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実家じまい終わらせました!

実家じまい終わらせました!
~大赤字を出した私が専門家とたどり着いた家とお墓のしまい方~
松本明子・祥伝社
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買った時と読んだ時とで「思っていたものと違った」本なんですけれど、似たような立場の人には貴重な情報の集大成かなと思い、感想文書きますね。

表題もなんですけれど、著者名のところで「おや?」と思われる方もいらっしゃるかもですね。そうなんですよ、タレントの松本明子さんが、ご自身のご実家の一連のお話と、その際にどういった情報が必要だったかを一冊にまとめてくださったんですね。
タレント本てことで、エッセイとか専門家の方との対談みたいな形式かな?と思って買ったんですよ。で、そういった内容ではあるのですけれど、ほぼほぼ専門家との対談を元に必要情報を丁寧にまとめたものでした。
似た立場の人にはこの「案外軽くない読み物」な点がかえって便利な気がします。意外ではあったんですけれど、実用書として優秀で、これはこれで大変興味深く拝読しました。
注意点は2022年の発行ですので、5年後、10年後はまた少し実用出来る度合いが変わりそうというところですかね…今はまだ全然大丈夫!旬の本ですよ!

冒頭はお写真と共に、松本さんのご実家のあらましと思い出話、ただ、その思い出があることによってためらいの出てしまった片付けの諸々についてが、結果として後悔と赤字につながってしまったことをわかりやすくまとめてあります。かなり具体的にいかほどの期間でどれぐらいのお金がかかってしまったか、なぜそうまでして維持しようとしてしまったか、など。
これはもうどこのお家も似たような流れじゃないでしょうか。
松本さんのご実家は結果としてある程度の金額で売れたのでまだよかったですけれど、もう廃墟みたいになっちゃってるお家なんてのはお金出ていく一方ですものね。
お困り現役の方や予備軍の皆様は、いいきっかけづくりにもになりそうなので、ぜひ読んでみてはと思う次第です。

我が家は大変幸いにもここまで派手に片付けないといけない諸々はひとまず済んだ次第なんですけれど、もう少しコンパクトなお片付けがいずれ出そうですし、先々の自分のことも考えるとポイントを知っておくだけでちょっと安心も出来ました。

序盤のいわゆる実行記録の部分、いやー………東京と高知の往復を複数人で相当回数なさったようで、これ読んでるだけで
「ひぇ……」
てなりました。そうなんですよね、諸々対応する人が近くにいる人ばかりとは限らないですもんね…交通だけでかなりの時間と費用がかかる…そういった点も織り込んでいかないといけないこの「実家じまい」の恐ろしさ…
先延ばしになっちゃうお家は、そういった交通ハードルもまた「えいやっ」と方をつけるのにためらいが出ちゃう点ですよね。費用だけじゃないんだよなあこういうの…

「親御さんが元気なうちに、こういう話もしておくといいですよ」
というお話も各所で出してくれてるのと、章の区切りごとに反省点の箇条書きも入れてくれているので、自分のチェックシートがわりにもなってこれとても良さそうです。ご自身が
「ああーーもっと早くこれをしておけばーー」
て点も共有してくれるなんて、タレントさんならではといいますか…ご自分のことを表に出すのが上手ですよね。ここらへんなかなか一般の人はハードル高いところもあると思うんですよ。最近のタレント本て質が高いなあ…とちょっと感心もしちゃいました。

で、ご自身のお話だけではなく空き家問題の専門の方とのお話の章や、何にどれだけの費用がかかったかのまとめ(具体的な金額あり!)、空き家問題のバックグラウンド、空き家放置の問題点、行政の対応、相続の税率やパーセンテージ等々…
いやー、知りたかった情報があらかた載ってるんじゃないですかねこれ…もちろん専門書て結構出てると思うんですけれど、専門書てだけで
「難しそう…」「読むのめんどくさい…」
て結構ハードル高いものだと思うんですよ。ここを軽減してくれるところもタレントの名前やお顔がたくさん出てくることの良い点かもと思います。こう、親しみがあるから、話が頭に入りやすいかな、て。

事務的な手続きの部分以外に、御本人の思い出話部分でもそうですけれど、遺品整理や生前整理の専門家(終活の講師さんとありますね)の方とのお話も載ってますし、お気持ち部分のケアの話もばっちりですね。優しい~。
なんとお墓の引っ越し、墓じまいなどの話まで載ってます。わかるーーどこにどんな相談出していいかわからないもんねーーー。

ということで至れり尽くせりの中身でした。全体で考えると少し文字多めで、内容的にも決して「軽い読み物」というわけではないですけれど、そこは情報量と思っておくと適切かもと思います。
かなり細かい点にまで言及してくれてますし、仮にこの本の情報が足りない箇所は検索などの単語のきっかけなども掴めるからそこだけでも便利じゃないですかね?

人生何年になるかわからないではありますが、いつ何が誰にあってもいいように、そしていざというときに慌てて妙な判断をしないように備えておく、というのは誰にでも大事かと思っていて、そのための教科書…参考書かな…そういった一冊になってくれると思います。
ある程度の大人で、目上の親族や多少の財産のようなものがあって、あーなんかしておかなきゃなーと思いつつも何年も何もしてないまま、て人は、ぜひ目を通してなんか少しでもやっておく・考えておくだけでもあとあと楽になるかもと思います。

ということで失礼ながら「意外なほど」面白い一冊でした。
近い発行物ですからね。情報書なので読むなら早めに、ですよ!

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