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雇用?なにそれ?罰ゲーム?

昨今、日本の低賃金が騒がれていますが、私はこれまで低賃金の底の底でしか働いたことがありません ( ー`дー´)キリッ

飲食店の店長時代は、時給680円換算で働いていました。出版社に入社したときは、31歳で総支給14万円、編集長になって18万円という超絶薄給。いずれも、労働時間は12時間以上/日で、休みは週一あれば良いほうというような環境でした。

ですから、独立して自分が社長になったら、従業員への還元をしよう! と、固く決意していました。ですが、還元できる利益を生み出すことができず、最低賃金と求人相場のバランスでしか給与を決められませんでした。

バックれるアルバイト

飲食店は、ほとんどの従業員をアルバイトで回しています。私も11年飲食店経営をやってきて、雇用した社員は3人だけです。アルバイトは、1日しか働かなかった人も含めると、のべ100人以上は雇ったと思います。

飲食店のアルバイトといえば、主に学生さんのイメージがあるかもしれませんが、私がやっていた宅配専門のゴーストレストランでは、主な業務が原付バイクでの配達なので、本当に多種多様な方々を雇用していました。

まず年齢層は、免許取り立ての16歳〜60代のおじいちゃんまで。
学歴不問なので、国立大学生からお笑いや声優の養成所生、中卒の元ヤンや、全身和彫で小指のない元ヤ○ザなどなど、さまざまです。

このように、年齢も背景も全然違う人たちですが、不思議と共通の話題がありました。それはパチンコです。パチンコの話ができる人は、すぐ打ち解けて仲良くなっていました。私はパチンコをまったくやらないのですが、そんな私にも、嬉々として勝った負けたの話をしてくれます。

少々話がそれましたが、パチンコ以外共通点がないような集まりですから、価値観もさまざまです。しょっちゅう遅刻する人もいれば、かならず出勤時間の15分前には来ている人もいます。

しかし、アルバイトですから、みんな仕事に対する優先順位は低めです。もちろん、他に優先したいことがあるので出勤シフトに融通のきくアルバイトをしているわけで、私としても、出勤を無理強いする気はありませんでした。

ただ、非常に困っていたのが、当日欠勤や無断欠勤です。人件費に余裕がないので、シフトは常にギリギリで組んでいました。ですから当欠されると辛いんです。

さらに、無断欠勤をする人は、そのまま音信不通となります。まあ、働くところはいくらでもあるし、無断欠勤して怒られる職場へいくよりは、そのまま辞めてしまえ! ということだと思います。

実際、辞めることを事前に申告してくれるアルバイトって1割もいない、というのが私の体感です。

これ、最初は面食らいましたね。え!なにも言わずに辞めるの?って。マジで事件にでも巻き込まれたのかと心配して、自宅まで行ったこともあります。あまりにも腹立たしくて、向こうから連絡してくるまで給与振込をしなかったこともありました。

ですが、労働基準法では、バックれOKなんですよね…… バックれても、働いた分の給料は当然全額支給しないといけませんし、それどころか、退職の意思があることをきちんと証明できるようにしておかなければ、休業手当を請求されかねないんです。勝手に出勤を停止させられたと訴えられたら、雇用主は負けるんですよ。。。

労基法が労働者を守る法律だということは、もちろん承知していますし、実際ブラックな会社で大変な目に合っている人を救う法律だということも心得ています。

だけど、真面目に経営している経営者に味方してくれる法律ではないですよね。

幸い、私は従業員と法的なトラブルにまで発展したことはありませんが、知り合いの社長さんの事例で、店の食材を盗んでバックれた従業員から、休業手当請求があったという話を聞いた時には、引きましたね……

労基法を詳しく知るにつれて、バックれた従業員に対しては、心を無にして「辞めたいのでしたら、その旨を連絡してください。連絡あり次第、給料振込いたします」という定型文を送るようになりました。まあ、連絡なくても給料日には振込むつもりでしたが、この一文をLINEやSMSで送ると、100%返信がありますので、事故や事件に巻き込まれたわけではないんだな、という確認は取れますし、休業手当の請求も回避できます。

残業代、深夜手当、有給休暇

私自身が無知だったので、残業の計算や深夜手当のことを、経営するまで知りませんでした。というのも、自分がもらったことがなかったからです。この記事の冒頭で書きましたが、毎日12時間以上働いてても、給料明細に残業や深夜手当はありませんでした。

ですが、社労士事務所へ相談に行き、時給計算の基本のキを教えてもらいました。実働8時間以上の労働時間には、時給の1.25倍で残業代を計算すること。22時を超えると深夜時給となり、これまた1.25倍になること。

最近は情報があふれていますので、残業代や深夜手当は普通に支給されていると思いますが、私が飲食業で働き始めた20年前は、ほとんど支給されていなかったんじゃないかなぁ? 特に地方では。

残業代や深夜手当は、当然なのですが、ちゃんと支給しましょう。なぜなら、不払いがあった場合、過去2年間分を遡って請求されますからね! 一気に請求されると、なかなかまとまった金額になりますし、不満を持った従業員は結束が強くなりますから、みんなで一斉に請求されると、相当ヤバいですよね……

あとひとつ、見出しに書いた有給休暇ですが、アルバイトでも有給休暇の権利は発生します。ですが、このことはまだあまり知られていないのかどうかわかりませんが、申請してきた人はいませんでした。申し訳ないですが、申請がなければ支払う必要はありませんので、私の場合は支払ったことがありません。

アルバイトの出勤シフトを決めるルールとして、私がしていたことは、まず最初にみんなの休み希望日をすべて叶えるということです。ですから、みんな休みたい日に休めていたので、有給休暇を取る必要がないというか、申請するという発想にならなかったのかもしれないですね。

36協定って?

さきほど、残業代について書きましたが、そもそも残業ってさせちゃダメなんです。残業をしてもらうには、従業員のみなさんに合意を得る必要があります。それが、いわゆる36(サブロク)協定というやつですね。

https://www.check-roudou.mhlw.go.jp/study/roudousya_jikangai.html

36協定を届け出て、はじめて残業してもらえるなんて、経営者になるまで知りませんでした。

いろいろと、雇用について書いてみましたが、他にも気をつけなければならないことはいっぱいあります。社会保障費や税金などもありますし、離職票や源泉徴収票の発行など、雇用に関わる事務作業は大変でした。

けれども、確信を持って言えることは、従業員とはできるだけ良好な関係を築いておくに越したことはない、ということです。やはり、人間関係を良好な状態にしておくことで、そもそも無断欠勤や離職を減らせますし、労基法を逆手にとって訴えられるような恨みを買うこともありません。私はそのために、まったく興味のないパチンコの話に付き合っていました(笑)

さんざん雇用で苦労した経験から、次に私自身が雇われる立場になったなら、感謝の気持ちを忘れずお仕事に従事したいと思います。

な・の・で、、、だれか仕事くださいっ!!!ww


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