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本のある生活

本のある生活 本活のすすめ
財津正人・コスモの本
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ブッククロッシング、という名前を初めて知りました。
本にかかわる活動のひとつで、
「読み終えた本にナンバーをつけて、本に旅をさせる・本に触れる人を増やす」
という目的の元にアメリカで開始した運動とのこと。上記のようにナンバーをつけた本を故意にどこかに置き忘れて、それを読んだ人はwebにある共有の場に本の旅の記録をつける、みたいな。クロッシングは交差点の意味のようですね。ロマン~~。

こんなふんわりした書き方なのは、どうもこの活動、2023年1月の現在時点では動きが止まってしまっているようでして…ググっても最新の運営や活動状況がちとわからんのですよね…
あと、本来は上記の通り、一定以上の管理もされているものっぽいんですけれど、落とし物として届けられてしまったりもあるようで…
そのため、出先フリースタイルではなく、図書館形式・貸本形式というか、最近はお店の一角をブッククロッシングゾーンとして活動している、という人もいるようです。
ジャパン、あんまり本を拾って持ってっちゃう、て人がいないんかな…

いきなり何かと言いますと、今回の本の著者の方がこのブッククロッシング・ジャパンの代表をされていたようです。ただ、本の発行が2011年と実に干支ひとまわり前のことでして、状況がいろいろ変わっちゃったんだろうかなあ…
知らなかった活動だったため、こういうものがあるんだな、ということを紹介してみました。


さて、肝心の感想なのですが、上記の通りこちらの本は、干支ひとまわり前…つまり12年前の発行物の内容なので、いまの著者さんに掲載の内容についてお話してもらったら、その後の意識はどこがどう変わっているのか、という点は興味があります。本をとりまく環境てすごく変わったと思うんですよね12年も経っていると。
少し面白い形式の本で、本に関わる人との対談 → 著者さんの履歴や考えの記述 → 別の人との対談……と、対談は5名分、記述の章は五章、と、実質全十章というなかなかの密度とボリュームです。

先に感想の総括を言ってしまうと、表題の「本のある生活」から私が想像した内容とはいささか違うものでした。日常に本があるという喜びや楽しみ等の話が中心かとタイトルからの印象で勝手に思っていたんですが(そしてそれはまったくの間違いってわけでもいないんですが)、どちらかというと出版や取次周りの話が大半で、「本で生活」て感じだったかしら…「本の生活」て感じかしら…
これはこれで興味深く拝読したんですけれど、あくまでも当時の話なわけでして、Amazonとリアル書店についてとか、電子書籍と紙の本についてとか、
「もう自分の中で過ぎてしまった話」
をずっとされている、て状態になってしまいまして…。しかも著者さんはこの本の時点では電子書籍結構否定派ぽくて、便利に使っている身からすると
「うーーーーーーーん………」
てお話が多かったんですよね。
これは別にこの本がどうとかではなく、わたしがこの本を読んだタイミングが遅すぎただけなんですよ。何年も前ならここに書かれている内容に
「ははあ…書く側や売る方はこういう危機を感じるんだな」
「こういったところで困っているんだな」
「こんな思いを日々抱えているんだな」
て思えた点も今よりは多かったかもしれないんですけれど、2023年で、しかも年末年始の電子書籍セールできゃっはーーーーーてなった身からしますと
「電子書籍……楽しいよ……?」
って思ってしまってね…いや紙に思い入れあるのはわかるの。わたしも紙大好きだから。ただ、不便を感じることも実際多いの…!ほんとごめんな!

あとはあれかな…年代みたいなものなのかな…自分が経験して主軸にしてきたものや、思い入れがあったり大好きだったりするものが、どうしても一番良いものに感じてしまうのかもしれないな……
逐一挙げはしませんけれど、「そんなことないんじゃないかなあ」「あれ、先の話と矛盾しているなあ」「それは…個人の好みのお話だから全体の話にしないほうがいいと思うなあ…」などなど、つまりですね、しっかり頭からお尻まで読んだんですけれどいわゆる
「ノットフォーミー」
でした。ごめんなあ…面白い部分ももちろんあったわよ。あったんだけど、どうにも「上から来られるような感じ」がいまひとつダメでな…「はじめに」の内容なんかはすごく同意したよ。

と、なんかちょっと尻すぼみになってしまったのは申し訳ないんですけれど、2,000文字ほどもこうして書いているのでご容赦いただきたい…本屋さん大好きなので、リアル本屋さんにはずっとあってほしいし、繁盛だってしてほしい。紙の本、引き続き私もいっぱい買うと思うからさ!

あと、ちょうどこの本を読んだタイミングでほぼ日でこんな対談を読みまして

こんなお若い、しかもアイドルされてた方が本屋さんを始められたのか!という面白さと、読書や本をオススメすることの難しさのようなものを、対談の中で興味深く語られてましたね。

あのー、似たような気持ちを元にされたお話だと思うんですよ、上記の対談も今回の本も。なんだけど、好みの押し付けという部分や表現に関しては、大人はことあるごとに意識の更新をしていかないといけないんだな、てのは、結構強く感じた次第です。
私の感想の書き方も完全に自分の好みなので傲慢な点はあるとは思うのですけれど、これはもう感想だからね…感想てのは傲慢なものだと思うんだよ。


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