Netflix で話題の EU ドラマ作品の技術解説 Lupin|Money Heist|Dark
EU 圏の映像制作の拠点はスペインになる?!韓国をはじめとした “非英語圏” のドラマ作品の注目度が高まる中で、スペイン、ドイツ、フランスなど EU 諸国で製作された話題の Netflix ドラマ作品の技術解説をしていきます。
1. Netflix の視聴者数ランキング
Netflix ではどんな作品が人気があるのか?
まずはじめに、ハリウッドをはじめとする “英語圏” で製作された Netflix オリジナルドラマの視聴数の統計を見てみると、以下の感じになっています。視聴数は Netflix の会員数に比例して年々増え続けているため、上位にはここ数年の作品が並んでいます。
一方、アジア圏、EU 圏など “非英語圏” の Netflix オリジナルドラマの視聴数を見るてみと、以下の感じになっています。
2019 年公開の韓国ドラマ『イカゲーム』が、Netflix 史上最高となる 1.4 億人という圧倒的な記録を残していますが、スペイン語の作品の人気も高く、英語圏の作品に迫る勢いであることが分かります。また日本の作品では、2020 年公開の『今際の国のアリス』が最高視聴数(2,200 万人)を記録しているようです。
この記事では、年々その注目度が高まっている “非英語圏” の Netflix オリジナルドラマより、EU 諸国で製作された話題の 3 作品の技術解説をしていきたいと思います。
2. LUPIN
2021 年に配信を開始したフランスの Netflix ドラマシリーズ『LUPIN』は、無実の罪で親を亡くした主人公アサンが、怪盗紳士ルパンになぞらえた犯行により復讐を果たすミステリー作品です。この作品は、非英語圏の Netflix オリジナルドラマとしては『イカゲーム』に次ぐ、歴代 2 位の視聴者数を記録した EU 最大のヒット作となっています。
📷 Lupin Part 2|Behind The Scenes|Netflix
映画情報サイト IMDb によると、カメラは ARRI ALEXA LF、ALEXA Mini LF、レンズは P+S Technik 社の Technovision 1.5X(アナモフィックレンズ)を使用しているようです。この Technovision 1.5X は、1970 年代のオールドレンズをリハウジングした CIne-Mod 版で、35mm フルサイズ対応の貴重なモデルとなっています。
📷 The multiple faces of Assane Diop|Lupin|Netflix
作品全体を通して、ステディカム、カメラカー、テクノクレーン、カメラドリー(Fisher Dolly)などグリップ機材をふんだんに活用した、躍動的なカメラワークが印象的です。下の画像では、ステディカム・オペレーターが大型クレーンに乗り、カットを割ることなくクレーンダウンから地上の移動ショットまでの一連をシームレスに撮影する様子が見られます。
📷 Lupin Part 2: Settling the Score|Behind the Scenes|Netflix
Behind The Scenes 映像を見るかぎり、ジンバルは全く使われていないようですが、この点は(重量のある)アナモフィックレンズを使用しているためと推測されます。
ルックに関しては、アナモフィックレンズによる芯の弱いソフトな解像感が特徴的で、積極的にフレア光を活かしたり、シャドウ部に色みを加えるなど、いわゆる “シネマティック” な表現に特徴があります。
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