記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
見出し画像

私のDisenchanted④|『思い出の魔法』

①はこちら>>私のDisenchanted|原題は「?」を忘れてる

『思い出の魔法』。

物語の後半、アンダレーシアに救いを求めに行ってと、正気を手放しかけるジゼルに託されたモーガン。
ナンシーとエドワードと共にモーガンが導く答えは
「ジゼルに本当の自分を思い出してもらうこと」
これは、実際その場で起きている出来事を解決する解答ではない。モーガンの望みなのだ。
幸い、それをヒントに「この状況を変えるだけの魔法の力が『思い出の魔法』ならば」とナンシーとエドワードが答えを得る。

いずれにせよ、モーガンの望みを叶えることが、この状況を打破する鍵になると動き始める一行だったが、
本当の自分を見失い、悪い継母役に染まるジゼルに呼応するように、ジゼルの思い出の木は枯れてしまっていた。
本当の自分を見失えば、本来持っているはずの魔法さえ使えなくなってしまうのだ。

しかし、その思い出に関わり、その木の花でさえあるモーガンは、木を蘇らせることができた。
それは「モーガンの中に魔法がある」から。
”ジゼルとの思い出”が彼女の中にあり、モーガンの今の姿はまさにジゼルが彼女に注いできた”想い”が実を結んだ姿にあたる。
それは、モーガンがジゼルから、血縁を持つ妹と変わらぬ愛情を——想いを注がれてきたということでもある。

そして、モーガンもちゃんとジゼルとの間に、魔法を育むだけの器を持ち続けている。
モーガンの心の奥底ではちゃんときらめきを、魔法を信じたまま。失ったわけではないその心が、ジゼルの”想い”を受け止めている。
というのも、モンローヴィルの自室を見た時のシーンは見ているこっちがハラハラしたが、「そうだね、ジゼルの思う私ってこれだよね」と呆れながらも喜んでいるように見えたことから、
ジゼルというおとぎ話——魔法、そしてきらめき——そのものが大好きなことは、変わっていないことが窺えるのだ。

さて、モーガンが自分の中にある魔法に気づき、それを鍵にして”本当のジゼル”を取り戻す。
しかし、願いは阻まれ、アンダレーシアが消えかかり、その世界の存在であるジゼル自身も消えかかる。
そこでジゼルは娘であるモーガンに、あなたは「私の娘だから」杖に願いを叶えてもらえるはずだと説く。
ここで母親が我が子にかける最も強い、魔法が「愛情」であることを言葉にしないわけにはいかなくなる。
これはハリー・ポッターを守った強力な魔法が母親の愛情であったことからも、誰もが読み違えることのできないワンシーンだろう。

「ママと一緒にうちに帰りたい」
モーガンはそう願いをかける。

この記事が参加している募集

映画感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?