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ふたりはしんゆう

ふたりはしんゆう がまくんとかえるくん ぜんぶのおはなし
アーノルドローベル(著)・三木卓(訳)
文化出版局
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先日、がまくんとかえるくんシリーズの一冊目、「ふたりはともだち」の感想文を綴ったのですが

シリーズの
・ふたりはいっしょ
・ふたりはいつも
・ふたりはきょうも
が他に出ておりまして、シリーズ4冊全てを一冊にまとめ、大判にした本が今回紹介の「ふたりはしんゆう」となります。
一冊ずつの感想も冗長になっちゃいますので、シリーズの残りのまとめての感想を綴ることにしました。

一旦、本そのものの感想だけ言いますと、総集編の「しんゆう」は、これちょっとデカくて重すぎるな…子供さんと一緒に楽しむとなれば一冊ずつ分けてあるもののほうが手に取りやすいかもしれません。絵の大きさもそんなに極端に違うわけでもないですからね。
あと版の小さい話が分かれている方、表紙の飾り枠の絵がとてもかわいいから…

さてお話ですが、どの話もぼんやりと読んだ覚えがあったので、さすが有名作品…覚えもないうちに血肉になってるな…と感心しました。名作てすごいですよね…「なんか知ってる」もんね…
基本的にはがまくんとかえるくんの日常が引き続き、なんですけれど、あの、子供の頃に味わう色んな気持ち…眠たくて起きたくないとか、ルールを作って守ろうとしてたのが途中でだめになったら全てが嫌になるとか、植物の成長待てないとか、お菓子食べるの我慢出来ないとか、ソリで遊んでてすっ飛びすぎたり、アイス持って移動するの下手だったり、誰かの到着が遅いと極端な事件に会っているのを想像してすごく不安になったり…
そういう、子供が「自分もこうなる!こう思う!」といった出来事のチョイスが抜群で、描画がすごくいきいきとしてますよね。
お手紙だってさ、自分宛てのもの欲しいしさ。ね。大人になると当たり前すぎて「なんか起伏のない話だなあ」なんて前回の感想で思っちゃってたわたしのばかばか。こんなにいきいきとした作品じゃないの。読むのは子供だったんだから子供になって読むものだった!反省!

この作品、そう思うと、「自分」と「他人」を意識するようになったら読むとより良いのかな。相手への夢みたいなものが膨らんじゃうところも含めて、
「どんなに仲が良くてもこんな感じよ」
と、友人を美化しすぎない大事さみたいなものが分かるのかもしれないな。がまくんはマイペース過ぎて案外とカエルくんにわがままなふるまいをしてたりするんですよね。んで、かえるくんもがまくんが拒否することを強引に引っ張ってたりして、友人同士の許容てものがわかるのかもな。
逆に、がまくんもかえるくんも相手にいろいろしてあげるとか、いつも相手のことを考えている率がすごい高いんで、夢は失いすぎないところもいいところですね。そうだよね、好きな相手に色々してあげたいもんな。
三冊目の「ふたりはいつも」でなんか少し絵柄が変わってるんですが、どうも10年ほどの連載(?)だったようで、なるほどなあ、です。
わたしは序盤の主線がちょっとかすれ気味な絵のときが好きだな!

がまくんとかえるくんのシリーズ、大変残念ながら全4冊なのと、作者さんが早逝されてしまったこともあり、もう新しいお話を読むことが叶わないのですよね。残念…。でも、新しいものがあることが良いとも限りませんものね。わたしが今回感じたように、あるものを何年かごしに改めて読んで考えてみる、なんて楽しみはいくらでもありますから。あと子供の頃はあまり意識しなかった「作者流し」とかね…ええ、「ふくろうくん」も借りてきてみたので、これもあとで読むねえ。

ということで、おとなになってから読む児童書もなかなかいいものだな、をわたしに教えてくれた本の紹介でした。
あと、このシリーズて英語の多読用の冊子だとかでも出てるんですよね。難易度低めなので、翻訳された作品と併読することで、易しい英語の文章に触れるきっかけにも出来そうです。あんまり小さい子向けだといわゆる児童語や擬音が多くて英語の「勉強」としてはな…てなっちゃうんですが、この作品の英文量はリーディングのスタートにすごくちょうどいいですよね。
元が英文の作品はそういう使い方も出来て、これも大人になってからの楽しみのようなものかもと思います。

実は読んでないんだよな、という人も、子供にせがまれて暗記するほど読んでるわと言う人も、そういや読んだかなあ、ぐらいの人も、よろしければたまにはぜひぜひ。ちょっとお友達に連絡を取りたくなるシリーズですよ。

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