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夜に滲む

深夜のマクドナルド。

午前2時過ぎだというのに、2、3歳くらいの子連れの男女が来店して目を見開く。

子どもをこんな時間に蛍光灯の下に連れ出す是非はおいておく。夜泣きに参って外に連れ出さざるを得ないことがあると知っているから。(夫が連れ出さないとダメな子どもだったらしい)


年の差夫婦なのかなあと思っていたら、男の子が「○○さん」と名前呼びをしているのが聞こえる。テーブルをひとつ挟んだ向こう側から聞こえてくる会話から、仕事関係、女性がフリーランスで男性がクライアントなのだろうと察した。兼、恋人なのかもしれない。

男の子への対応は、母親よりも男性の方に余裕がある。親子のようだなあと思いながら、ぬるくなってしまったコーヒーをすすった。


閉店間際のファミレスや、24時間営業のファストフード店が好きだ。学生時代はアルバイト先の書店の閉店間際の雰囲気が好きだったなあ、と思い出す。

昼間よりも、ぐっと生活感が際立つ、というか。そこにいる人が、より「生活」を身に纏っているように感じる。それはたとえばスーパーやドラッグストアにいるシュフが纏う生活感ではなくて、もっとパーソナルに寄った生活感だ。

決してエネルギッシュなものではないのに、身に纏われた生活感は、その人が生きていることを強く感じさせる。

高校時代から通学電車に乗っている疲れた顔のサラリーマンを見て「生」や「生活」を想起していたから、わたしは疲れた感じであるとか、孤独な感じであるとか、エネルギーが静かな状態の人にこそ命を感じる人間なのかもしれない。


夜には、その人の人生が滲み出る。その雰囲気が、わたしにとって、いつも何だか心地いい。

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