「　ぜったい、こっちの方がいいで〜！　」。

私はイズミヤの文房具屋みたいなところで、

彼にそうアドバイスした。

小学校5年3組の頃の男友達K君との会話。

K君とはクラスメイトで、

毎日一緒に遊んでいた記憶がある。

その友達とは何でも話した。

もちろん、好きな女の子の話も。

「俺、アキコちゃんのこと、

　めっちゃ好きやねん　」。

K君は、毎日のように私に言った。

ある日の会話で、

「休み時間に教室のストーブに当たっていたら、

　アキコちゃんがきて、少しの間、2人でスト

　ーブに当たっててん。もしかしら、アキコ

　ちゃん、俺のこと好きなんかな〜〜〜」。

と、K君は言い出した。

私は答えた。

「　もしかしたら、そうなんちゃう？　」。

そう答えたら、なんだか自分の中でモヤモヤ
した気持ちになった。

そんな私の気持ちなど関係なく、

K君が続けて言った。

「よし、今月のアキコちゃんの誕生日に、

　誕生日プレゼントを渡して、

　告白しようっ‼︎　」。

自分の中のモヤモヤした気持ち。

実はわかっていた。

ストーブに当たっただけで、

好きかどうかはわからない‥

と、いうことではなく、

私も、

アキコちゃんのことが好きだったからだ。

密かな想い。

K君はさっそく、私を誘ってプレゼント
を探しに行った。

K君も私も、女の子にプレゼントを渡す
なんてしたこともなかった。

もちろん告白なんて尚更だ。

それでもK君は一生懸命に探した。

私も、モヤモヤした気持ちが高ぶっていたが、

K君を応援したい気持ちも確かにあった。

一緒に何度もイズミヤとダイエーを往復した。

「なぁ、うりも、そろそろ決めようと思う

　んやけど、パンダのぬいぐるみか、お地蔵

　さんの貯金箱か、どっちがいいと思う？」。

2つの選択肢。

時間をかけて見て回った末の決断。

私は答えた。

「お地蔵さんの貯金箱やでっ！」と。

本当は、

ダサいと思っていた。

お地蔵さんの貯金箱。

うまく笑えていないような表情をしていて、

今なら「ブサかわいい」と言えるが、

その当時は、そんな価値観はなかった。

私は、

自分の中で、

失敗すると思うほうを、

瞬間的に提案してしまったのだ。

K君は、「よしっ」と言い、

その貯金箱を買った。

そして当日、フラれた。

K君は私の前で大泣きした。

私は、

そんな大泣きしているK君を見て、

「自分がアカンほうを選ばせてしまったからだ」

と、心の中で思いながら、K君と一緒に泣いた。

何を今更。

ほんと最低な私。

とてもじゃないけど、

その時には言い出せなかった。

そのまま、胸の奥にしまっていた。

現在、私もK君もアラフィフ。

K君も、アキコちゃんも、

今はどこで何をしているかもわからない。

なぜ、思い出したのかというと、

私のおかんが通う、

デイサービスセンタの連絡ノートに、

「お母様が、本日、ビンゴゲームにて、

　お地蔵さんの貯金箱を当てられましたが、

　持ち帰るのを拒否されました‥　」。

と、書いてあったのを見て、

ふと、思い出したのだ。

「おかん、なんか知ってたの？笑

　おかんもそのチョイスはないな

　と思ったの？笑」。

まさかの親子で、

「お地蔵さんの貯金箱ネタ」。

いかんいかん。

少なくとも、おかんは正直な気持ちを、

周りの人に伝えているではないか。

ダメな私と一緒にしてはいけない。

とにかく、思い出したので謝りたい。

K君、

「お地蔵さんの貯金箱」を提案して、

本当にごめんなさい。

でも、

あのチョイスはないと思うよ。

もし今、一緒に酒でも飲めたなら、

「もし、パンダのぬいぐるみを

　渡してたらな〜　笑」なんて、

笑いながら話してくれるかな。

なんならお詫びに、

お地蔵さんの貯金箱を

サプライズでプレゼントするで〜。

もうそろそろ、

悪い自分を認めつつ、

笑って昇華してもいいやんな〜と、

お地蔵さんに手を合わせたい気持ちになった。

（あと、デイサービスの職員さんも
　ごめんなさい　笑　）

この投稿は、

「笑っていいで昇華！？」という投稿企画の
投稿記事の例の1つです。

この記事のレベルは低いですが（笑）、

どんな内容でも構いません！

皆さんの笑える昇華記事を、

たくさんお待ちしております！

スタエフ告知です↓

6月30日（金）22時30分〜。

「笑っていい妄想！」。

妄想ゲスト：kojuroさん

少し遅めのスタートですが、

あのコジさんが出演してくださいます！。

是非、遊びに来てくださいね〜🎙️✨。