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詩ことばの森(94)「冬の海で」

冬の海で

冬の海を見に出かけた
冷たい風が吹いていた
人など誰もいなくて
海も僕も孤独だった
海は波音をさみしく奏で
僕の胸にかなしく響く

それでもなぜか冬の海は
僕の好きな場所なのだ
吹きっさらしの荒涼な
海岸に立ちつくす
灯台みたいとはいわないけど
ひとり立ち続ける僕を
いたわるように海は
波を繰り返し寄せつづける

(森雪拾)

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