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移りゆく全て

2023/7/5〜2023/7/6



「日本人ですか?」




チェックインした日の夜、ドミトリー内で不意に声を掛けられた。


その方はスリランカ出身、ドイツ在住の教師で、何とタミル語、英語、日本語(ドイツ語も?)話す、とてもフレンドリーな男性だった。
翌早朝に宿を離れ、日本に向かうのだという。

そのバキさんという方は簡単な挨拶の後、1人のハウスメイトを紹介してくれた。

私のベッドの上に寝泊まりしている、これまた何と日本人である。

いやぁ、ドミトリーの醍醐味って
コレだよなぁと改めて実感



時刻4:00。夜明け前。

皆が寝静まる中、1人支度をするバキさんに気付く。

ドイツに行ったら必ず連絡します
またお会いしましょう

ありがとう


小声でシンプルな挨拶
それでも、また会える事を予感させた



時刻11:00。

私も支度を済ませ、昨夜に出会ったアキ君という日本人男性のチェックアウトとともに、同行させてもらった。

初対面にも関わらず話が弾み、お互いの今までなどを話しながら近くの桟橋へ。

桟橋の手前にいたフレンチブルドッグ
彼も日本で飼っているそうで
思い掛けないサプライズに嬉しそうだった

その後、配車アプリのGrabを使い、オススメの飲食店へ。

プラウンミーという名物料理を食べに
ミシュランで表彰もされた、評判の店らしい
濃厚な海老出汁スープ
細麺と中麺のミックス
トッピングに煮卵
どれも完成度が高く、ものすごく美味い
日本以来の魚介の風味に感激

食事をしながら、彼の旅の経歴を聞いていたのだが、特に印象に残っているのはインド。
中でも、アムリトサルという街で出会ったシーク教の方々にとても感銘を受けたそうだ。

恥ずかしながらシーク教に関しては、辛うじて名前を聞いた事があるくらいで、そのわりには少し恐そうなイメージを持ってしまっていた(失礼極まりない)。

実際は人種、宗教その他あらゆる他者に親切で、またそうする事によって恩恵が巡ってくるという教えらしい。

彼もそこで数々の温かさに触れ、その時の様子を詳しく話してくれた。


そして思った。



俺もシーク教の精神を体験したい
アムリトサルに行こう



私もつい喋り過ぎてしまい、話は止まらないまま、飲食店をハシゴ。

そこではチャークイティオという、これまた名物らしい料理を。

これが頗る辛く、胡椒の風味が店内に充満し、私達を含めた客が次々とクシャミをしながら食べる様は見ていて面白おかしかった。

味は例えるなら、胡椒を入れ過ぎちゃったお祭りの焼きそば。
または一人暮らしの男がテキトーな分量で作った漢飯。
でも、それもまたご愛嬌。
個人的には美味しかった。


結局、Grab代から2度の食事、ドリンクまで
全て彼に奢ってもらってしまった…

「これもシーク教の教えだから」と
少し冗談混じりの口調
だが確実に伝わるリスペクト

それを感じる言葉だった

また、私の旅話に興味を持ってくれた事も
非常に嬉しかった



時刻13:00過ぎ。

見送りの為にバスターミナルへ。
彼はそこから空港に行き、今夜バンコクを経由して帰国する。

まだまだ話し足りなかったが、それはまた次回に。

「またいつか何処かで、是非お会いしましょう」

と堅く握手をして、バスに乗り込む彼を見送った。



はずだったのだが


どうやら路線が違うバスだったようで
仕切り直し


1分前の、今生の別れの様な握手が一転して笑い話に変わる。
これもまた、海外ではよくある事だ。

改めて乗り込む彼を、バスが見えなくなるまで見届け、手を振り続けた。



色々と、本当にありがとうございました
また必ずお会いしましょうね




その後ゲストハウスで一休みして、日没の海を見る為、再び外へ。




久々に感じる、何もしない時間


海を見渡し、波音を聞き

今までの出来事
関わってくれた方々
そしてこれから

そんな事を、特に思い詰めもせず

岸壁に座り
只々、ぼんやりしながら

佇む人々と
変わりゆく空の様子を眺めていた




2023年3月から世界中を旅して周り、その時の出来事や感じた事を極力リアルタイムで綴っています。 なので今後どうなるかは私にもわかりません。 その様子を楽しんで頂けましたら幸いです。 サポートは旅の活動費にありがたく使用させて頂きます。 もし良ければ、宜しくお願いいたします。