするときも、相手のことを相手以上に自信を持てるものなんですか?

海野:そうですね。僕はそれができます。できなかったら伝わりますしね。こいつ口では「できるんじゃない?」とか言ってるけど、心では無理だろって思ってるなとか。

松本:今後の1on1の参考になりました。

海野:今度、コーチングしていた時には詳しくお話しできなかった理論的な背景とか、もし興味あれば共有しますよ。

松本:ぜひお願いします!

海野:本日はありがとうございました!

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