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パーソンズ美術大学留学記シーズン4 Week10 #293

学校からの帰り道、キャンパス近くにあるUnion Square Parkの桜が満開になっているのを見つけ、春の訪れを感じました。そうかと思えば氷点下になる朝もあって、体温調節が難しい時期です。

Thesis

現在取り組んでいる卒業制作は、ExhibitionとPresentationとWritingの3種類のアウトプットが求められています。今回の授業では中間発表を終えて初めての授業ということで、あらためてその妥当性について1時間以上にわたる議論がなされました。

学生からすれば「どうして一つのプロジェクトなのに複数のアウトプットが必要なのか?」というのが主な疑問です。一方で、先生からすれば「一つのプロジェクトを複数の角度から振り返ることが学術的に意味がある」といった説明をしていました。こうした先生と学生の意見交換もアメリカらしい気もします。

このように学生が意見を述べる機会が尊重される一方で、その都度議論をしなければならないとも言えます。といっても「アメリカでは議論が好まれる」というわけでもないようです。「長時間の議論は疲れる」とか「変更できないことならば議論する必要はない」などという意見や感想ももちろんありました。

「世界は誰かの仕事でできている」

そんな中、最終発表の準備を主導してくれている同級生が「準備が大変すぎる。自分の負担が大きすぎる」と涙を流す場面がありました。その人はTransdisciplinary Designのリーダー的存在で、様々な場面でボランティアを引き受けてくれています。しかし、今は自身の卒業制作も佳境に入っているため、手一杯になっていたようです。学生も先生もその人に頼りすぎていました。

私もシェアハウスに住んでいる中で、「毎回自分がここを掃除している」などと似たような感覚になる時があります。「気づいた人がする」という状態は、いつも同じ人がすることになるだけ。大抵は誰かがその環境を維持する雑務を引き受けてくれているものです。

優しくて仕事ができる人ほど精神的に追い詰められて燃え尽きてしまうもの。だから、他人の優しさには気づいて感謝をする。そして、他人を助けるのは自分のできる範囲で。そんな心構えで生きていかなければとあらためて思う出来事でした。


Seminar

先週から引き続き卒業制作の進捗報告とフィードバックをする時間でした。私は来週の発表なので、ここでは他の人の発表を聞いて自分なりに気づいたことを箇条書きでメモしておきます。

・届けるべきものを届けるべき人に届ける
・インタビューなどの生データを作品にする時の編集力
・ShowとTell(表現と思想)のバランス
・Catalyst(媒介者)としてTransdisciplinarityを発揮する
・長期的なメリットはどのように検証すればいいのか?
・SF作品がデザイナーやユーザーの想像力を豊かにする


謝辞

先日、上平崇仁先生からサポートをいただきました。以下の記事で先生のご著書『コ・デザイン』を参照させていただいたことへのお礼とのことでした。この場を借りてあらためてお礼申し上げます。

先週に引き続き、noteを通じてご縁が繋がる日々で嬉しく思っています。noteを続けてきて良かったと感じる瞬間が増えてきている気がします。

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