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白い彼女とわたしの新しい暮らし

彼女と仮暮らしを始めて1週間。

とうとう引越しの日を迎えた。
故郷から実家へ、実家から新居へと、環境がコロコロ変わってしまってさぞや彼女はストレスでいっぱいだろう。

そんな思いで引越しの朝を迎えた。
わたしの荷物はそこまでないので、引越し屋さんではなく小さな車で運んでくれる所を探してお願いした。
そして、両親に運転してもらいわたしは彼女を膝に乗せ抱きしめて坂の上の新しい家へと向かった。

わたしの引っ越しには親戚が手伝いに来てくれた。たいした荷物ではないので、手伝いもしてもらったけれど白い彼女に会いに来てくれたという方が大きかったかもしれない。

そして、やってきた親戚は年末だったこともあり白い彼女にお正月用の着物をプレゼントしてくれた。

赤地にピンクと白の花が咲き乱れていて、丸いポンポンが付いた優しい色の帯、その華やかな着物を彼女に着せてあげた。

着物姿の彼女は女の子らしくて、彼女の可愛さが更に引き立っているようだった。大和撫子といったような佇まいの彼女にわたしは七五三を迎えた子を見守るような眼差しで彼女を見つめた。

我が子の成長を見たような気分だ。
しかし、まだ一緒に住んで1週間だ。

そんな彼女はたくさんの人がいる中で堂々としていた。初めて会う親戚にも警戒心なんて全くなく、尻尾をフリフリ。案外ストレスも感じてないかななんていうふうにも見えて、わたしはホッとした。

日は暮れるのは早く親戚も両親も帰っていった。
新しい家に1人。取り残された気分。
一人暮らしをするといつも最初の夜というのは、知らない人の家にひとりでいるみたいで
ちょっと不気味だ。
物音がしたらその度にびくつく。

でも、今回は1人じゃない。
夫ももうすぐやってくる。

それに今、わたしの隣には白い彼女がいる。
彼女がいるから寂しくも怖くもない。

もし、強盗やお化けが出てきたとしたらわたしはこの子を守るのだ。びくついている暇などないのだ。

そう言い聞かせていると、夫がやってきた。

ちょっと安堵して初めて2人で白い彼女をこれでもかというほど愛でた。

愛おしくてたまらない彼女と新たに始まるこの新居でわたしたち3人は眠る事にした。

おやすみ。
いい夢見てね。

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