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老人のいない村

かつて日本には除夜の鐘といってお寺で鐘を108回鳴らす習慣があったらしい。
何故108回なのかというと人間の煩悩がそれだけあるとされていたようだ。
諸説あるが一説によるとその数は四苦八苦という言葉から来ており、
四苦4×9=36
八苦8×9=72
足して108
よって煩悩は108あるのだという。
四苦は生苦、老苦、病苦、死苦で、
八苦は四苦に、愛別離苦、怨憎会苦、求不得苦、五蘊盛苦の四つを加えたもので、
仏教という古来より存在した宗教によって、それらが人間のあらゆる苦しみだとして扱われていたようだ。
にしても四苦八苦から108の煩悩とはただの駄洒落ではないか、と思ってしまう。

煩悩とは如何なるものだろうか。
考えることは出来る。
だが実感としてはない。
この村には随分と前から煩悩が無いのだ。
毎日畑を耕し、協力して村のみんなが生きられるだけの食糧を得られるようにしている。
そして、村によって決められた人と結婚して子供を作る。
全て村によって決められたことだ。
私も毎日決まった時間に起きて畑で仕事をして決まった時間に寝る。
じきに村によって決められた人と結婚して子供を作る。
全ては村のためだ。
その後はどうなるのだろうか。
そういえば聞いたことがない。

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