マンホールトイレを知っていますか?

前回に引き続き、災害時のトイレについてです。

水洗トイレで用を足したうんちやおしっこは、建物内の排水管を通って下水道に流れていきます。その下水道は道路の下に張り巡らされていて、最終的には下水処理場につながっています。うんちやおしっこはそこで処理され、海や川に放流します。これは、小学生の頃、社会の授業で習いましたよね。

今の時代、日々の生活を便利に過ごすためにインターネットにつながることが欠かせませんが、それ以上に下水道につながることは重要です。

下水道は、うんちやおしっこだけでなく、台所やお風呂、洗濯等で出てくる汚れた水を生活空間から運び出してくれます。さらに、雨水が街なかにあふれないようにもしてくれます。

もし、下水道がなかったら、街中がうんちやおしっこだらけになり、ネズミやハエなどが媒介して、感染症が蔓延することになります。

中世ヨーロッパはうんちやおしっこを窓から捨てていたことで感染症に苦しめられました。

もちろん、日本だってコレラや赤痢が蔓延した時代がありましたよね。特にコレラに関しては、江戸時代と明治時代に大流行して、多くの人の命を奪いました。

災害時は停電や断水などで、多くの水洗トイレは使えなくなってしまいますが、下水道には災害用の特別なトイレがあります。その名は「マンホールトイレ」。

マンホールトイレというとどのようなトイレをイメージするでしょうか?

簡単に言うと、災害時にマンホールの蓋を開けて、その上に組み立て式のトイレ室と便器を取り付けて完成!というものです。

(出典:「災害用マンホールトイレ」の設置工事を進めています・長岡京市

1995年の阪神淡路大震災のとき、他の地域から現場に入った行政職員の中には被災者のトイレを借りるのは申し訳ないと、オムツをつけて作業を行っていた方もいたそうです。そんな中、被災者の方々が止むを得ずマンホールの蓋を開けて用を足していた、ということにヒントを得て、支援に入っていた行政職員とマンホールの蓋を製造している企業が力をあわせて開発されたのがマンホールトイレなのです。

(出典:漫画「災害時のトイレ、どうする?」国土交通省 水管理・国土保全局 下水道部

通常、屋外に設置される仮設トイレは、便器の下部に便槽(うんちやおしっこを溜めるところ)があるので、トイレを使うときに大きな段差をあがる必要があります。そのため、お年寄りや足腰の悪い方には困難です。

(写真:日本トイレ研究所

ですが、マンホールトイレは、段差がないところが利点です。

さらに、マンホールの下の管路は下水道につながっているので、基本的には汲み取る必要がありません。その場に備えてある設備ですので、すぐに活用できる可能性も高いのです。

もちろん、液状化や地盤沈下で使えなくなることも考慮する必要があります。

(出典:「マンホールトイレ整備・運用のためのガイドライン」国土交通省 水管理・国土保全局 下水道部

マンホールトイレは、国土交通省の水管理・国土保全局下水道部が所管していて、技術的なことや整備に関することは「マンホールトイレ整備・運用のためのガイドライン」にまとめられています。

マンホールトイレを整備する人を対象にしたガイドラインとなっていますが、快適なトイレ環境をつくるためのチェックリストなど、一般の人にも分かりやすいようにイラストでも紹介されていますので、関心のある方はぜひご覧ください

ここで注意が必要です。

マンホールトイレの話をすると、家の周りにマンホールがたくさんあるから、それを開けて使えばいいんだ!という声をよく聞きますが、それは基本的にダメです。

通常のマンホールは、下水道の点検などをするためのもので、容易に開けられないように作られています。それに、勝手にマンホールをあけて穴に落ちたら危ないからです。大きな下水道管だと、直径が8mを超えるものもあります。落ちてしまったら死んでしまいますよね……。

では、どのマンホールならいいの?ということになりますよね。

実は、マンホールトイレの多くは、下の写真のように専用のマンホールがあります。

(写真:日本トイレ研究所

ですから、みなさんの避難所にマンホールトイレがあるかどうか、あるとしたらどこにあるのか、また、便器やトイレ室はどこにしまってあるのかを確認することが必要です。土で埋もれてしまって探すのに大変だった、なんてこともあるんです(汗)

熊本地震のときは熊本市の避難所でマンホールトイレが活躍しました。

また、東日本大震災のときは、宮城県の東松島市で活躍しました。その教訓を踏まえ、東松島市ではマンホールトイレの改善に積極的に取り組んでいます。たとえば、トイレ室パネルは男女別々の色、鍵はもちろんのことトイレ室の中には棚やフック、女性用には防犯ブザーとサニタリーボックスもあります。トイレ内外に照明もあります。

(写真:宮城県東松島市建設部下水道課

さらに、東松島市がすごいのは、このマンホールトイレは日常のお祭りなどで、実際のトイレとして使っていることです。最近では、肉フェスやかき祭りなど4つのお祭りで使用し、マンホールトイレ利用者に感想を聞いたところ約8割が「思ったより、良かった」と回答しています。

お祭りに来た人に使ってもらうことで、マンホールトイレの存在だけでなく、使い方を共有することができます。また、使用や維持管理についての課題も明確になります。そうすることで、改善がすすむのです。

事前に1度も使ったことがないということは、もしかしたら、とても使いにくいトイレを備えているかもしれませんからね。災害時に出して初めて気づくのでは、遅いです。

地域のお祭り、お花見、マラソン大会、小中学校の運動会など、ニーズはたくさんあると思います。

いざというとき、ではなく、日頃からマンホールトイレを使う!

そんなムーブメントが起こしたいですね。

誰もが使える仕組みこそ、本当に役立つ防災だと思います。


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