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神保町一歩前⑦「御書印プロジェクト」

はじめに

今回は御書印プロジェクト事務局の一員である小学館パブリッシング・サービスの小川宗也さんに取材いたしました。神保町と本や書店の繋がりにも通じる事があると思います。👆のnoteも是非ご一読くださいませ。@goshoinclub でTwitterアカウントも運営してらっしゃるのでそちらも要チェックです!!

概要

Q:御書印プロジェクトの概要を教えてください。

A:「御書印」は、簡単にいえば神社やお寺の「御朱印」の書店版です。参加店は2021年3月現在で45都道府県264店です。参加店で「御書印ください」と言うと、お店をイメージしたオリジナル印などの印と、お店で選んだキャッチフレーズや本の一節と来店日を書き込んでもらえます。御書印代は200円程度かかりますが、「御書印帖」は、最初に訪れた参加店で、御書印代を払えば無料でもらえます。御書印が人と書店を結ぶしるしになればと思っています。

古書店との繋がり

Q:本を媒体に地域や地方を活性化出来ると思うのですが、新刊書店様以外にも古書店の方々を巻き込んだ取り組みというのはお考えになさってらっしゃるしょうか。

A:古書店からもこの取組に参加したいという問い合わせをいただいており、多少でも新本の扱いがあるお店には参加していただいています。しかしこのプロジェクトは、新本を扱っている書店の持続的なサポートの1つになればとスタートし、事務局である小学館と小学館PSが印や御書印帖の作成を無償で行っていることから、古書専門店にいまの枠組みのなかに入っていただくのは難しいです。しかし、書籍をともに扱う仲間としてなんらかの形で古書店、図書館とも連動できたらうれしく思います。

オススメの一冊

Q:大学生(特に学部1年生、2年生の教養課程を想定)にオススメの一冊を教えてください。

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A:「駄目なことの一切を 時代のせいにはするな わずかに光る尊厳の放棄 自分の感受性くらい 自分で守れ ばかものよ」「世界に別れを告げる日に ひとは一生をふりかえって じぶんが本当に生きた日が あまりにすくなかったことに驚くだろう」「お母さんだけとはかぎらない 人間は誰でも心の底に しいんと静かな湖を持つべきなのだ」「落ちこぼれ 結果でなく  落ちこぼれ 華々しい意志であれ」「もはや できあいの学問には倚りかかりたくない もはや いかなる権威にも倚りかかりたくない」


これらの言葉で、自分の心が震えるのを感じる人には手に取って欲しい詩集です。茨木のり子『永遠の詩(2) 』茨木のり子 小学館刊 1320円。

本との出会いのエピソード

Q:御書印プロジェクトの中で「偶然出会う」というキーワードを目にしたのですが、ご自身が偶然出会った本の中で思い出のエピソードを教えてください。

A:本ではないのですが、書店に行くと店頭に出版社のPR誌がTake Freeで置いてあることがあります。ある日、「本の旅人」という角川書店のPR誌をふと手にしました。そのなかに、家の生ゴミをコンポストで堆肥化し、再びそれをプランターの土として野菜を育てるという記事が出ていて「これ、やろう!」と思い立ち、それから8年間ほぼ毎日、コンポストの中をかき混ぜ、そこで出来た堆肥をプランターに入れています。いまや家には20基のプランターが並び、野菜自給率は10%を超えているかも。それに飽き足らず、渋谷でのアーバンファーマー的活動にも参加するようになりました。この偶然の出会いは、私の人生を変えました。

本を読む意義

Q:何故、多くの大人の方々は学生に「本を読め」とおっしゃるのか、出版社の方の視点からの回答を伺いたいです。

A:私は「本を読む」こととともに「本を買う」という行為も大事だと思います。アメリカの書店チェーン、バーンズ&ノーブル創業者であるレオナルド・リッジオは「人が本を買うのは『自分が何者なのか』を表明するためなのだ」と述べていますが、興味が引かれた本を購入した結果、手元に揃った本たちは、自分の投影だと思います。その本たちを折りにふれ眺め、手に取ることは、内省を深めてくれます。自分はどこからきて、どこへ行くのかと。自分の本棚を人に見られるのは裸になるよりも恥ずかしいという人もいますが、その気持ちはよく分かります。

おわりに

私は「本を読む」こととともに「本を買う」という行為も大事だと思います。

私自身も本棚には多くの積まれた本があります。「そんな積んで何になるの?」とよく友人に言われるのですが、身近に本が多くあることで、その本を買った時の思い出論文作成のアイデアが浮かんできたりと身近にある事自体にもまた、価値があると思います。本との偶然の出会いが沢山ある神保町にも是非足を運んでくださいね。次回もお楽しみ!!


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