【小説】弥勒奇譚 第三十話(完)
弥勒は黙って不空の話を聞いていたが大きく息を吸って口を開いた。
「もったいない話でお礼の言いようもありません。
自信はありませんが師匠の仰せの通りにいたします。いくらかでもお役に立つよう仕事をさせてもらいます」
「では不動殿に話をしなさい。まだお願いしていないのだろう。私からもお願いするから」弥勒は全身から力が抜けていくのを感じた。
話を聞いた不動は驚いた。
「わしとしては願ってもない話じゃが弥勒殿は本当にそれで良いのか。このような山里では存分に腕を揮うことは出来ないのではな