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UFOと心霊の「説得力」の違い(エッセイ)

 「幽霊や怪談などの話は日常的にされるのに、UFOの話になるとシラけた空気になりがちなのはなぜか」「なぜ、他のオカルト的な要素に比べてUFOはいまひとつ人気に欠けるのか」……。筆者はこう疑問に思うこと限りない。なぜ、こうなんだろう。雑多ながら、考えを以下にまとめてみた。

 かつてのUFOブーム当時の熱気こそないけども、2023年現在もUFO関連の話題は盛り上がってはいる。米議会でのUAP関連の報道も多いし、メキシコ議会でハイメ・マウサンの提出した「非人類のミイラ」がニュース番組で報道されたりもした。日本国内でも、山梨県の甲府で起きた宇宙人との遭遇事件、通称・甲府事件に関するイベントが1月に行われたり、11月には福島飯野町ではUFOフェスティバルも開かれた。UFOにまつわる本も定期的に出ている。かつて大きく取り上げられたUFO事件をもう一度取り上げたり、地域おこしの点では動きも大きくある。一方、なんというか今ひとつパッとしない感じがあるのだ。ニュースでUFO関連の報道がなされるとき、いつもいつも「いや〜夢がありますね」「ロマンがあっていいですね」という話の落とし所に行き着いてばかりな印象がある。(この辺の話は「印象」で終わらせず、具体的な番組名などの出典をメモして統計とってりゃよかったのだが失念)

  UFOの話をするときに失笑されたり、いつも決まった型にハマりがちなのはなぜだろう。一番の大きい要因は、UFOの存在が「肌身で感じる説得力」に欠けているからなのではないか。UFOも幽霊も、何らかの存在を目撃してしまい、それを自分なりに捉えるという枠組み自体は同じだ。UFOにおいては、その本来の未確認飛行物体という意味合いから発展し、多くの人は「宇宙人の乗り物」という意味合いで「UFO」という言葉を使っている。それは、「正体不明の白い人型の存在」を目撃したときに、それを「幽霊」だと捉えるのとそう変わりない。ただ、幽霊などの心霊めいた事柄の場合には、それに日常的な実感が伴ってくる。夜道を歩けば背後に気配を感じるし、心霊スポットに行きさえすれば何も起きなくても怖い。

 幽霊にしろUFOにしろ、その客観的な証明が難しい以上、話の落とし所としては似通ってくる。ただ、幽霊の存在を語るとき、「死後も魂が存続するのかどうか」という点まで話は発展していく。多くの人にとって、死後も存続していたい・そうあって欲しい願望というものがあるから、そういう話題に関してまで切実な問題として感情に迫ってくるものはある。UFO関連の話題においても切実な人間の願望に答えてくれるスピリチュアルな世界が用意されてはいるが、宇宙人とコンタクトしたと語るコンタクティーや、さらにスピリチュアル度を上げれば「自分は宇宙人の魂を持って人間界に生まれた者である」とするスターシード……とまあ、おおかた既存の霊能力者の宇宙人版であり、オリジナリティーが足りないような気もする。


世代間の圧倒的な違い

 まず、過去に巻き起こったUFOブームの背景を考えてみると、現在との違いがわかるかもしれない。1947年のケネス・アーノルド事件をきっかけにアメリカを中心としたUFOブームが起き、遅れて日本にもそれがやってきた。ここで見えてくるのは、戦争の影響だ。例えば、ケネス・アーノルドが「九つに連なる連凧のようなもの」を目撃し、報告したのは、自分たちの国にとって脅威になりうるかもしれないという危機感からだった。終戦からわずか2年の出来事であるから、「あれは敵国の兵器なのかもしれない」というニュアンスも、そこにはあっただろう。TVプロデューサーの矢追純一は満州で生まれ、混乱の中で育ったという。目の前で人が死に、圧倒的な不条理に晒されて育った人からすると、UFOや宇宙人の存在というのは現在の私が感じる以上の生々しさが感じられたのかもしれない。こうした、特定の世代に共有されている感覚というのも今ではあまり無いだろうし、かつてほどの迫力のあるブームも難しいのかもしれない。

 
出典:
「地球外生命体の遺体」は本物なのか? メキシコ議会で公開された謎のミイラが波紋 https://wired.jp/article/mexico-congress-aliens-fake/

【世界騒然ニュース】インド上空に「UFO出現」で空軍戦闘機がスクランブル発進した「1時間半の追跡」https://www.asagei.com/excerpt/290449

UFOに遭遇」の小学生 甲府事件から半世紀を前に沈黙を破る
https://withnews.jp/article/f0230619000qq000000000000000G00110101qq000025834A

(Youtube動画)【戦争特集⑧】日本オカルトエンタメの父・矢追純一登場!世界滅亡も怖くない。その哲学を教えます。
https://youtu.be/_Y6GjCevDX8?si=CauqKIbG5gxna4C5


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