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自己紹介文「ニューヨークでたまたま出会い過ぎる説」


現在ニューヨークのマンハッタンで暮らしています。とはいえ、華やかな方のマンハッタンではなく、北部ワシントンハイツという超下町的な地域に住んでいます(2021年に映画化されたブロードウェイミュージカル「イン・ザ・ハイツ」の舞台になっているあそこ)。

アメリカに移住したのは2008年。

ニューヨークにくる以前は、ノースカロライナ州で博士号を取り、バーモント州の大学で就職をして4年、その大学があまりにも沈みかけの船状態で、過労死がちらつく過酷な労働環境だったため、タイタニックから飛び降りていく乗客さながら決死のダイブで脱出し、今はニュージャージーの大学で教えています。夫の職場のすぐ傍に住み、週に2、3日大学へ行けば良い私が、逆通勤をしております。

noteを始めるきっかけ、それは、ここしばらく私を悩ます大問題:「近くに気の合う友達いない問題」です。

気の合うどころか新しい友人を作れずに既に7年ほど経過中。唯一気の合う友人がいたのは博士課程時代で、それ以降は、知人の数は増えても友人の数が増えない。または、折角仲良くなれそうな人と出会っても、物理的な距離ができてしまう。

この、新しい友達ができない問題は、どこで生活していてもこの年頃の皆がぶちあたる壁なのかもしれませんが、近くに気心の知れた友達がいないというのは、時折心が乾燥してあかぎれた冬の手指のようにピキッと割れて流血しそうになります。(小さいけど一番痛いタイプの傷。)

そもそも新しく誰かと出会う機会自体が少ないということもありますが、こちら側の受け入れ態勢が年齢を重ねるごとに少しずつ不寛容になっている可能性もあり、自分の中にある「この人面白い」の条件が狭まり、今やその入り口がドアスコープサイズになっているという可能性もある。(そうだとしたら、せめて茶室の入り口程度までは広げたい。)

それとともに最近浮上したのが、そもそも笑う大人人口が少ない説。
私はとにかくユーモアセンスのある「おもろい人」&声を上げて笑う人が好きなのですが、ついこないだ耳にした研究によると、大半の大人(23歳頃から70歳頃までの人々)は、ほとんど笑わないのだそうです。

微笑んだり、「うける」と口では言うものの、実際にはっはっはとか、ひーっと本気で笑う人が激減する笑い枯渇年代なのだとか。これに関して、なぜ人は大人になると笑うのをやめるのか、それでもなぜ笑った方が良いのか、などの研究話はまた別の記事に書くとして、
そもそも笑わない人口の中から笑う希少種とたまたま出会うというのは至難の業であるのかもしれません。

それにしても時々日本のニュースサイトで目にするニューヨーク絡みのコラムや、有名人がテレビや雑誌で語るニューヨークのエピソードをみると、あまりにもよく、たまたま訪れたニューヨークでたまたま何やらすごい人物や面白い人物と出会ったり、そしてその人物とたまたま何かすごいことをしていたりする。そもそもどういうからくりでたまたまニューヨークに行くことがあるのか(たまたま難波行くのとはわけが違うよ)、そしてまたどうやったらニューヨークでたまたまそんなキーパーソンと出会うのか、不思議でなりません。ニューヨークでたまたま誰かと出会うことないんですけど?

たまたまどころか意図して出会う事すらない今の私の生活には全く存在しないそんな状況。

自分から脈略もなく唐突に「あのぉ、この辺に住んでるんですかぁ?」と声を掛けたとして、その相手がたまたま面白い人だったり、たまたま気の合う友人になり得る確率は低い。ましてや人生の転機をもたらす何やらすごい人物である可能性はもっと低いだろうと察します。それに四十代半ばの私のような人間が、脈絡もなく他人に声をかける行動をすると、新手の詐欺かと思われて相当距離取られる可能性の方が高い。(悲しいけど。)

この「ニューヨークでたまたま出会い過ぎる説」、恐らくその「たまたま」に巡り合うまでに、意図したアタックを数万回と繰り返す必要があって、そうなると、それはもうたまたまではなく、血のにじむような努力の末やっと出会った人ということになる。

そして大半は恐らく、その「たまたま」を設定させ得る舞台への繋がりがきちんとある世界にもともと生活している人々が、本人の知らない誰かの好意や関係や設定された会合で、会うべくして会っているというのが本当のところで、たまたまに見えて必然であるのではないのかな、という気がします。まれにマジで運よく一度目の努力で大当たりを引いた「キングオブたまたま」もいないことはないんでしょうけど。

私のような凡人が、たまたま待ちをしていては、何も起こらないまま死んでいくのみ、という気がする。(悲しいけど。)

たまたま起こらないのなら、こちらから動いていってみようということで、誰かとどこかで繋がりたいという一心で、note始めました。

宜しくお願いします。


#自己紹介 #ニューヨーク生活 #エッセイ  

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