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【どこよりも詳しい】オリックス新外国人アンドレス・マチャド投手徹底分析

こんにちは、シュバルベです( ✌︎'ω')✌︎

パリーグ3連覇を達成したオリックス・バファローズ。日本シリーズでの関西ダービーでは第7戦まで縺れた末に日本一の座は逃したものの、リーグでは圧巻の強さを見せました。

チームの大黒柱である山本由伸投手が海外ポスティングでの移籍を予定しており、中継ぎ投手はシーズン終盤~日本シリーズにかけてやや脆さを見せた中、来季に向けて外国籍投手の戦力上積みは必須。

年内11月に早くもアンドレス・マチャド投手の獲得発表が発表されました。

本noteではリリーフ投手として期待のかかるアンドレス・マチャド投手について、どんな投手か、そしてチームにどうフィットしていくかを考えていきましょう。



0.アンドレス・マチャド投手のプロフィール

ベネズエラ出身のアンドレス・マチャド投手は、身長185cm/体重105kg、やや横にも広めながっしりとした体格の持ち主です。

1993年4月22日生まれの30歳。オリックスのジェイコブ・ワゲスパック投手と同い年です。2010年にドラフト外でカンザスシティ・ロイヤルズとマイナー契約を締結し米球界入り。

ルーキーリーグで6年間過ごし、2015年にはトミージョン手術も受けましたが、2017年にAAAまで昇格。同年9月にMLB初登板を経験するも2試合3イニングで9失点とMLBの壁に跳ね返されます。

その後もマイナー暮らしが続きますが、2021年にワシントン・ナショナルズに移籍するとAAAで好成績を残し6月にメジャー昇格。以降はすべてリリーフとして出場を重ね、3年連続40試合以上の登板、3年間合計で135登板とブルペンを支えました。

推定年俸は90万ドル。

背番号の発表等はオフの動きが終わった年末~年明けになりそうです。


1.アンドレス・マチャド投手の投球成績

2023年のMLBでのアンドレス・マチャド投手のシーズン成績はこちらです。

44試合に中継ぎ登板し防御率は5.22。そのうち12イニングで1.1イニング以上投げており、回跨ぎもこなすタイプのリリーバーです。

奪三振能力は20.8K%とまずまずの数字、与四球率は6.3BB%と自滅することは少ないタイプだと考えられます。8月は14試合を投げて防御率2.63、9月も13試合で防御率3.83と夏場にかけて成績を上げているのは通年通して投げられる体力があると考られるでしょう。

直近3年間のMLB成績はこちら。

21年~22年にかけては今年以上に防御率良く、いずれのシーズンも3点台。ただK%・BB%に関しては今年がキャリアハイとなっています。今年の防御率の悪さは44試合で12被本塁打というホームランの多さが原因でしょう。得点圏での被打率は.213と粘れますが、シチュエーション関係なく今年は被弾が多く、パワー負けしてしまったことがNPB行きの後押しになったのではないでしょうか。

打者の左右の打席による被打率の乖離はほとんどない(共に被打率.282)のですが、対右打者に対しては23.1K%に対し2.6BB%とスタッツは非常によく、左打者には17.8K%に対し11.1BB%と決め球を欠いている可能性があります。これは次以降の投球内容で深堀りしましょう。


2.アンドレス・マチャド投手の投球内容

この章ではアンドレス・マチャド投手の投げているボールについて見ていきましょう。

2023年、投じられた球種は次の通りです。

150km/h中盤の速いフォーシームとシンカー(ツーシーム)が投球の60%を占めており、140km/h中盤のチェンジアップと速いスライダーがそれぞれ20%前後。緩急を使ってタイミングを外すよりも変化量で勝負するタイプでしょうか。

ファストボール系の球速は出ており空振り率も20%を超える一方、被打率悪く、被弾も多かったことで勝負の舞台を日本に移す決断をしたという可能性はありそうです。

投球の組み立てとしては、浅いカウントではバランスよく球種を使い、追い込んでからはフォーシームとチェンジアップの割合を高くして三振を狙いに行きます。ボール先行時でもチェンジアップの割合は多い一方、スライダーは投手有利カウントで使うケースがほとんどで、精度に自信があるのはチェンジアップと考えていることが分かります。

打者の左右によっても組み立ては大きく変わります。

右打者に対してはシンカーの割合が40%を超え、スライダーの割合も25%近く、全球種を使って投げています。一方、左打者に対してはチェンジアップの割合が45%を占め、スライダーは1%台。対左に関しては抽斗が少なく、23シーズンではシンカー(ツーシーム)の対左被打率が実に.636(11打数7安打)と狙い撃ちにあっています。

アンドレス・マチャド投手が2023年に投じたボールの変化量を縦×横でマッピングすると次のようになります。

フォーシームとシンカー(ツーシーム)は10cm近くマッピングがずれており、この2球種は意図的に分けて投げているボールとなっています。ファストボール系の2球種とチェンジアップは左右のバラつきが小さく、再現性高く投げられている一方で、スライダーは幅も高さもまちまちとなっています。

NPBで活躍できるかという観点では、このスライダーの精度向上という点は必要に大きなポイントになるかもしれません。

MLBに比べてコンタクトに秀で、またフォークやスプリットといった落ち球を得意とする投手の多い環境に適応してきた打者が多い故、マチャド投手のチェンジアップは平均より落差が少なくMLB以上にコンタクトされる可能性があります。

フォーシーム、シンカー(ツーシーム)、チェンジアップ、いずれも利き腕側への変化量が大きく、配球チャートを見てもベースの三塁側を基調に投げているだけに、ベースの一塁側で勝負できるボールとしてスライダーの精度向上が好成績につながるのではないでしょうか。

これまで来日してきた他の外国籍選手と比較をしてみましょう。比べる球種は投球割合の多くを占めるフォーシームとチェンジアップです。

比較対象として、その2球種を持ち球とする5人の右投手を入れました。オリックスのワゲスパック投手とコットン投手、日ハムのポンセ投手、西武のティノコ投手です。

まずはフォーシームから。

マチャド投手のフォーシームはシュート成分が25cmを超え、ホップ成分は40cm。他の投手と比べてシュート成分が大きく、右打者に対してインコースに食い込んでいくボールです。球速は十分あるため高めにどんどん投げ込み、高速シンカーとセットで打者を圧していくピッチングが出来ればベストでしょう。

回転効率は99%と高く、平均回転数は2,120回転ながら31%の高い空振り率を記録しているのは優れた投球フォームと指先感覚に基づくもので、このフォーシームで大きく制球を乱すことは考えにくいでしょう。

なお、シンカー(ツーシーム)に関してはフォーシームと比べて回転効率・回転数ともにほぼ一緒ながらシュート成分43cmホップ成分26cmと変化量は大きく異なり、縫い目の違い(握りの違い)だけでこれだけの差を生み出しています。

続いてチェンジアップ。

シュート成分が37cmと利き手側に大きく寄ったボールとなっています。球速差は10km/h程度と少ないため、チェンジアップとはいうものの緩急以上にしっかり曲げ落とす、NPBでいうところの速いシンカーに近いボールと言えるでしょう。

最後に実際の映像を見ての定性的な情報です。

フォームとしてはいわゆるアーム投げに近く、テイクバックはかなり深めです。踏み出し脚の幅は広く、近年の日本人投手にはあまり見られないような投げ方ですが、身体の使い方として左右へのブレは比較的少ないため制球を大きくは乱しません。

クイックはかなり苦手そうで、ランナー有りの場面でもしっかりと足を上げておりテイクバックは変わらずのため、かなり日本でも走られるでしょう。今年のMLBでも許盗塁は11で1つも刺せていません。

日米のストライクゾーンの差はマチャド投手の成否を分ける可能性が高く、特に高めのゾーンで思うように日本でストライクが取れなかった時の手詰まり感は否めないでしょう。


3.アンドレス・マチャド投手に求められる役割

最後に、アンドレス・マチャド投手がオリックス・バファローズで果たす役割についてです。

基本的には、MLBでのリリーフ経験を活かした中継ぎでの活躍期待される役割になってくるでしょう。

リーグ優勝後~ポストシーズンにかけて主戦投手以外のリリーフ層の薄さが露呈し、その要因の一つがワゲスパック投手の不振と、コットン投手・ニックス投手の新戦力が期待外れに終わってしまったことです。

来年は山本由伸投手・山﨑福也投手がいない中でのシーズンとなるため、中継ぎ投手が担うイニング数が今年よりも増加することは想定され、ある意味で雑に使える外国籍投手はMLBでも担ってきた回跨ぎも視野にいれた運用を考えているのではないでしょうか。

マチャド投手には一軍で40登板、50イニング、防御率3点台前半というラインの成績を求めていきたいですね。

成功のポイントとして以下の3点を挙げておきます。
①日本のストライクゾーン(特に高めの狭さ)に順応していけるか
②スライダーの精度向上
③走られることは覚悟して打者との勝負に集中できるか

頑張って結果を残してほしいですね。
Go, Machado!!


■出典

https://www.mlb.com/

https://baseballsavant.mlb.com/

https://1point02.jp/op/index.aspx


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