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もうすぐ無くなるブルガリア・ルーマニア間の国境越え

ルーマニアとの国境近くのブルガリアのルセでまったり一泊した後は、ルーマニアのブカレストまでの列車の旅。距離的には80キロ弱と近いのですが、国境審査などのため3時間ほどの旅です。

ブルガリアとルーマニアは2024年の3月31日にシェンゲン協定に正式に加盟することとなるため、両国間の国境審査は無くなります。その前の貴重な陸路での国境越えです。今後便利にはなりますが、国境を超えるドキドキが少なくなってしまうのは淋しい気がします。


ガランとした重厚なルセの鉄道駅


ルセの鉄道駅は市の中心から歩いて20分ほど。

かなり重厚で立派な駅舎です。

黒海沿岸の都市、ヴァルナとを結んで160年以上だそう。結構歴史があるブルガリアの鉄道。

利用者は少なくかなりガランとしています。チケットは前日に窓口で購入しました。

通路を通ってホームへ。

ホームに辿り着くと既に電車は到着していました。

何と何日か前にイスタンブールから乗った夜行電車でした。

一部は手前のプロブディフの駅で切り離されルーマニアのブカレスト行きに、残りはブルガリアのソフィアへ向かいます。

このとき、イスタンブールから来たトルコの寝台車両と、ブルガリアの車両、ルーマニアの車両を連結している最中でした。今ではこういう切り離しの光景を見られるところが少なくなりましたが、ブルガリアやルーマニアでは結構見かけました。

トルコの車両は寝台なので、ルーマニアの車両に乗り込みます。スペインでももう見ることのなくなった懐かしのコンパートメント。

ノスタルジックな気分にさせてくれます。

ブルガリアの出国審査

発車時間を過ぎるとブルガリアの国境警察がパスポートを回収しに来ました。出国審査はこのルセの駅で行うよう。チケットに書かれている発車時刻は電車が発車する時刻ではなく、出国審査を開始する時間だったということ。

20分くらいしてパスポートにスタンプを押して戻ってきました。同じコンパートメントに乗っていたペルー人とアルゼンチン人の年配男性2人は質問をいくつかされていました。

いざルーマニアに向けて出発!

外は30度近くでしたが、何と電車はエアコンがなし!窓がどうしても固定されず、閉まってしまうので誰かがトイレットペーパーのロールを挟んでいました。

出発してすぐのドナウ川手前でトラックや車の国境審査エリアが見えました。これももうすぐ無くなります。

15分くらいすると国境のあるドナウ川が現れ鉄橋を渡ります。ドナウ川はやはり広大。

ガタンゴトンとゆっくり進みます。こういうのんびりとした国境越え情緒があり好きです。

ルーマニアの入国審査

国境を超えるとルーマニア側の国境の駅で停車。ルーマニアの入国審査のためまたパスポートを回収しに国境警察が乗り込んできます。

乗客はホームがないのに電車を降りてタバコを吸っていたり、駅舎の方に行ったり自由です。

窓から外を眺めていると、どこからか野良犬がやってきました。

最初は怖い!と思いましたがなんだか愛想を振りまいていて、線路に出ていた乗客が撫で撫で。窓から外を見ている人たちにそれぞれ挨拶。どうやらお腹が空いていたようで、ランチのソーセージを投げてみたら大喜びでした。人懐っこさが表情に現れています。

同じコンパートメントのペルーに住んでいてシアター俳優をしているという60代後半くらいのアルゼンチン人男性と話し始めると、トルコ、ギリシャ、ブルガリア、ルーマニアと来て、ハンガリー、ドイツ、スペインを旅行予定ということ。連れのペルー人男性はコックをしているそう。色々話を聞けて面白かったです。

時はゆっくり流れます。

暑さと大雨

パスポートを返却してもらい、電車はノロノロとブカレストに向けて走ります。ところが徐々に雲行きが怪しくなり、いきなり大雨が。

窓から雨がジャバジャバと入り込み床は水浸しとなり、慌てて廊下の窓も閉めました。お陰で室内の気温は大分下がりました。

しばらくして天気も回復して一面に広がる黄色い花がキレイです。

途中、トイレに行っていたパートナーが戻ってきて、「となりの車両は新しくてクーラー効いている!」とのこと。せっかくペルーから来ている人と楽しく話せたし、もう到着までそんなにないので移動はしませんでしたが、汗ばむほど暑かったので拍子抜けでした。

ブカレストに到着

そしてルーマニアの首都、ブカレストに到着。そこまで長い旅路ではなかったですが、暑さでバテました。

ブカレストの鉄道駅はあまり良い噂を聞いたことがないので、厳戒態勢で写真を撮る余裕もありませんでした。人がわさわさといて、若い女性がお金をくれと寄ってきましたが特に大きな問題もなく無事に駅を脱出できました。後にまたここから電車に乗りますが、あまり危険という雰囲気はなかったです。

スローな鉄道での国境越え。疲れましたがやはり国境審査での緊張感や待ち時間は深く記憶に残る出来事です。

今回、ブルガリアとルーマニアがシェンゲン協定に加盟することで、ギリシャとブルガリア間、ブルガリアとルーマニア間、ルーマニアとハンガリー間の陸路での国境審査が無くなります。

国境審査がなければ、ペルーからの旅行者と話す機会がなかったかもしれないし、フレンドリーな野良犬と会うこともなかったでしょう。空港で列を作って並ぶのとは全く違う経験が鉄道での国境越えにはあります。そんな経験が今回できて良かったです。

次回はブカレストの街歩きです。

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