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《個人店》店の立ち位置が変わったよねってはなし。

SNSで誰もが発信できるようになった。
発信が得意な作り手はフォロワーがどんどん増えて人気作家に。
デジタルが得意な作り手は通販サイトも作り
接客が得意な作り手は自ら販売もする。

あれ? 店は必要なくない?

作家もののうつわを中心とした雑貨屋アンジュールの店主さやかです。
5~6年くらい前から感じていたことが、ここ数年顕著に。

流れが変わった

店は、作り手が作ったものを「卸し価格」で仕入れて
発信・集客・接客をして販売する。それが店の役割

だったのに。

「自分でやるわ」ってひとが増えた。

作り手にしてみれば卸し価格にする必要がないから粗利が大きい。
お客さんの反応も直接確認できる。
お客さんはあこがれの作家から買えるのがうれしいに決まっている。

店の存在理由って・・・

時代は確実に変わっている。
しかも急ピッチで。

今までと同じやり方では店は続かないって思った。

すでに取引している作り手がどんどん人気作家になった。
これはとってもうれしいこと。確実に売れるのはありがたい。
でーもー
それまで年2~3回あった納品が 年1回あるかどうか になってしまった。。

無理もない。
人気作家はクラフトフェアも個展も大盛況。個展などは日が決まっているから、当然それに合わせて準備する。数が膨大。SNSで「500点用意しました」なんて投稿を見ると目が点になる。

うちみたいな個人店では、1回の注文は30点~多くて80点くらい。桁違い。
店はうちだけではないし、取扱い店も増えているから順番待ち
量産品とは違う。ひとつひとつ手仕事の作品。数時間で完成するものじゃないから待つしかない。

しょうがない。

作り手にとっての《店の存在価値》

しょうがないけど、これでは店が回らない。どうしよう。
新規取引先を増やそう。

新しい作り手を探すとき、自分なりの条件があった。
・アンジュールらしい品。←長くなるから詳細は割愛
・人柄が良さそう ←これでNGなことはあんまりないけど

ここに条件を追加した。
・すでに発信力のあるひとはパス
・すでに通販で十分に実績のあるひとはパス

要するに《 店を必要としている作り手》を探すことにした。

人気作家さんたちには店が不要とは思わないにしても
うちがなくてもやっていけるなって思うから。

ここまで書いて気付いた。

そうかわたしは わたしを必要とされたいんだな って。
歳のせい?

「販売してくれるならどこでも」ではなく、できれば「アンジュールで是非!」って思ってほしい。ハードル高いけど。

商品は並べておけば簡単に売れるものじゃない。「卸し価格」は売ることの難しさ=店の価値をわかっての価格だと思っている。
そこを理解してくださるひととお取引したい。

「作ることが大好き。ずっと作っていたいから他は任せたい」
「SNSが苦手。接客が苦手。販売はお願いします」
そんな作り手さんのために、がんばりたい。いつか「アンジュールと取引してよかった」って思っていただきたい。

取引先の探し方の変化

新規取引先を見つけるのは難しい。
片っ端から声を掛ければあるけれど、それはNG。
取り扱う商品、何を並べるかで店の個性が決まる。

《どこと取引するか》が店にとって何より重要

たとえばうつわの場合、ちょっと前まで、ギャラリーでもない限り「作家名」を記載する店は少なかった。それが・・

雑誌で「うつわ作家」が紹介されるようになり
ネットショップで「作家名」で検索されるようになり
SNSで作家自身が発信するようになり

今やブランド名と同列に「作家名」が記載されるようになった。
これってすごいことだと思う。何がすごいって・・

店の取引先がオープンになったこと。

15年くらい前だったか・・ネットショップを始めて間もない頃の話し。
お客さんから「作家名がわかってうれしい」ってメールをいただいた。
「他の店でうつわを買ったとき作家名を伺ったら拒絶されました。『どうしてですか?』『何か不備でもあったんですか?』って不審がられて教えてもらえませんでした」と。

店にとって取引先は言ってみれば企業秘密だった。
どこから仕入れるかで店の個性も信用も決まる。コンセプトに合う取引先を決めるまで、どの店も時間を掛けて探している。

だから、安易に取引先を聞くのはタブーだった。

と・こ・ろ・が
今やチョット調べれば作家名も窯元もわかる
そして作家にも窯元にもSNSで直接連絡ができてしまうヨノナカ

すごーい。

ある意味ありがたい。昔は陶器市や窯元に出向いて探すしかなかったのが、ネットで探せちゃうんだから・・

でもチョット待って。それはつまり、お客さんもネットで探せちゃうってことだよね。通販サイトがあれば直接買えちゃうってことだよね。

あれ? 店は必要なくない?

はい。冒頭に戻りました。。お疲れさまです。
まだ続きます。

昔に比べて作り手を探しやすくなった。
逆にいえば、みんな同じことを考えているってこと。

ネットショップも増えて、人気作家にはあちこちから声が掛かっている。
取引したくても断られることが多くなったと思う。

取引先探しは簡単になったようで、やっぱり難しい。
難しいだけに、見つけたときのうれしさったら。
この仕事、やめられません。

えーっとなんの話しだっけ?
そうそう店の立ち位置。

お客さんにとっての《店の存在価値》

ここでいう《個人店》のこと。個人事業主か法人か従業員は・・とか細かいことは抜きに、チェーン店ではない独立した店。←大雑把

■存在を知るところから

スーパー、コンビニ、ドラッグストア、ホームセンターにショッピングモール、大型専門店・・。日々の買い物をそれで済ませているひとたちは、そもそも個人店があることすら知らないのでは・・って思う。

実際「近くにこんな店があるなんて全然知らなかった」ってよく言われる。

ネットが充実したことで個人店を知るチャンスが増えた
「静岡 雑貨屋」「掛川 マグカップ」「うつわ 作家もの」・・
検索して見つけてくださるのは本当にありがたい。

SNSのおかげで敷居も低くなった。

どんな商品を扱っているのか、ひとりで入りやすい店なのか、定休日は・・など事前に調べることができる。なんならレビューで店の評判も確認できる。(どこまで参考にするかは別として)。

広告宣伝費をあまり掛けられない個人店にとって、無料で宣伝させてくれるネットは本当にありがたい。

■趣味であり嗜好品であり楽しみであり

SNSとスマホの普及。そこに来てコロナ。家に居る時間が増え、ネットを利用することも増えた。そしてどうなったか。

「今を大事にしよう」「好きなことをしよう」って気持ちが強くなったひと、多いんじゃない? 今の生活、家族のこと、仕事のこと、将来のこと・・って考えたのは、わたしだけじゃないと思う。

「好きなものにはお金をかける」
「ホンモノにこだわりたい」

はい、個人店の出番です。
他にはない、その店だけの商品、その店だけのこだわりがある店。
「好き」がギュッとつまった店。

個人店を知らなかったひとたちが個人店に目を向けはじめた。
こんなスタイルがあったのかって知ったひとは少なくないと思う。

景気が低迷している時期にもかかわらず、独立して店をはじめたひと、ネットショップをはじめたひとが多かったのは「好きなこと、やりたいことをやる」って意識の現われだと思う。

これはとってもいい流れだと思う。

いや、いい流れになるはずだったと思う。

ところが。

実際は「この先どうしよう」って不安にかられている個人店が多い現実。
これは努力が足りないとかじゃない

断言しちゃう。政治のせい。
個人のチカラではどうにもならない、不景気のせい

「今を大事にしよう」って思ったひとたちは、自分のことだけを見ていては自分の生活を守れないことに気付いてほしい。

小さな個人店のチカラは小さいかもしれないけれど、それぞれが声を上げれば大きなチカラになると思うんだよね。

なんだか深刻な話しになっちゃったけど
個人店経営はホント楽しい。やってよかったって心から思っている。
細々とでいいから、あと10年続けたい。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

(作るひとのことを「作り手」っていいつつ「うつわ作家」の方が語呂がいいなってときは「作家」っていってみたりして。深い意味はありません。)

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「作ること」は得意だけど「売ること」が苦手なひと

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