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【戯曲】フリーマン!

上演時間(見込み):60分~70分ほど?
登場人物(男3、女3)

舞岱(ぶたい)エンジ  売れない役者
写真(うつしま)セカイ 売れない写真家
鍬矢(すきや)イチズ  刑事
剣野(つるぎの)メイカ 刑事の助手
藍堂(あいどう)ルネ  トップアイドル
旅烏(たびがらす)   笛吹きの旅人


【第1場:旅人たち】


 幕前。市街地の喧騒、次第にその音は遠ざかり、主題曲の一部が奏でられる。舞台中央前にスポット。旅烏の演奏の姿が浮かび上がる。傍らのハットには沢山のお金。演奏を終えて一礼し、柔らかな風の音をきっかけに、旅烏は語り始める。

旅烏「『人間五十年、化天の内をくらぶれば、夢幻の如くなり。一度生を得て、滅せぬもののあるべきか。』というのは、織田信長で有名な敦盛の一部です。生者必滅、諸行無常というこの世の原理を歌っているわけです。」

 幕が上がる。舞台は夜の公園。暗がりのベンチには紙媒体を手に項垂れている男。

旅烏「さて、そろそろお開きです。どうか覚えていてください。先の旋律は、私たちのものです。ご縁があれば、また会えましょう。それまでしばしのお別れです。さようなら。」

 右へ左へお辞儀をし、お金を優しく回収し、ハットを被り去っていく。柔らかな風の音。彼女がお守りを落としていったので声をかけようとする男。しかし、時は既に遅く。

エンジ「旅人さん、お守り……まあいいか、たんまり貰ったんだろうし。」

 ため息をつきながらベンチに戻るエンジ。すると、遠くから男の必死な声。

セカイ「待ってくださいよ!話が違うじゃないですか!」
男の声「うるせえ、ぼったくりが!どけ!」

 突き飛ばされて登場するセカイ。続いて額に入った写真も飛んでくる。額を大事そうに回収し抱きかかえ、地面に向かって絶叫。

セカイ「あああああああああああ!!……ああ、底辺の味がする。底辺の味は土の味……。」

 気まずそうなエンジ。暫くしてからセカイは立ち上がり、ベンチへ向かって、隣に座る。

セカイ「……あ、隣大丈夫でした?」
エンジ「ええ……お構いなく。」

 遠くを見つめながら一つ、手に持っているものを見つめながら一つ、両者が同時にため息をつく。あまりにピッタリなので、なんだか面白くなってしまう二人。

セカイ「お互い、大変なんですね。」
エンジ「ホントにお疲れ様です。」

 お互いがお互いの手にあるものに興味を示し、それについて聞こうとする。

二人「それって、なんですか?」
セカイ「あっ。」
エンジ「あはは……じゃあ、こっちから、これ、演劇の台本なんです。」
セカイ「演劇、ということは、舞台役者?」
エンジ「まあ、一応……読んでみます?」
セカイ「いいんですか?」
エンジ「いいですよ、俺はもう関わらないでしょうし。」

 スクリーンに「フリーマン(初稿)」と題した手書き台本の表紙が映る。セカイが興味深く次々にページを進めていく。

セカイ「あれ?ここからページ、破けてるんですけど……。」
エンジ「ウチの劇団長に破かれたんですよ。」
セカイ「え、これ初稿って書いてますけど。」
エンジ「それ、俺が書いた台本なんです。」
セカイ「脚本家!?」
エンジ「そんな大層なものじゃないですよ。あの、俺のいる劇団って、役者以外の仕事もやらなくちゃいけなくて、役者に専念できないんですよね。」
セカイ「すごく大変そうですね……。」
エンジ「いやまあ、俺の劇団だけじゃなくて、どこの劇団も大変なんだけど……だから、それを出して、これで最後にしたいです!これが終わったらフリーになりたいですって言ったら『やめるなら今すぐやめろ。お前の代わりはいくらでもいる。』って怒られて、ビリビリビリーって。」
セカイ「うわあ、精神的に来ますね。折角面白い台本なのに……。」

 沈黙する二人。スクリーンの画像が消える。

セカイ「……じゃあ、僕ですね。これ、エンジェルリングっていう写真なんです。」

 スクリーンに、エンジェルリングの画像が映し出される。

エンジ「エンジェルリング?」
セカイ「とある湖の写真なんですけど、いい感じの雪解けで、天使の輪っかに見えません?」
エンジ「ああ、なるほど。」
セカイ「こういう風景の写真を撮って、路上販売しているんです。ポストカードにしたり、こういう上手く撮れた写真は額に入れたりして。でも、今時写真ってなかなか注目されなくて。」
エンジ「ああ、なんか、たかが写真だろ、とか言われそうですね。」
セカイ「そうなんですよ!たかが写真だろ、じゃないんですよ!僕はアーティストなんです!」
エンジ「じゃあ、インターネット販売とか……。」
セカイ「やってはいるけど、全然ですね。珍しく購入したいってコメントがあって実際に会ってみたら、さっきの人。『思ってたのと違う!』とか言われて……。」
エンジ「ああ、ご愁傷様です。写真はすごく良いと思うんだけどなあ。」

 沈黙する二人。

セカイ「でも、一人だけ写真を買っては応援してくれてるユーザーがいて、頑張ろうって気持ちにさせてくれるんだ。」
エンジ「あっ、分かる!こっちもさ、舞台公演のたびに毎回アンケートで俺に熱いコメントを書いてくれる人がいてさ、頑張りたいなーってなる!」
セカイ「同一人物だったりして。」
エンジ「そんなわけないだろ。」

 笑い合う二人。

エンジ「俺、舞岱エンジっていいます。」
セカイ「え、それ、この台本のペンネームじゃないの!?」
エンジ「なんと、実名。」
セカイ「うわあ、ちょっと悔しいな。」
エンジ「悔しい?なんで?」
セカイ「はい、こちら名刺になります。」

 名刺を渡されるエンジ。そこにある名前をみて思わず吹いてしまう。

エンジ「し、写真!?」
セカイ「写真と書いて『うつしま』って読みます。写真セカイと申します。」
エンジ「これは負けたわ。すげえな、その為に生まれてきましたって感じ!」
セカイ「君の名前も大概じゃないか!」

 笑い合う二人。

セカイ「久々にこんなに笑った気がするよ。」
エンジ「ああ、俺も。しかし……どうすっかな。劇団追い出されて実質フリーにはなったものの……。」
セカイ「そうだ!フリー同士、二人で何かやってみないか!?」

 音楽。セカイがベンチから立ち上がり、枯れ枝二本を手に取ってスポットに立つ。

エンジ「二人で?」
セカイ「そう、君は演劇!僕は写真!フリー同士のコラボレーション!」
エンジ「コラボレーション……。」
セカイ「君はフリーになって何がやりたい!」
エンジ「そりゃあ、演劇……。」
セカイ「その手に持ってるものはなんだ!」
エンジ「フリーマン……。」
セカイ「フリーマン!」
エンジ「フリーマン……?」
セカイ「フリーマン!!」
エンジ「フリーマン……!フリーマン!!」

 エンジがベンチから立ち上がり、スポットへ。セカイからもう一本の枯れ枝を受け取り、二人は目を合わせ、枝を交差させ、天に掲げる。その象徴的なシーンに音楽が盛り上がりを見せ、暗転。場面は公園からセカイの自宅に転換される。その間、スポットで警察の二人の場面が挟まれる。イチズが外の喫煙所で煙草を吸っていると、メイカがやってくる。

メイカ「イチズ先輩、お疲れ様だ。」
イチズ「お、メイカ、いよいよヤニデビューか?」
メイカ「そんな身体に悪いものはやらん。これだ。」

 エナジードリンクを見せるメイカ。

イチズ「キメねえとやってられねえわけだ。」

 一服する二人。

メイカ「それで、例の事件についてなのだが。」
イチズ「休憩時間は休む時間だぞ。」
メイカ「だが……。」
イチズ「真面目はいいが、そんな気を張り詰めてたらもたねえぞ。ただでさえ、普通の事件じゃねえのに。」
メイカ「じゃあ、これは独り言だ。この事件、ここ数年の芸能人の失踪や犯罪の多発。先輩は、それを実行させた黒幕が他にいると睨んでいた。私も同じ意見だ。その上で黒幕はほぼ確実に絞ることができている。だが上層部が圧力に押されて日和っている。人を守る仕事がこの体たらくだ……不味いな、このエナジードリンク。」

 缶を握りつぶし、去っていくメイカ。イチズは吸っていた煙草をポケット灰皿へ。

イチズ「今は耐えるときだ。アイツ以上の芸能人が、再び現れるまでは。」

 暗転し、舞台はセカイの自宅へ。

【第2場:二人の挑戦】


 セカイが撮影の機材を整えていると、エンジが入ってくる。

エンジ「お邪魔しまーす!」
セカイ「お、やっと来た!」
エンジ「うお!アパートなのにスタジオ!?」
セカイ「ははは、気分がアガるでしょ。お陰で大家さんによく怒られてるんだ。」
エンジ「じゃあ騒がないようにしないとな。ほら、これ差し入れ!日本酒!」
セカイ「騒ぐ気満々じゃないか!」

 笑い合う二人。

セカイ「おっと、笑ってる場合じゃない。早速だけど、君には被写体になってほしいんだ。」
エンジ「よし、撮影だな!具体的に何をやるんだ?」
セカイ「兄弟、僕たちはまず顔が知られることが大事だ。そこで思いついたのが、著作権フリー画像への進出だ!」
エンジ「ああ、『いらすとや』みたいな?」
セカイ「そうそう。『ユーチューブ』で動画配信、ライブ配信するっていうのも考えたけれど、人口が多すぎる。」
エンジ「そう考えると、フリー画像って発展途上のジャンルだよな。店のPOPとか、ポスターとかビラとか、なんなら政府にも使われはじめてるし。」
セカイ「そこで兄弟、君と一緒にフリー人物画像を撮影し、投稿していきたい!」
エンジ「分かった!けど、どういう写真を撮るんだ?」
セカイ「口で言うのはちょっと難しいな。こっち来て。」

 二人、パソコンに向かう。セカイのクリックに合わせて、スクリーンにスーツ姿の女性の画像が表示される。

エンジ「あ!なんか見たことあるぞ、就活サイトとか、会社の案内とか。」
セカイ「さらにここから表情やポーズを加えると、ますます使いやすく。」

 表情やポーズ、ズーム度や角度などあらゆる手法で撮影された画像が次々に表示される。

セカイ「こうやってみると、汎用性ありそうでしょ?これ、全部同じ人物。フリー人物画像のトップモデルって呼ばれているんだ。」
エンジ「へえ。結構奥が深いんだな。」
セカイ「これを僕たちでやるんだ。」

 ここでクリックすると、スーツ姿の同じ女性が黒いハットを被り、ほら貝を吹いているという異様な画像が映し出される。

セカイ「これは……スルーしていいよ。」
エンジ「え、俺は嫌いじゃないけど。」
セカイ「こういうのより……もっとしっかりしたやつ撮りたいからさ……。」

 セカイのクリックと同時に、スクリーンの画像も消える。

エンジ「まあ、なるほどな。俺は今からフリー人物画像界隈のトップモデルを目指すわけだ。」
セカイ「そして、その先に待っているのが!」
二人「フリーマン!」
セカイ「早速始めるよ、人間撮るのはほぼ初めてだから、お手柔らかに、兄弟!」
エンジ「オッケーブラザー!」

 音楽が流れる。暗転しスタジオにスポット。エンジがスタジオのブルーバックでポーズを決め、セカイがカメラのシャッターを押す。シャッターを押すたびに、その状態を反映した画像がスクリーンに映し出される。無難な作品であり、最初は不慣れな作りだが、回を重ねるにつれて撮影も演技も慣れてきている様子が伺えてくる。(具体例としては次の①から⑤の通り。なおここでの写真の内容や撮り方は指定しない。)

①舞台ではガッツポーズ。スクリーンにはガッツポーズをする就活生姿のエンジ。
②舞台では頭を抱えた姿。スクリーンにはひらひら舞うお金を背景にボロボロなエンジ。
③舞台では椅子に足を組んで座る姿。スクリーンにはスマートな社長姿のエンジ。
④舞台では前に手を組んでお辞儀する姿。スクリーンには丁寧な店員姿のエンジ。
⑤舞台では机と椅子に座って頬杖をつく姿。スクリーンには太宰治のような佇まいのエンジ。

セカイ「よし!今日もこのへんで!」

 スクリーンの画像が消え、全明転。音楽も消える。撮影を始めて一週間ほど経った日である。

エンジ「段々コツが分かってきた!」
セカイ「僕も加工とか合成とか慣れてきた!」
エンジ「まだ一週間しか経ってないけど、いい調子だぜ!あ、ネットの評判はどんな感じ?」

 セカイ、パソコンを見ながら気まずそうに。

セカイ「5作品出して、閲覧数20、ダウンロード数3……。」
エンジ「いいじゃん!」
セカイ「えっ?」
エンジ「俺たちを見てくれた人が20人、使ってくれる人が3人も居るってことだろ。上々な滑り出しだ!」
セカイ「……もう一枚撮ろうか。」
エンジ「お、いいぜ。」
セカイ「好きなポーズでいいよ。兄弟、君らしいポーズ。」
エンジ「ちなみに、なんの素材?」
セカイ「秘密。」
エンジ「好きなポーズかあ、これとか?」

 エンジ、ヒーローのような決めポーズをとる。

セカイ「いいね。じゃあ撮るよ。」
エンジ「結構体勢きついから、早く。」
セカイ「ねえ兄弟、いつもありがとう。」
エンジ「そりゃこっちの台詞だ、ブラザー。いいから早く撮ってくれ!」
セカイ「いくよ!3、2、1!」

 シャッターの音とともに暗転。警察二人の場面に切り替わる。イチズは煙草をふかし、メイカは竹刀を手に素振りをしている。

メイカ「98、99、100!」
イチズ「喫煙所で剣道する女がいるかよ。」
メイカ「何が悪い!休憩時間なのだろう!」
イチズ「おー、荒れてるねえ。」
メイカ「まともに眠れてないんだ!ウチのアパートの隣人がうるさくて!」
イチズ「そりゃご苦労。ヤニいるか?」
メイカ「結構!」

 携帯のアラームを合図に煙草をしまうイチズと、また素振りを始めようとするメイカ。

イチズ「メイカ。」
メイカ「なんだ!」
イチズ「鍛錬はいいが、休憩時間終了だ。」
メイカ「え、あ……。」
イチズ「しっかり者が珍しいな。隣人だけじゃねえだろ。原因。」
メイカ「……。」
イチズ「こっからは仕事の時間だ。早速朗報だ。例の事件についてだが、心強い仲間が加わることになった。」
メイカ「それは、本当に信じていいのか。」
イチズ「正確さのカケラも無い情報の検証ばかりで病んでんじゃねえよ。安心しろ、なんたって黒幕さんの身内だ。」
メイカ「なんだと?連絡が取れなかったはずでは。」
イチズ「一昨日、近くの交番に野暮用があったんだが、その時に『お守りの落とし物』を訪ねてきた人が居てな。まさかと思って聞いてみたらジャストミート。」
メイカ「お守り……あの家のお守りって確か……。」
イチズ「こじらせエリートの考えることは本当に闇が深い。そっから抜け出した彼女は、業を背負って大事に持ってたんだとよ。」
メイカ「……理解しかねる、業を背負うべきはあの毒親どもだ!そもそもあいつらさえいなければ、こんな大事には至っていない!」
イチズ「感情的になるな。何が悪いかの根本なんて、考えるだけ無駄だ。それに、いい加減向き合わなきゃいけないってことなんだろ。ほら、あの顔つきを見ろよ。」

 イチズの向いた方向を見て、表情を引き締めるメイカ。柔らかな風の音。暗転。

【第3場:ズレていく】


 再びセカイの自宅の場面、明転、そこには死んだような姿の二人。

セカイ「数字が伸びない……インスタグラムのフォロワーも増えない……。」
エンジ「前衛的な作品でも作るか?ナチスとかソ連……。」
セカイ「冗談でもダメ!絶対炎上するから!」
エンジ「炎上商法で。」
セカイ「本気で言ってる?」
エンジ「演劇界隈は大好きだぞ。前衛的な作品。」
セカイ「なりふり構わなくなったら、全部おしまいだからね?この前もどっかのお笑い芸人が炎上してたし!」
エンジ「わかってるよ。にしても、最近多いよな、芸能人の炎上。」
セカイ「そういう時代なんでしょ。インターネットで検索すれば、今現在どんな聖人君子でも過去の火種は沢山出てくる。メディアのおもちゃだよ。」
エンジ「俺も昔色々やらかしてるからなあ……検索すれば出てくるのかな。」
セカイ「侮らない方がいいよ。ネットの情報量って想像しているよりも……。」
エンジ「それだ!」
セカイ「え?」
エンジ「情報量だ!情報量が足りなかったんだ!情報量でごり押すんだよ!」
セカイ「……何を言っているの?」
エンジ「これを見てくれ。」

 スマホを取り出し、『情報量の多い画像』をセカイに見せるエンジ。同時にスクリーンにも表示される。(『情報量の多い画像』とは、一枚の光景の中に複数の事象が同時に写り込んでおり、いわゆるツッコミどころの多い画像のことを指す。『スキマナース』というフリー素材サイトが参考例。)

セカイ「なにこれ。」
エンジ「これも、フリー画像さ!」
セカイ「どこに需要があるんだ!?」
エンジ「そう思うだろ?これな、ツイッターを中心にカルト的人気を博しているすごい画像なんだ!」
セカイ「まるで意味が分からないよ!」
エンジ「とにかく、やってみるぞ!ほら、」
セカイ「ああもう、どうにでもなれ!!」

 音楽が流れる。暗転しスタジオにスポット。エンジがスタジオのブルーバックでポーズを決め、セカイがカメラのシャッターを押す。シャッターを押すたびに、その状態を反映した画像がスクリーンに映し出される。(具体例としては次の①から⑤の通り。なおここでの写真の内容や撮り方は指定しない。)

①舞台では爽やかなグッドサインの姿。スクリーンにはUFOや大爆発を背景に着物でいかにも成し遂げた風のエンジ。
②舞台では横に寝そべっている専業主婦のような姿。スクリーンには面倒そうに爆発物のリード線を両方切ろうとする警官姿のエンジ。

セカイ「ねえ、ホントにこれでいいの!?」
エンジ「いいから俺についてこい!」

③舞台ではフライパンとフライ返しを持って調理するような姿。スクリーンには自分を料理する自分を料理する自分を料理するマトリョシカ風エンジ。
④舞台では中二病のようなポーズ。スクリーンにはいかついフォントで『最終決戦』と書かれたとてもファンシーな画像。かわいい動物たちのイラストも活用されている。
⑤舞台では蟹を持っているだけの姿。スクリーンは「幻のタイに迫る」「海老くいてえ」「まさにザリガニ」「アイアムイカ」「※ホタテです」などと文字が散りばめられた文字通り情報量の多い画像。

エンジ「終了!!」

 スクリーンの画像が消え、全明転。音楽も消える。疲れた様子のセカイとイキイキしているエンジ。

セカイ「お、終わった……。」
エンジ「ごめんな、難しい加工までやってもらっちゃって。」
セカイ「今日だけだからね。明日からはいつも通り撮るよ。」
エンジ「おう、分かってる。じゃ、明日もよろしく!」

 去っていくエンジ。セカイはスマホを持って外へ出る。外は夕焼けであった。

セカイ「うわあ、一十百千万十万……あの画像ホントにバズってる……。」

 そこに近づいてくる女の子。セカイに話しかけてくる。

ルネ「どうしたの?お兄さん。」
セカイ「えっ、あ、いや、なんでもないよ。」
ルネ「あ!そのお兄さん知ってる!ツイッターで話題になってる人だよね!もしかして、お兄さんの知り合い?」
セカイ「う、うん。」
ルネ「えーっ、いいなあ。あ、ライン交換しようよ。」
セカイ「は、はい?」
ルネ「お兄さんのこと、知りたいな!」
セカイ「よ、よくないよ!そういうの!」
ルネ「えーっ、勿体ないなあ。これは、ビジネスなんだよ。」
セカイ「え?」

 油断したスキにスマホを取られるセカイ。

ルネ「はい、ごちそうさま!」
セカイ「ちょっと君!」
ルネ「じゃ、またね!バイバイ!」

 スマホを返して去っていくルネ。なんだったのだとスマホに目を落とし驚愕するセカイ。

セカイ「藍堂ルネ……!?ええええええ!?」

 夕焼けを残し暗転。別の場所にスポット。そこには買い物袋を持ち、竹刀を背負ったメイカ。

メイカ「まさか、ここで見ることになるとは……男の方は隣の部屋の人だな。どういう関係だ?」

 メイカ、イチズに電話をかける。

メイカ「私だ、先輩。動きがあった。」

 メイカのシルエットを残し、完全暗転。

【第4場:劣等、そして衝突】


 人々の声が聞こえてくる。

男1「現在話題の俳優、舞岱エンジさんについてのニュースです。」
女1「この人、意外とイケメンじゃない?」
女2「相方のセカイくんも、いいよね。」
男2「さて、本日のゲストは舞岱エンジさんです!」
女3「キャー!こっち見てー!」
男3「またイカれた画像上げてて草。」
男4「でもクセになるんだよなあ!」
加工声「私の養分になってくれてありがとう。でもね、私より売れる人は必要ないの。だって、私が一番なんだから。」

 不安な余韻を少し残し、明転。疲れ切ったセカイと少し立派な装いになったエンジ。

エンジ「お疲れ様!ブラザー!」
セカイ「おつかれ。」
エンジ「……なんだよ、今日も元気ないなあ。」
セカイ「あのさ、兄弟……そろそろ、君のまともな写真を撮らせてくれないか?」
エンジ「まともな写真って、今撮っているのも、まともだろ?」
セカイ「これのどこがまともなんだ!」

 机を殴るセカイと、驚くエンジ。

セカイ「……いいよね、君は大きく出世出来て。」
エンジ「ブラザー、それは……。」
ルネ「エンジくーん!」

 ルネがやってくる。

ルネ「あ、ごめんなさい……鍵が開いてたから勢いで入ってきちゃった。」
セカイ「いいよ。いつものことだし。今日も仕事でしょ?行ってらっしゃい。」
ルネ「はーい!エンジ君、今日も一緒のお仕事、よろしくね!」

 ルネ、去っていく。エンジも一緒に去っていこうとすると、セカイが問いかける。

セカイ「ねえ、彼女とはどういう関係?」
エンジ「……別にどういう関係でもねえよ、ブラザー。」
セカイ「……夜道には気をつけろよ。ただでさえファンが多いんだろ、君たち。」
エンジ「……ああ、肝に銘じておくよ。」

 エンジ、去っていく。

セカイ「……はあ。どうせ付き合ってんだろ。何が兄弟だ、あほらしい……ん。」

 スタジオに落ちていたお守りを拾う。

セカイ「お守り、忘れてる……。」

 ドアのチャイムが鳴る。

セカイ「はーい、今行きます。」

 玄関に行くと、そこにはメイカ。

メイカ「ああ、こんな時間に申し訳ない。隣に住んでいる者だが。」
セカイ「あー、えっと……。」
メイカ「なにも、苦情じゃない。いや苦情が無いと言えば嘘にはなるが……コホン、その、君のところに出入りしている男がいるだろう。」
セカイ「あ、はい。」
メイカ「彼が落としていったみたいでな。すまないが、よろしくできないか?」
セカイ「あ、ああ、いいですよ。」
メイカ「ありがとう。それでは、失礼。」

 セカイ、メイカから板状の端末を受け取る。メイカは丁寧にお辞儀をして去っていく。

セカイ「あいつ、こんなの持ってたっけ。」

 暫く呆然とするが、自分で自分の頬を叩く。

セカイ「違うだろ!僕が兄弟であるためには、彼に追いつかなければ……頑張らないと!」

 暗転。無音の中で、シャッターの音と共にスクリーンにセカイの撮った風景写真が次々に映し出される。15枚ほど映ったところで明転。

【第5場:芸能人潰し】


 セカイが机に死んだように突っ伏していると、ルネが泣きながら駆け込んでくる。

ルネ「お兄さん……ぐすっ。」
セカイ「ルネちゃん!?どうしたの?」
ルネ「エンジ君に、フラれちゃって。」
セカイ「はあ!?」
ルネ「他に女ができたんだって……。」
セカイ「あいつが……?それは、本当か?」
ルネ「本当だよ!写真だってあるもん!」

 ルネ、一枚の写真を渡す。それに注目するセカイ。そのスキにルネは部屋の中を見回す。

セカイ「エンジ?いや……加工っぽいけど。」
ルネ「ねえ、これ、なに。」

 ルネ、板状の端末を手に持つ。

セカイ「ああ、エンジが忘れてった……。」
ルネ「これ、盗聴器って言うんだよ?」
セカイ「えっ。」

 ルネ、盗聴器を徹底的に踏みつけて壊す。

ルネ「お兄さんだけは信じてたのに。裏でエンジ君と一緒に私を弄んでたんだ。」
セカイ「待ってくれ、違う!」
ルネ「違うなら、証明してよ。」
セカイ「……分かった、何をすればいい?」
ルネ「えへへ、お兄さん大好き!じゃあ、その写真を使って、エンジ君を社会的に潰して?」
セカイ「……それだけは。」
ルネ「無理じゃないよね?裏アカウントでさんざんエンジ君のこと愚痴ってたのに。」
セカイ「な、なんでそれを……。」
ルネ「なあ、潰そうぜ。内心、イラついてんだろ?叩きのめすには、絶好の機会だと思うなあ。」

 暗転。人々の声が聞こえてくる。

男1「ルネたんと付き合ってたってマジ?」
女1「しかも浮気してたんでしょ?ヤバ!」
男2「エンジさん!ヒルヒ新聞ですけれども!お話を聞かせて頂けますか!」
女2「舞岱エンジ氏の、暴力団との繋がりを捉えた、衝撃の1枚がこちら!」
男3「あーあ、終わったな。」
男4「やっぱり演劇やってるやつにまともな人間いねえわ。」
女3「コイツの写真を使ったポスター全部処分しろ!早く!」
加工声「エンジ君が悪いんだよ。私より売れちゃったから、こうするしかなかったの。ごめんね、だって、私が――
ルネ「――1番なんだもん。ねえ?お姉ちゃん。」

 暫くの間の後、メイカとイチズのやりとり。

メイカ「……ロストした。」
イチズ「勘づかれたか。非常にまずいな。」
メイカ「……すまない、先輩。」
イチズ「まだ終わっちゃいねえ、大丈夫だ。彼女が、切り札があると言っている。博打だがな。」
メイカ「……。」
イチズ「信じるんだ。彼らを。」

 明転。机に座っているセカイ。そこにエンジが駆け込んでくる。

エンジ「どういうつもりだ!?ブラザー!」
セカイ「……何の話?」
エンジ「お前のせいで俺が炎上してんだよ!ありもしない罪着せやがって!」
セカイ「君がやったことなんだろ。」
エンジ「何もやってねえよ!ルネとは付き合ってねえし不順異性交遊もねえ!暴力団が経営する店の出入りだって?知らねえよそんな店!」
セカイ「酔っぱらってたんじゃない?酒癖悪いじゃん、君。」

 エンジ、セカイの胸倉を掴む。

エンジ「なんでだ……どうして俺を信じてくれないんだよ!」
セカイ「君こそ!僕に何もしてくれなかったくせに!自分が良ければそれでいいんだろ!離れろよ。今取引中なんだ。」

 セカイがエンジを押しのけて机に戻る。

エンジ「今、なんて言った。」
セカイ「ああ、言ってやるよ。君は裏方のことなんて何も見ようとしない。自分が舞台に立てればそれでいいんだ。」
エンジ「そんなわけねえだろうが!」

 セカイを殴るエンジ。

セカイ「何するんだ!」
エンジ「うるせえ。自分が良ければそれでいい?ふざけんな!これを見ろ!」

 鞄から、台本を取り出すエンジ。

エンジ「フリーマンを完成させてたんだよ!お前が言った、写真と演劇のコラボレーションを!」
セカイ「……。」
エンジ「でもそれもパーだな。」

 台本を後ろに投げ捨てるエンジ。

セカイ「なにしてんだよ!大事な台本を!」

 台本を拾おうとするセカイを殴るエンジ。

エンジ「もはや他人同士だ。やろうぜ。」

 無音の中で、二人の殴り合いが始まる。二人が取っ組み合ったところで、焦りの表情のメイカが竹刀を持って駆けつけてくる。

メイカ「何をしているんだ!」
エンジ「うるせえ!男同士の喧嘩だ!邪魔をすんな!」
イチズ「水を差して申し訳ねえな、警察だ。」

 イチズに気を取られ、メイカの一刀で倒れるエンジとセカイ。暗転。

【第6場:二人は泥を見た、二人は空を見た】


 舞台は切り替わって刑務所、明転。セカイとエンジが牢屋の中に、外にイチズが立っている。

エンジ「刑事さん。喧嘩しただけでこれはあんまりじゃない?」
イチズ「保護だ、保護。」
セカイ「何の保護ですか。意味不明ですよ。」
イチズ「いやー盛り上がってたなあ。あの喧嘩、ネットでライブ中継されてたぞ。」
二人「はあ!?」
エンジ「またお前、俺を炎上させようとしたのか!」
セカイ「君こそ、僕の写真家としての人生を終わらせようとしたんだ、卑怯者!」
エンジ「どっちが卑怯だ!」
イチズ「喧しいわ!」

 取っ組み合いになろうとしたところで、イチズの一喝。静かになる二人。

イチズ「マジで何も分かってねえんだな。ハメられたんだよ、お前らは。」
セカイ「……なんで気づかなかったんだ!?ルネちゃんか!」
エンジ「くそ!そういうことかよ!バラエティ番組で共演して以来、距離感がおかしいと思ったんだ。」
メイカ「それが彼女の『芸能人潰し』ですよ。」

     メイカが現れる。

イチズ「今度こそ証拠掴めたと思ったんだが、盗聴器は壊されたしな。」
セカイ「……あ、あの端末!」
メイカ「すまない、出来る限り録音はしたが、証拠として提出するには難しい。」
エンジ「じゃあ俺たちが証言すれば!」
イチズ「誰がお前らに耳を貸すんだ。相手は国民的トップアイドル、どれだけのファンがいる?どれだけの大企業が彼女の肩を持つ?こちら警察様の上層部も日和ってるぐらいだ。」
セカイ「そ、そんなの!泣き寝入りするしかないじゃないですか!」
イチズ「おう。チェックメイトだな。」

 沈黙する一同。

イチズ「なあ、舞岱エンジに写真セカイ、人気になれて、嬉しかったか?」
二人「……。」
イチズ「俺なあ、とある役者と写真家の大ファンでよ。泥を這いつくばりながら表現する姿が、本当に魅力的だったんだ。でも人気が出てからは方向性が変わって、寂しくなっちまったよ。」
二人「……。」
イチズ「そういう人間もいるんだ。なあ、本当にお前らがやりたいことはなんだった?お前らの本当のファンは、何を待っていると思う?」
セカイ「本当にやりたいこと……。」
エンジ「本当のファン……。」
イチズ「まだチャンスはあるってよ。」

 イチズがお守りを出す。柔らかな風の音。

エンジ「そ、それは、旅人さんが落としてったお守り!」
メイカ「これが最後の切り札。そうですよね、旅烏……藍童ルウさん。」

 旅烏が現れる。ハットを外した瞬間に驚愕するセカイとエンジ。

二人「あ、フリー画像の人!」
セカイ「待って、藍童って……。」
イチズ「そこは当人同士に任せようや。よく聞け、これからお前らの大舞台だ。」
二人「大舞台?」
イチズ「ここ、刑務所になる前は劇場付きの公民館でな、舞台も装置も完備だってよ。やらねえか?フリーマン!」

 顔を見合わせる二人。暗転。

【第7場:ジェイルバーズ・ソング】


 舞台は最初の公園に戻る。エンジは体操、セカイが舞台後方のパネルに公園の写真を飾っている。明転。


エンジ「まるでジェイルハウスロックだ。」
セカイ「エルビス・プレスリー?」
エンジ「ブルース・ブラザースだな。ブラザーなんだからよ。」
セカイ「……あのさ、エンジ。」

 舞台上にある小道具の枝を手に取るセカイ。

セカイ「僕たちは、兄弟でいいのだろうか。」
エンジ「……当たり前だろ、ブラザー。」

 エンジも枝を手に取る。

エンジ「フリーマン!俺たちの再出発だ!」
セカイ「……うん!」

 二人、枝を交差させ、天に掲げる。開演のブザーが鳴りだし、暗転。暫くしてから舞台にスポットが点くと、藍童ルネの姿。

ルネ「やっほー☆みんなー☆今日は、スペシャルゲストで呼ばれてきちゃいました☆色々騒ぎはあったけど、お世話になったことは間違いないから!」

 沸く会場。ルネちゃん優しいよーなどといった掛け声も聞こえてくる。

ルネ「それじゃあ、早速はじめるよ!みんな分かってるよね?せーのっ!」
全員「『トップ・アイドル』(曲名)!」

 そう声をかけた瞬間、薄くノイズがかかった音声が再生される。

音声記録①
ルネ「エンジ君は、セカイお兄さんのことを『ただの踏み台に過ぎない』って言ってたんだよ。」
セカイ「なんだって……?」
ルネ「ホントクズだよね。だから協力してよ。この画像を上げればいいだけ!」

 砂嵐のようなノイズを挟んで、次の音声。

音声記録②
ルネ「どうして私と付き合えないの!?」
エンジ「ブラザーがいるからな!」
ルネ「セカイお兄さんのこと?駄目だよ!あの人、エンジ君を炎上させようとしてるんだよ?」
エンジ「そんなことするわけないだろ。とにかく、お前とは付き合えない!」
ルネ「……どうなっても知らないからね。」

 砂嵐のようなノイズを5秒。音声が終わり全明転。会場がざわめきだす。メイカ、イチズ、エンジ、セカイの4人が入ってくる。

ルネ「て、テメエら……。」
イチズ「おいおい、素が出てるぞ。」
ルネ「え、えーっ☆なんのことかなあ☆大体、盗聴器は……。」
セカイ「盗聴器を壊したはずなのに、ね。」
エンジ「……なあ、もうやめにしないか。」
ルネ「分かった!そういうドッキリだね!音声の編集も上手じゃん☆」
全員「……。」
ルネ「そうだよね?じゃないとおかしいもん!私の声が残ってるはずが……。」
旅烏「このお守りが、教えてくれました。」

 旅烏が現れ、お守りを出す。そのお守りと顔を見た瞬間、絶望的な表情を見せるルネ。

ルネ「……どうして?ねえ。どうして?なんで、それを持ってんだよ。」
旅烏「ルネ。もうやめにしよう。こんなこと、父さんも母さんも望んでない。」
ルネ「父さん?母さん?誰のこと?そもそも、あなたは誰?」
旅烏「ルネ……。」
ルネ「今更家族ヅラするなよ。テメエらが私をこうしたんだ。」
メイカ「ルネ、お前は……。」
ルネ「なんてね☆ほら、次の現場に連れてってよ、キャストさん。あ、もしかして発狂する演技、必要?」

 ここから畳みかけるように台詞を吐くルネ。

ルネ「テメエら1番じゃなくても良いなんて綺麗事を吐くクセに、見てんのは1番じゃねえか!1番じゃなくなった瞬間にオワコンだの時代遅れだの、好き勝手コンテンツを消費しやがって!私の姉さんはそのしがらみから逃げたんだ!自由って言葉は都合がいいよなあ!その本質は、誰かに面倒を押し付けての逃避なのになあ!」
メイカ「……くそ。」
イチズ「割り切れ。これが俺たちの仕事だ。」
メイカ「……ご同行願おう。藍童ルネさん。」
ルネ「……えへへ、みんな!わたし、負けないよ!『トップ・アイドル』はおあずけ!またねー!」

 ルネ、イチズとメイカの二人に連行され、舞台から消えていく。

旅烏「お二人様、ルネがご迷惑をおかけしました。そして、ありがとう……失礼します。」
エンジ「待ってくれ。演奏してくれないか?あの時、公園でやってた曲。
旅烏「今の私に、そのような資格があるのでしょうか。ルネの言うことも間違っていないのです。私は逃げて……。」
セカイ「逃げなんかじゃない。いいんだよ。新しい風景を求めて、なにものにも囚われない世界へ行くって、簡単なことじゃないんだよ。」
エンジ「迷惑をかけてるとか、1番になれないことの苦しさなんて、今更じゃねえか。それでも旅を続けるんだろ。この監獄で!」
セカイ「君が言うと説得力あるね。」
エンジ「お前も大概だろうが。」

 笑い合う二人。

旅烏「どうして笑っていられるのですか。」
エンジ「信じているからだよ。ブラザーのことも、俺の進む道も。」
セカイ「これが、僕ら兄弟の第一歩なんです。」
旅烏「……貴方達にもう少し早く出会えていたら……なんて。神に感謝ですね。」
エンジ「それじゃあ、祝福してくれ。人間五十年の、夢幻の、その旅を。」

 エンジとセカイがマイクの前に立つ。旅烏は横笛を構える。3人にスポット。

セカイ「皆さん、長らくお待たせしました。これは僕ら、兄弟の旅立ちの物語!」
エンジ「いよいよ開演です。最初の、俺たちの大舞台!タイトルは……!」
二人「フリーマン!」

 主題曲が流れる。彼らの姿がシルエットで映し出されてから暗転。スクリーンにはクレジットタイトル。最後に、『フリーマン!』の完成した台本の表紙。そこには、あの日撮影したヒーロー風ポーズのエンジと、それを撮影するセカイの二人の姿が飾られていた。

終幕

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