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第29回 災害用トイレへの要望で最も多いのは「高齢者・障害者の使いやすさ」

みなさん、こんにちは。
毎週月曜日に更新するトイレの連載です。
といっても、久しぶりの投稿です。。。

震災時、真っ暗で足元すら見えませんでした。

先日、東日本大震災のとき仙台で研修をうけていたという行政職員の方からこんな話を聞きました。

平常時は「いざとなれば屋外でトイレをするということも選択肢として有り!」と思うかもしれませんが、災害時はそうではありませんでした。
発災直後は情報不足による不安と恐怖で上手く動けません。さらに、まち中停電で真っ暗です。この日は、曇りで月あかりもなく、足元すら見えなかったそうです。

こんな状態では、屋外のその辺で排泄するなんてありえないですね。
ということで、トイレの備えを学んでいきましょう!

災害用トイレへの要望で、最も多いこと

さて、今回のテーマは「災害用トイレへの要望で最も多いのは高齢者・障害者の使いやすさ」です。

東日本大震災の被災自治体を対象に実施した調査では、災害用トイレの要望として最も多く挙げられたのは「高齢者、障害者の使用が容易」「設置が容易」で、次に多いのは「輸送・移動が容易」でした。

出典:東日本大震災 3.11のトイレ(NPO法人日本トイレ研究所)

従来の仮設トイレの課題

避難所に届けられる災害用トイレといって、すぐに思い浮かぶのは仮設トイレです。そうです、建設現場やマラソン大会などで使われる仮設トイレです。

これらの仮設トイレのうち従来タイプのものは、建設の邪魔にならないようにすること、トラックに効率的に積載して搬送できるようにすることを優先しているため、コンパクトなつくりになっています。
また、和便器タイプがかなりの割合を占めています。

このようなことから、避難所の高齢者にとっては使いづらいものとなり、障害者にとっては使用することが困難になります。高齢者が無理に使用してトイレから転げ落ちてしまい、骨折するということもありました。

トイレに安全と防犯対策は必須

先ほどのグラフの4番目に多い「女性、子どもの使用が容易」も大切な視点です。夜間は真っ暗になるので、安全面や防犯面としてもトイレ内やトイレまでのアプローチに照明が必要です。洋便器でないと使用できないという子どももいます。

災害時に迅速かつ容易に仮設トイレを配備する体制を整えることと同時に、被災者が安心して使える環境を整えることも欠かせません。
これらを両立するトイレ対策の検討が必要です。

快適トイレの登場

最近は建設現場の職場環境改善を主目的としてワンランク上の仮設トイレが登場しました。とても有益な取り組みだと思います。
国土交通省はこの仮設トイレを「快適トイレ」として普及に取り組んでいます。

建設現場はもちろんのこと、マラソン大会や花火大会、お祭り、野外フェスなどなど、全国各地でたくさんのイベントが開催されていると思うのですが、これらに必要な仮設トイレを「快適トイレ」に変えることで、災害時に配備されるトイレも「快適トイレ」に変わっていきます。

平常時のこういった積み重ねが、災害時のトイレ改善につながりますし、関連死を防ぐことになります。


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