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音楽に関する著作権について -Part1-

Introduction(導入)

2022年10月24日、著作権使用料についてのニュースが流れました。

 原告は、音楽教室を営む全国の約240事業者。生徒の演奏に関して教室が楽曲を使用していると言えるかが争点だった。
 第1小法廷は判決で「生徒の演奏は講師の指導によって技術を習得し向上を図るのが目的で、楽曲の演奏はその手段にすぎない」と指摘。「講師はサポートしているにすぎず、生徒は強制ではなく自主的に演奏するものだ」として、教室が楽曲を使用しているとは言えないと結論付けた
 一審東京地裁は「生徒は講師の指導に従って演奏しており、教室の管理が及んでいる」と指摘し、生徒の演奏についても徴収を認めたが、二審は「生徒は技術向上のため自主的に演奏している」として認めなかった。双方が上告し、講師の演奏に関する教室側の上告は7月に退けられていた。


生徒演奏、著作権料認めず 音楽教室の楽曲使用巡り―JASRAC一部敗訴確定・最高裁
:時事ドットコム

ニュースの内容を既存の講師の方に聞いて初めて知ったのですが、近年になり大手の音楽教室がJASRACに請求されているために生徒の方から著作権料を支払って頂いてるのだそうです。
(実際に生徒から別途徴収しているのか、レッスン代に含まれているかは伺いませんでしたが、大手音楽教室ではJASRACに著作権使用料をお支払いをしていたそうです。)
判決の結果、生徒が支払い対象にはならないと明文化されたものの、講師の模範演奏は支払いをしなくてはならない、という結果にもなった訳です。

音楽教室で楽曲を演奏する際、著作権使用料を支払う必要があるか。そうした論点が5年前から争われてきた訴訟で、最高裁が「生徒が演奏する分は支払い対象にならない」との判決を出した。
講師の演奏分については支払いが必要との判断が先に出ていた。営利事業として教室を営む側の演奏だけに課金し、習う側の生徒は対象外とする結論は、バランスをとった妥当な司法判断といえるだろう。

[社説]著作権の議論深める契機に
:日本経済新聞

丁度、ギター講師の面接に応募して採用された矢先の出来事のため、改めて、著作権の自分自身の知識について、かなりうろ覚えだったり、記憶違いもあると思われるので、今後のためにこちらの「note」にまとめてみました。

キーワード

  • 著作権

  • 著作権法

  • 著作権マーク(コピーライトマーク)

  • 著作権等管理事業法

著作権に関する基礎

著作権とは

著作権(ちょさくけん、英語: copyright、コピーライト)は、作品を創作した者が有する権利である。また、作品がどう使われるか決めることができる権利である。
作者の思想や感情が表現された文芸・学術・美術・音楽などを著作物といい、創作した者を著作者という。知的財産権の一種。

「著作権」:ウィキペディア日本語版

著作権法とは

最初の著作権法はヴェネツィアにおいて1545年に制定されている。
しかし、現代の著作権法に一番影響を与えた最初の著作権法は、1710年、英国において制定されたアン法である。著者に新たな権利を一定期間与え、その期間が経過後、その権利がなくなるというものであった。
各国において同様の法律が成立し、国際的には1887年のベルヌ条約が今日でも有効な著作権保護の範囲を定めた条約となっている。
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技術の発達に伴い、著作権の概念は、初期に定義された、書籍や地図の印刷物を複写する権利から、録音、映画、写真、ソフトウェア、建築作品の様に近代産業に対し重大な影響を与えるものをカバーするようになった。
近年では、デジタル化された作品のネットワークでの共有 (P2P) 等、当初の法律制定当時では予想の付かない概念が出てきている。

なお、copyright の語が最初に使用されたのは、オックスフォード英語辞典では1734年となっているが、それ以前に使用されていたかは不明である。

「著作権」:ウィキペディア日本語版

著作権マーク(コピーライトマーク)

著作権マーク(ちょさくけんマーク)またはコピーライトマーク(copyright mark)とは、大文字のCを丸で囲んだ記号(©)であり、音声録音以外の作品の著作権表示に使用される記号である。
この記号の使用は、アメリカ合衆国の著作権法や、国際的には万国著作権条約に規定されている。
ただし、ベルヌ条約の下では登録・納入・著作権表示等の形式的手続がなくても著作物が創作された時に著作権が発生するという無方式主義が採用されたため、ほとんどの国で著作権マークによる明示をしなくても著作権を得ることができる。

「著作権」:ウィキペディア日本語版

著作権法の歴史

著作権という概念

著作権という概念は、印刷技術の出現とその後の一般大衆の識字率の上昇に伴い、考え出されたものである。
著作権を表す英単語 copyright が示す様に、その起源は印刷業者による複製 (copy) の権利 (right) であり、18世紀初頭の英国において、印刷技術の独占権として発生した。英国において、国王は無秩序に本が複写されることを問題視しており、国王の大権 (royal prerogative) により1662年のライセンスに関する法律を成立させた。
この法律では、ライセンスを受ける本の登録方法を確立した。そのためには、書籍出版業組合にその複写を預ける必要があった。本のライセンスは永久に永続し、長期にわたる利益を印刷業者に与えた。

「著作権の歴史」:ウィキペディア日本語版

著作権法のはじまり

フランスではフランス革命時の1791年に、大陸法系の国の中では初めて著作権法が制定された。
その後、18世紀から19世紀にかけて各国で著作権を保護する法律が成立した。19世紀に入ると著作権の対象は印刷物以外(音楽、写真など)に拡大されていく。
ところが19世紀半ばになっても著作権の保護の法律を持たない国があり、イギリスやフランスなどの作家の書いた作品が複製による被害を受けていた。
そのため、1886年採択・1887年発効のベルヌ条約で国際的な著作権の取り決めができ、1952年採択・発効の万国著作権条約によってベルヌ条約未締結国との橋渡しがなされた。
さらには世界貿易機関 (WTO) 主管のTRIPS協定が1994年に採択・1995年発効し、国際的な著作権侵害の際にはWTOに提訴できる仕組みが導入された。
また、国際条約と国内法の中間的な位置づけとして、欧州連合(EU)の各種指令がある。
EU加盟国は指令を遵守して国内法を整備する義務を負うことから、EU加盟国間の著作権法のばらつきを平準化する役割を担っている。

しかし著作権法および著作権についての考え方は、著作者・著作権者・利用者など利害関係者のさまざまな要請を受け、専門家だけでなく広く世論の間でも議論が起きたり、立法の場で話し合われたり、行政の場で検討されたり、司法の場で争われたりするなど絶えず変更を受け続けている

「著作権」:ウィキペディア日本語版

近年の著作権について

21世紀に入り、テクノロジーの著しい進歩および権利ビジネスの伸張など
経済社会の変化を受けた産業保護の観点からの要請
と、
著作物の自由な利用の要請(時には自由な言論の存続の希望を含む)
との衝突が顕著な争点のひとつになっている。
これを受け、デジタル著作物の保護規定を強化したWIPO著作権条約が1996年に採択され、2002年に発効している。

新しいテクノロジーに関連する個別の判例や法制には、1984年に判決が出た米国のベータマックス事件(ソニー勝訴)、1992年に生まれた日本の私的録音録画補償金制度、1997年に創設されたインタラクティブ送信に係る公衆送信権・送信可能化権(日本)、1999年に起こされたソニー・ボノ法への違憲訴訟(米国、2003年に合憲判決)、2001年のナップスター敗訴(米国)などがある。

「著作権」:ウィキペディア日本語版

日本の著作権法の歴史

著作権法(ちょさくけんほう、昭和45年5月6日法律第48号)は、知的財産権の一つである著作権の範囲と内容について定める日本の法律である。
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日本では、近代以前においては版木の所有者である版元が出版物に関する権利者と考えられ、著作権に相当する概念が存在しなかったとされている。
明治初期に福沢諭吉らの紹介と政府への働きかけにより、「版権」として著作権の一部が保護を受けることになった。
19世紀末に日本がベルヌ条約への加盟をするにあたり、国内法の整備の一環として初めて著作権法が制定された。
この著作権法は「旧著作権法」とも呼ばれるもので、1970年に旧法を全部改正して制定された新著作権法とは通常区別される。

1886年 - ベルヌ条約締結
1887年 - 版権條令制定
1893年 - 版権法制定
1899年 - 日本がベルヌ条約に加盟
1899年 - 旧著作権法制定(版権法等関連旧法は廃止)
1931年 - プラーゲが音楽著作権の使用料を要求(プラーゲ旋風)
1939年 - 仲介業務法施行
1951年 - サンフランシスコ平和条約第15条C項により戦時加算
1970年 - 新著作権法制定
1985年 - 昭和60年6月14日法律第62号により著作権法(昭和45年法律第48号)の一部が改正され、「プログラムの著作物」が著作権法で明示的に保護対象になった1986年(昭和61年)1月1日から施行された
1999年 - 平成11年6月23日法律第77号により著作権法(昭和45年法律第48号)の一部が改正され、私的使用のための複製の場合は技術的保護手段を回避するような複製ができなくなった。1999年(平成11年)10月1日から施行された。
2000年 - 著作権等管理事業法施行にともない、仲介業務法廃止

「著作権」:ウィキペディア日本語版

日本の著作権保護

日本の著作権保護は、1869年の「出版条例」が最初です。ここでは、図書を出版する者を保護する規定がありました。その後、1899年に本格的な著作権法が制定されました。
日本の著作権法は、新しい技術の開発や普及に対応するほか、国際条約に適合してきました。また、海賊版のダウンロードに対する規制や著作権の保護期間の延長など、その後も多くの法改正が行われています。

例えば、著作権の保護期間は、
1970年著作者の死後38年から50年
に延びました。また、
2004年には、映画の著作物において公表もしくは制作後70年
に延長されました。
その後、
2018年には著作者の死後70年
となり、
映画以外も法人の場合であれば公表後70年
に延長されています。

著作権の歴史 聖書印刷からビッグデータ活用に至る軌跡を丁寧に解説
:コンプライアンス研究所

著作権の制限

著作権の行使は、著作権者の利益を侵害しない範囲で制限されることがある。
例としては、私的使用における制限等が挙げられる。
著作権法においては一部あるいは全部の著作財産権が特定の条件下で制限される(第2節5款)。

著作物に表現された思想又は感情の享受を目的としない利用
思想感情の享受を目的とせず一定の要件を満たした場合、著作財産権が制限され著作物を他者が自由に利用できる(第30条の4)。

著作権法において、思想感情の享受を目的とせず、各著作物の様態に照らして著作権者の利益を不当に害さない場合、利用目的に必要な範囲での全著作財産権が制限される
具体的用途として
「利用技術の開発・試験」
「情報解析」
「知覚を伴わないコンピュータでの情報処理」

が明示されている。

著作権」:ウィキペディア日本語版

音楽に関わる著作権について

著作隣接権

著作隣接権とは、「著作物を公衆に伝達する役割を果たす行為に対して与えられる独占的な財産権」のことを指す。
具体的には、
実演家・
”(法でいう)レコード”製作者・
放送事業者・
有線放送事業者
に認められる権利のことを指す。
なお、著作隣接権は、著作者の権利に影響を及ぼす物として解釈してはならない。

著作権」:ウィキペディア日本語版

法による定義

「実演」とは、著作物を、演劇的に演じ、舞い、演奏し、歌い、口演し、朗詠し、又はその他の方法により演ずること(これらに類する行為で、著作物を演じないが芸能的な性質を有するものを含む。)をいう。

「実演家」とは、俳優、舞踊家、演奏家、歌手その他実演を行う者及び実演を指揮し、又は演出する者をいう。

著作権」:ウィキペディア日本語版

実演家の権利

実演家人格権
氏名表示権 - 自分の実演に対する、著作物における氏名表示権と同様の権利。

同一性保持権 - 自分の実演に対する、著作物における同一性保持示権と同様の権利。

財産権
許諾権
録音権、録画権 - 自分の「生の実演」を無断で録音・録画されない権利。

放送権、有線放送権 - 自分の「生の実演」を無断で放送・有線放送されない権利。

送信可能化権 - 自分の「生の実演」を無断で送信可能化されない権利。

譲渡権 - 自分の実演を、その録音物・録画物の譲渡により無断で公衆に提供されない権利。

貸与権 - 自分の実演を、それが録音された商業用レコードの貸与により無断で公衆に提供されない権利。(レコード発売後1年間

報酬請求権
「放送」「有線放送」の使用料請求権 - 自分の実演が商業用レコードや配信音源を用いて、放送または有線放送(同時再送信を含む)された場合に、実演家が放送事業者等に対して相当額の使用料(報酬)を請求できる権利。

「レンタル」の使用料請求権 - 自分の実演が商業用レコードを用いて公衆に貸与(レンタル)された場合に、実演家がレンタル店に対して相当額の使用料(報酬)を請求できる権利。(レコード発売後2年目~70年目

二次使用料請求権 - 自分の実演が商業用レコードを用いて放送または有線放送された場合に、非営利・無料で放送を受信して同時に「有線放送」される場合を除き、文化庁指定の実演家構成団体が放送事業者等に対し二次使用料を請求できる権利。

氏名表示権と同一性保持権を実演家人格権
その他の権利を著作隣接権
という。

著作権」:ウィキペディア日本語版

Ending(まとめ)

以下はまとめですが、上記までを踏まえた内容からの私個人の解釈となります。

  1. その時代の技術進歩により著作権の姿も形を変えてきている。
    最初に、著作権の概念が生まれたのはヴェネツィア共和国(現在のイタリア)であり、美術、文学、音楽など、印刷技術や演奏技術が飛躍的に発展して経済活動として成り立っていた経緯から、その後、イギリスとフランスが他国に複製されてしまうことを懸念して著作権法が生まれたことがわかりました。いわゆる「海賊版」(Pirate edition)ですね。

    (海賊版の語源が「 海賊や略奪者 」という意味から派生し、「 著作権侵害者や特許権侵害者 」という意味を持つようになったと言われていますが、当時のヴェネツィア共和国、イギリス、フランスいずれも本当に海賊と戦っていた時代だから皮肉ですね。)

    また、テクノロジーの発展と共に、「デジタル」という複製しやすいツールが生まれたことからも、著作権の概念が、本来は一定期間が経過後にその権利がなくなる、という考え方から、複製により本来権利を持っているべき著作者が被害者となるのを保護する役割に変化していったのかと思われます

  1. 著作権が消滅する期間について。
    なんとなく、著作権の消滅は「没後50年」と学生時代に誰かから聞いていて記憶していたのですが、現在は「没後70年」に2018年に改正されていたことを知りました。法改正で、短くなることはなくても今後また延長されることも考えられますね。

    この文章の執筆時点で2022年ですから、1952年までにお亡くなりになった方でいうと、ジョージ・ガーシュウィン(1898年 9月26日 - 1937年 7月11日)さんなどクラシックの近代音楽家の方は大丈夫そうですが、スウィングジャズのデューク・エリントン(1899年4月29日 - 1974年5月24日)さんはあと22年後になってしまいますよね。

  2. 今後、著作権の問題とどのように付き合っていくべきか。
    まだ、ここのnoteでまとめられなかった、
    ・クリエイティブコモンズ
    ・包括的利用許諾契約
    ・日本音楽著作権協会(JASRAC)
    についてや、YouTubeやInstagram、TikTokなどのSNSで音楽を利用する際の著作権の問題なども、別途まとめてみたいと思います。

#Supplements (補足)

  • あとから気付いたんですけど、トップ画像のエドゥアール・マネの『スペインの歌手』の絵画なんですが、よく見たら右利き用のギターを左利きで逆に持ってますね。彼が29歳の時にサロンに初入選した作品とのことですが、ギターの持ち方を知らなかったか、もしくは Jimi Hendrix のように本当に右利きのギターを左利きで逆に持っていたのかも知れません。

■ 著者 = so-ta ■ 発行 = 2022年10月27日 ■ 改訂 = 2022年10月31日 ■ Copyright©︎ so-ta

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