「ジオンの系譜」の特別エリアによる歴史再現

先日書いた、ヨーロッパユニバーサリスの中核州の話。あれがものすごく好きなのは確かなんだけど、全ての場合に有効ってわけじゃない。

・明確に主人公が決まってる場合

・2大勢力の戦い

こういうケースでは、中核州システムは上手く働きそうにない。

中核州はどの勢力をプレイヤーが担当しても、上手くいくのがいいところなんで、誰か決まってるなら、個別に制御できるシステムの方が融通が効く。

2大勢力の場合、理由はどうあれ相手を倒すのが目的で、世界の全てが中核州みたいなもの。それに主人もが2人と決まってるのだから、やっぱり個別制御がいいということになる。

ジオンの系譜の特別エリア

機動戦士ガンダム ギレンの野望 ジオンの系譜

というのが正式名だけど、長いのでジオンの系譜って書く。

このゲームの特別エリアも、見た時にビックリしたし、かなり好きなシステムでもある。

先に出たセガサターン版『ギレンの野望』でも同様の仕組みがあるらしいけど、やったことないのでこまかいニュアンスがわからない。なのでジオンの系譜の話をする。

ギレンの野望という名前自体が、あからさまに信長の野望のパロディなので、一見すると同じ系統の、国取りゲームのマップのように見える。

各拠点に部隊を動かして、攻め込んだり、守ったりして、国家経営をしていく。

ただ、いくつかの重要な拠点に関しては、特別エリアとなっていて自由に攻撃ができない。この点が信長の野望とは違う。

まず攻略作戦というのが提案され、それを了承して、たしか資金も出して、その後から攻撃可能な状態になる。

しかもどの特別エリアでもいいわけじゃなくて、一見すると不可解な順序でしか攻略作戦は提案されない。

当然敵の本拠地は最後なんだけど、それ以外にも、なぜ北京が一番最初? みたいなのは、元々そういうシナリオだからという以外に説明しようがない。

これも歴史再現の仕組み

なんでそんな制限をかけてるか?

これがないと、歴史上の戦いというのが再現できない。

歴史というか、アニメでやってたやつというか。

オデッサ基地にマ・クベがいて核兵器を使ったり、宇宙要塞ソロモンではドズルがビグ・ザムに乗って出てくる。ホワイトベースも参戦する。

これをやるには、どうしても順番に戦ってもらわないと困る。ほっといたら、ア・バオア・クーを無視して、グラナダから直進してサイド6を攻めたりしちゃうので、そうならないような仕組みにしてる。

AIの弱さもカバーしてる

特別エリアの攻撃制限は自軍だけで、相手サイドにはない。

……いきなりジャブローに攻め込んでくるから驚いた。

相手は次に攻められるエリアわかってるし、そこだけ重点的に固めて、あとは空っぽで放置してるってのに。

卑劣極まりない。

しかし通常は人間の方が色々と卑劣な手を使うので、なかなかそれに対応するのは、人間とAIが同じルールだとむずかしい。

ユニット数200の制限も、防衛範囲が広いプレイヤー側がきつい制約。

ユニット同士が戦うところはガチだけど、移動できる距離とかも一緒だけど、それ以前の戦略の部分では底上げされてる。

あと防衛時にいた方がいいパイロットは、他の戦線から瞬時にワープしてくる。

当然元いた戦場ではモビルスーツだけ置き去りになるけど、それでもパワーダウンするだけで戦るし。そこは守るべき特別エリアではないので、負けても平気というか。

これによってAIはドズルをずっとソロモンで置物にしておく必要がなく、ガンガン前線で戦わせることができる。

聞けば、他にも後半戦での資金ボーナスとかあったらしい。道理で追い込んでるはずなのに、強力な機体を投入してくるなあと思った。

面クリア型の戦術シミュレーションでもいいのでは?

ちゃんと再現したいんだったら、そもそも国取り型にせずに、それぞれの戦闘を再現したマップで戦えばいい。という考え方もある。

実際そういうゲームはある。

やったことあるやつでいうと

「機動戦士ガンダム CROSS DIMENSION 0079」

というのがそうだった。ガンダムゲームの中ではマイナーな方かもしれないけど、ピクシーとかイフリートとかこのゲーム由来の機体もあって、ジオンの系譜にも出てきて嬉しかった。

それはともかく

このゲームはホワイトベース隊を中心にしてて、シャアと戦ったりするし、ビグ・ザムとも戦える。

ちゃんとイベントも発生するんだけど……

そういうのとは別の魅力

ジオンの系譜の場合、追体験よりも、そこからの変化のところに重点がある。

(戦略的に)頑張ることで、悲劇を避けたり、なんか余計に悪化したり、ともかく違う未来を見ることが出来る。

再現するのが目的じゃなくて、再現されたそれを、自分の手で破壊するのが目的というか。破壊するためには再現できないといけない。

ということで、目的自体は中核州の場合とあまり変わらないと思う。

できるだけ歴史をなぞって戦っても構わないんだけど。そういうエンディングもあるし。

戦術SLGベースだとしても、このユニットを撃破できたら歴史が変わるとか、マルチシナリオは可能だけど、戦略規模でやるともっといろんな細かい違いが出せる。

そもそもちゃんと戦力や拠点を維持していかないと、決戦に参加することすら出来ないし。

ジオンの系譜の初回プレイでは、連邦サイドで、アムロが搭乗したアレックスが単騎で敵陣に切り込んでた。

ニュータイプだし、最新鋭機だし、当たらなければどうということはないだろー……と思って。

結局は疲労困憊で避けられなくなるわ、補給を絶たれて弾切れするわ、すごい大軍に包囲されてやられちゃったんだけど。

そういうしょうもないことが出来るのも戦略SLGならでは。

だいたい戦略級のゲームじゃなかったら、ゴップ大将の出番がないって問題もある。

でも第二部では……

一部終了後に始まる、二部のシナリオでは、敵本拠以外の特別エリアがフリー入場になる。

あと隠しシナリオで始めた場合も。

ほぼ架空シナリオなので、再現するようなイベントがないというか。なので攻略順を制御してもしょうがない。

オリジナルのイベントをみっちり詰め込んでもいいんだろうけど、それで誰かが戦死するとか言われても、やっぱり納得いかないだろうし。

元の歴史がそうなってるからしょうがないって思える部分はある。

敵の特別エリアを全部取らないと、本拠地が攻撃できないから、無意味というわけじゃないんだけど、あまり有効活用はされてない。

銀河英雄伝説にも向いてそう

特別エリアシステムも、中核州と同じで色々と使い途がありそうだなあと思ってる。

歴史再現系で、かつ勢力の数が少ない時に威力を発揮するので、おそらく銀英伝のような物語にも向いてる。

その人の提案を却下しておけば、あの人が助かり、その場合別のトラブルが……みたいな歴史イベントもたくさん作れる。

大規模会戦の再現もやりやすい。必要な提督はワープさせればOK。

フェザーンあたりは中立勢力にすればいい。

勢力が多くなると……

あまり勢力が多くなってると、特別エリアだらけになってしまうので、このシステムは成立しない。

というか、アリスソフトの地域制圧型SLGに近くなってきて、ジオンの系譜とは別の利点と欠点があるシステムになる。

その話はまたそのうち。

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