小学校に毎年花を贈っていた祖父

高校を卒業して、上京して数年で実家に戻ってきた。
祖父母の介護をし、最期を看取った。
その後、仕事でうつ病になり、引きこもる。
そして、今、回復に努めている。
自律神経を整えるため、毎日散歩をしている。

私の住む町は、海と花の町だ。
散歩コースには潮風が吹き、波の音が聞こえる。
春は花畑に花が咲いている。

私の家も祖父母が花を育てて出荷していた。
子供の頃、手伝いをしていたが結局、後は継がなかった。
中学の頃から祖父が嫌いで口を聞かなかった。
大人になって、実家に戻ってからも最低限の会話程度だった。

この間、いつもの散歩コースから外れ、通学路を通って、数年前に廃校になった小学校へ行ってみた。

祖父が亡くなった後、母から聞いた「おじいさんは毎年、卒業式や新学期の始まりに子供達がお世話になったからといって小学校に花を贈っていたのよ。」という話を思い出す。
廃校になる時まで、十数年、贈っていたらしい。

聞いた時は驚いた。全然気が付かなかった。
あんなに気難しく、怒りっぽい人がそんな事をしていたのか。
小学校側からすれば毎年、花をくれる変な人くらいの感じだったのかなぁ。

私が今、散歩の時に花を見て癒されているように、祖父母が育てた花も誰かの心を癒していたのだろうか。

春の花はもうじき終わり、夏は向日葵だ。







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