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ふくろうくん

ふくろうくん
アーノルドローベル(著)、三木卓(訳)
文化出版局
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アーノルドローベルさんの著作の感想文ももう4本目ですな。
がまくんとかえるくんのシリーズと同じサイズや装丁、構成の本なのですが、こちらのふくろうくんは単著です。
がまくんとかえるくんは「友情」を描いた作品たちなのですが、この本は「孤独」になりますでしょうか。「ひとりあそび」だろうかな…あとは圧倒的に「夜」の話です。
キャラクターがひとりしかいないってすごくお話を書きづらいと思うんですけれど、しっかり大騒動になってるんだよなあ…思い出話をするってわけでもないし、自分には書けない作品だな…いやすごい腕前だ…
読んだ本全部感想書かなくていいもんだとは思ってるんですけれど、なんだろうな…なんとなく、同一作家の色んな面を見て記録しておくのは面白いことのように思えてるんですよ。

この作品、あれかなー、一人暮らしで、夜に眠れなくて、でも長い休みだとかで焦って眠る必要も無く、時間を持て余してて、娯楽らしい娯楽の何かをする気も出なくて、ぼーーーっとしながらちょっと一人遊びや想像を手慰みでする、みたいな経験がある人は共感を覚えるお話かな。
ふくろうくんのバックグラウンドや人となりは特に何も描写が無いんですけれど、ちょっと変な人(鳥?)なんですよね。
変て言い方をするとあまり好ましくないと思うんですけれど、想像力たくましすぎて…ひとりだけど賑やかで……挿絵は秩序のある家の中が描写されているんですけれど、いやぁ…もっとこう、家汚いタイプだと思うなあ…とかいらんことを考えたりしちゃいます。
一騒動起きたあとの天井眺めてる挿絵とか個人的にすごい面白かったんですけれど、本人は結構困ってたりするのかなあ…困っているかもなあ…

あの、「ミスタービーン」とかがお好きな人はこのドタバタ感が気にいるかもしれないんですけれど、わたしは残念ながら「ノットフォーミー」枠の作品です。嫌いとかつまらないとかではないんですけれど、楽しみ方が難しい…
これもひょっとしたらがまくんとかえるくんの序盤の時みたいに、私が児童作品の読み方が上手じゃないせいかもと思うんですよ。実際、とんでもな出来事が起こっているときの挿絵とかはすごく面白く感じるし。漫画的な読み方をしたらいいのかな。全体的に出来事がちょっと突飛すぎる節はあるんですけれども。
孤独を描いている作品かと思うので、外の風を人のように扱うのも、夜に自分から涙を流すのも、寝床で何かの存在に怯えるのも、月を友人とするのも、孤独との上手な付き合い方なのかなと考えます。ただ、上記で「困っているかもなあ」と書いたように、ふくろうくんがこの状態や出来事を心から楽しんでいるように見えないお話のほうが多かったんですね。もちろん楽しみばかりが人生ではないでしょうけれど、彼を気にしてくれる人、訪ねてきてくれる人はいるのかな、といったところが気になってしまって。
ここに書かれている部分だけが彼の生活ではないんでしょうが、あまりにも他者の気配がなさすぎて、そこにおかしみよりも悲哀のようなものを感じてしまうんですね。

読書て自分の投影をしながら読んでしまうところがあるんで、わたしは孤独をそんなに好まないてことなのかなあ、て考えたり、人に気にされないてのがそんなに気になることなのかなあ、て思ってしまったり、そういうところも、こう、素に戻ってしまう感じが…なんだろう、なんかイヤ……そこまで考えられる良い作品という言い方も出来そうなんですが、ふくろうくんが恐ろしさを感じない生活を送れるといいなと思います。
あれかな。孤独うんぬんというよりも、「安心出来ない生活」が私は嫌なんだろうな。

まあ、こういう人はこちらが気にするほど困っても怖がってもいなかったりするんですよね…うん、それならそれでいいことだよ。うん。

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