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悩みが消された数日後

タイトル:悩みが消された数日後

▼登場人物
●表在(ひょうざい)リコ:女性。30歳。独身OL。日常で女性特有の悩みを持って居る。
●街の人達(痴漢や変質者含め):男女問わず一般的なイメージでOKです。
●甲斐祥子(かい しょうこ):女性。30代。リコの理想と欲望から生まれた生霊。

▼場所設定
●カクテルバー:都内にあるお洒落なお店。リコと祥子の行きつけ。
●街中:いずれも一般的なイメージでOKです。

▼アイテム
●栄養ドリンク:祥子がリコに勧める特製の栄養ドリンク。これを飲むと幸運がやって来て生活上のトラブルを避けられる。飲んだ人の心も強くさせる。但し効果は3ヶ月。
●Dictator in the Air:祥子がリコに勧める特製のカクテル。これを飲むと空気の様にその姿が消えてしまう。その効果は一生分。

NAは表在リコでよろしくお願い致します。

イントロ〜

あなたは何らかの犯罪に巻き込まれ掛けた事はありますか?
または巻き込まれた事も?
どうあっても人の世の中である以上、
この犯罪から逃れる法はないのかもしれません。
でも1つだけあるとすればそれは…
今回は、女性特有の被害に悩み続けた
ある女性にまつわる不思議なお話。

メインシナリオ〜

ト書き〈電車〉

リコ「(もう、また…!やめて!お願いだからやめてよぉ…)」

私の名前は表在(ひょうざい)リコ。
私には今大きな悩みがある。
それは毎日通勤で使うこの電車の中で、痴漢に遭っているということ。

同じ人なのかどうかも分からない。
実際こんな目に遭ってしまえば相手を確認する余裕なんてない。

そしてこの電車の中だけじゃなく、
街を歩いている時でも少し人目を離れれば
そこで変な人が寄ってきたり、
お店に居る時でも変な人から声をかけられたり、
夜道なんか歩こうものなら一体どうなるか…

そんな女特有の悩みに明け暮れていた。

ト書き〈カクテルバー〉

そんなある日、私は久しぶりに飲みに行った。
主に人通りがある所にしか行かない。
そのカクテルバーは女性が多く、私も少し安心できたから。

そうして飲んでいると…

祥子「こんばんは、お1人ですか?もしよければご一緒しません?」

と1人の女性が声をかけてきた。
彼女の名前は甲斐祥子さん。
都内で恋愛コンサルタントやメンタルヒーラーの仕事をしていたようで、
どことなく安心でき、その人柄から誠実さが漂ってきた。

そして暫く喋っている内、
私はもう1つの不思議に気づく。

「昔どこかで会った事のある人?」
のような感覚があり、その点で心が開放的になったのか。
私は今の悩みを彼女に打ち明けていた。

祥子「え?痴漢ですか?」

リコ「そうなんです。もうずっとそれで悩み続けてて…」

私は今までに自分に起きた事を全部彼女に打ち明けた。

祥子「それは大変ですね。さぞお困りの事でしょう」

そう言いながら彼女は持っていたバッグを開け、
そこから1本の栄養ドリンクのような物を取り出し
それを私に勧めてこう言ってきた。

祥子「どうぞこちらを♪おそらく今のあなたにとって最適な心の強壮剤になるでしょう」

リコ「…は?」

祥子「フフ、驚かれるのも無理ありませんね。でも信じて下さい。これを飲めばいっときでもあなたの悩みは解消されます。このドリンクはあなたの心を強くする上、幸運をあなたにもたらすようになるでしょう」

祥子「従ってあなたは、そんな痴漢や変質者に遭遇する機会を減らす事ができ、安心できる生活を送れるようになります。ですがこのドリンクの効果は3ヶ月程度で、その後は元のあなたの生活に戻るでしょう」

祥子「ですがその時の経験がありますので、あなたはその経験をバネに自分の未来をより明るく、強く歩めるようになってほしいのです」

いきなり早口で言われたからよく解らなかった。
でも理解はあとから付いてきて、
彼女が私に今言ってる事が何となく解り始めた。

ト書き〈3ヶ月後〉

彼女には更にもう1つ不思議な魅力があったのだ。
それは、他の人に言われたって信じない事でも
彼女に言われると信じさせられその気にさせられる。

それから3ヶ月間。
私は本当に痴漢に遭う事も、変質者に言い寄られる事もなくなっていた。
まぁこれが普通なのだろうが、その時の私にとってはとても大きな事。

私はあの時あのバーで、彼女に勧められるまま、その栄養ドリンクを飲んでいたのだ。

するとどうだろう。
本当に彼女の言う通り、私の生活はまた活気に溢れ、
心の底から安心できるものになっていた。

リコ「信じられない…」

こんな嫌な経験を何度かしてきた女子には、
その事がどれほど大きいものか。
おそらく男性にはわからず、女性の中でも特定の人にしか理解できないだろう。

でもあの時彼女が言った通り、3ヶ月後にまたトラブルがやってきたのだ。

ト書き〈電車や夜道〉

リコ「(ちょっとやめてよぉ…)」

また私は電車の中で痴漢に遭うようになり、
やっとそこから逃れられたかと思えば
仕方なく用事で夜道を歩いていた時…

リコ「きゃあぁあ!!やめてぇぇ!」

実際に強姦魔に襲われかけ、危うく女の命を落とすところだった。

幸い巡回パトロール中の警察官がそれを見つけてくれ、
私は何とか無事に済んだが、こんな幸運が2度起こるとは限らない。

ト書き〈カクテルバー〉

それから私はまた恐怖の虜になってしまい、
1度でも助けてくれたあの人・祥子さんが居たあのバーにまた駆け込んでいた。

祥子さんがその時そこに居るかどうかは一種の賭けだったが、
私が入ると彼女はまた前と同じ席に座って飲んでいた。

「よかった!」と思い、私はまた身の上のトラブルを彼女に伝え、
そしてまた助けて欲しいと無心していた。
彼女にはなんだか、私をそうさせる力があった。

祥子「それはまた…」

リコ「もう嫌です!こんな世の中、私にはもう耐えられません!なんでこんな変な人ばっかり私の周りに寄ってくるの!頼んでもないのに!」

祥子「まぁまぁ、少し落ち着いて…」

私はかなり荒れていた。まあ無理もない。
1度は助かるかと思ったのだが又そんな目に遭って
どう足掻いたって自分に幸運などやってこない…
そんな絶望の淵にあったのだから。

でも祥子さんはそんな私を宥め、なんとか平常を取り戻すよう努めてくれた。
そして…

祥子「ふぅ、仕方がありません。そこまで悩まれているのでしたら、もう1度だけ助けて差し上げましょうか」

リコ「…え?」

祥子「ですが、今度あなたを助けると言うのは、自力で生活できる免疫を失くす恐れがあり、これまでの生活を失う事になるかもしれません。もしそれでも良いのでしたら、今すぐ私があなたの力になって差し上げます。いかがですか?あなたの人生です。あなたがお決め下さい」

かなり冷静にそう言ってきたので私は少し躊躇してしまい、
暫く彼女の表情を見つめたまま黙り込んだ。

でもその時、さっき公園横で襲われた時の恐怖が甦ってきて、
私はもう気が気でなくなり…

リコ「…助けて下さい…!今すぐ助けて下さい!」

とやはり彼女に無心した。

祥子「…わかりました」

彼女は私の覚悟を見届けるように少し私の顔を見た後、
指をパチンと鳴らしてそこのマスターに一杯のカクテルをオーダーし
それを私に勧めてこう言ってきた。

祥子「どうぞ。これは『Dictator in the Air』と言う特製のカクテルで、あなたのような悩みを持たれている方の為に、私がこの店に言って特別にオーダーして作らせたもの」

祥子「これを飲み干せば一切あなたの悩みは解消されて、あなたはもうその事で2度と悩む事はなく、それどころか自由気まま、これまでに味わえなかったような奔放な生活を送る事ができます。つまりこの世のしがらみを全て脱ぎ捨て、あなたはこの世の悩みからまるで解放されたように、自分だけの人生を送る事ができるのです」

彼女が言い終わらない内に私はそのカクテルを手に取り
またその場で一気に飲み干していた。

ト書き〈オチ〉

祥子「これであなたは悩みから解消された。痴漢も変質者も、あなたを見つける事はもう出来ないでしょうね」

(他人のプライベートや部屋で好き勝手してるリコ)

リコ「アハハハ!楽しい楽しいwwえい!やっちゃえ!」

(街中)

男「ぎゃあぁあ!!」

男の友達「お、おい!?急にどうしたんだよ!?」

(部屋)

女「きゃっ!…だ、誰!?…あぐふっ…!」(いきなり何者かに殴られる)

(場面を祥子に戻して)

祥子「…ちょっと一瞬、好き勝手やってるリコの姿が見えちゃったようねw彼女、自分が誰にも見つからないのを良い事に、他人のプライベートや部屋に入って好き勝手してるみたい」

祥子「最初は男にその矛先を向けてたみたいだけど、最近じゃ自由奔放が勢い余って、老若男女問わずそのプライベートに土足で踏み入り、自分の好きなように他人の生活を変えちゃってるみたい」

祥子「今までの恨みつらみでリコに殺されちゃった男の人も数人居たみたいだけど、彼女を裁く事はもう出来ないわ。見えないんだもん。…今回ばかりは、ちょっと失敗しちゃったかなぁ」

祥子「私はリコの理想と欲望から生まれた生霊。彼女の生活を助ける為だけに現れようとしたんだけど、彼女の秘めた欲望が凄まじく、その正体は独裁の心を秘めてたみたい。彼女はこれまでの自分の生活を失くしちゃったけど、今の独裁の生活のほうに新たな楽しみを覚えてるのかも…」

動画はこちら(^^♪
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