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マーク・トウェインの入口①「トム・ソーヤーの冒険」

ソーヤー

   こどもの頃、「トム・ソーヤーの冒険」を夢中になって読んだ方は多いことでしょう。ほとんどの場合、ジュニア版で読まれていると思いますが、オリジナルは文庫本で400ページ近くある長編です。

   冒頭でトウエインが「かつて少年少女だった成人の方にも読んで欲しい」と述べている通り、大人になってから読むと、違う味わいを楽しめるかも知れません。

舞台は、1840年頃のアメリカ。ミシシッピ川のほとりの自然豊かな小さな町で、悪賢さにも長けた腕白小僧のトムが、ハックをはじめとする仲間たちとともに、さまざまな冒険を繰り広げます。          
                                         
トムもハックもはみ出し者のいわゆる「悪ガキ」なのですが、それぞれの境遇は決定的に異なります。トムは母を亡くしていますが、心優しい叔母や、兄弟がいます。 一方、ハックは、樽の中で寝る身寄りのない浮浪児です。

ハックは学校にも行かず、タバコをふかし気ままに暮らしています。
「完全に自由」なハックにあこがれを抱くこどもの読者は多いでしょう。    しかし、帰る場所がないハックは冒険を続けなければならないのです。そのことが、どこか物寂しさを誘います。

  「トム・ソーヤー」の後、物語はハックを乗せた筏が雄大なミシシッピを下る「ハックルベリー・フィンの冒険」へと続きます。

    ここでは人種差別をはじめ、当時のアメリカが抱えていた社会問題が扱われています。こちらの文庫版もかなりのボリュームがあり、大人がじっくり味わえる作品です。                         ⇒「不思議な少年」に続く

トウエイン(1)

マーク・トウエイン(1835-1910)~アメリカ・小説家~                             南北戦争後のアメリカ・リアリズム文学を代表する小説家の一人。「トム・ソーヤーの冒険」「ハックルベリー・フィンの冒険」などが日本でも有名。現代アメリカ文学の原点と言われる。





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