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バッティングセンターで彼女に母性が湧いた話

この話は彼女と同棲をすることが決まり、新居の入居開始日も決まった頃の話です。

お互いこれまで住んでいた街が名残惜しくなって、同棲前に行きたいお店に行くことに。

大人な雰囲気の鰻屋さん

その日は、彼女が一人暮らし時代に住んでいた駅近くの鰻屋さんで。

店内は旅館のように綺麗で、少し大人な雰囲気のお店だった。そこでうな重をいただく。

美味すぎて、舌がとろけた。

次にうなぎを食べるのは特別な日にしようと約束したところで、僕は彼女に提案する。

「バッティングセンターに行かない?」

1人でたまに行くと彼女から聞いていたのをふと思い出した。同棲が始まると、もうこの街を訪れる機会は少ないだろう。

それもあって、後悔のないように過ごしたかった。思えば、これまでの人生でバッティングセンターに行った経験は数える程しかない。

駅前の寂れたバッティングセンター

鰻屋さんから歩くこと数分。昔からやっていそうな趣があるバッティングセンターに着いた。

腕試しにまず球速90kmで打ってみる。そこそこ当たる。慣れて来たところで110kmへ。

球の勢いがある分ミートさせるだけで打球は遠くに飛んでいく。当たると爽快で気持ちいい。

僕に運動神経があるところを見せつけた後、彼女に交代。後ろからお手並み拝見とばかりに、バットを握る彼女を見つめる。

女の子にしてはフォームも様になっているけど、振り遅れたりして思ったほどボールに当たってなくて笑えた。

ただ、だんだん見ていると愛おしさが芽生えてきて、大切にしてあげたいなという母性が湧いてきた。

圧倒的な満足感に浸る

バッティングに満足した後、同じ施設内にあったゲームコーナーのホッケーで遊んだ。

こういうゲームは昔から得意で、彼女相手につい本気を出してしまった。

結果「6:1」の大差で僕の圧勝。こういう遊びでもガチでやるのが僕らのルールなので、仕方ない。

大いに遊んで、満足した僕らはバッティングセンターを後にした。これだけ遊んでも出費は一人あたり1,000円以下。なのに、この圧倒的満足感。庶民のお財布に優しかった。

「費用対効果が高い遊びだね」
「そうでしょ」 

そんなことを言い合いながら、当時の彼女の家に帰った。


今思い返しても、楽しい夜だった。



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